コンベクシティの計算をアナリストが徹底解説する方法

コンベクシティの計算をアナリストが徹底解説する方法

コンベクシティの計算をアナリストが解説する実践ガイド

デュレーションが高い債券ほど、金利が下がると損をすることがあります。


📘 この記事でわかること
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コンベクシティとは何か

デュレーションの誤差を補正する2階微分の概念。金利変化が大きい場面で特に重要になる指標です。

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具体的な計算手順

証券アナリスト試験の出題形式に即した、PV・クーポン・最終利回りを使った計算ステップをわかりやすく整理します。

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デュレーションだけでは不十分な理由

金利が1%以上動く局面や超長期債では、デュレーションのみの計算が数%単位で誤差を生む。コンベクシティを加えた近似式が不可欠です。


コンベクシティの計算と基本概念をアナリスト視点で整理する


コンベクシティ(Convexity)は、債券価格と利回りの関係がどれだけ「曲がっている」かを示す指標です。金利が変化したとき、デュレーションが「変化量の直線近似」だとすれば、コンベクシティは「その曲線の曲がり具合の修正」にあたります。


デュレーションは数学でいう1階微分、コンベクシティは2階微分にあたります。つまりコンベクシティは、「金利が動いたときのデュレーション自体の変化」を捉える概念です。


金利が上昇する中で、デュレーション(リスク量)は徐々に下がっていきます。逆に金利が低下する局面では、デュレーションが拡大し、価格上昇の恩恵がより大きくなります。コンベクシティが正の値(ポジティブ・コンベクシティ)を持つ債券は、金利がどちらに動いても投資家にとって有利に働く性質があります。


たとえば、コンベクシティが80の債券Aと100の債券Bを比べると、金利変動が大きい環境では債券Bが有利です。これは試験問題でも実務でも頻出の比較です。


コンベクシティが重要なのです。



コンベクシティの計算には、テイラー展開が背景にあります。債券価格Pの変化ΔPは次のように近似されます。


【価格変化の近似式】

ΔP/P ≒ −Dmod × Δr + (1/2) × C × (Δr)²



Dmod:修正デュレーション、C:コンベクシティ、Δr:利回り変化幅


デュレーション項(第1項)だけで考えると、金利の上昇・下落に対して価格変化は線形に見えます。ところが、実際の価格と利回りの関係は「下に凸」の曲線を描いており、第2項のコンベクシティが「その曲線のたわみ分」を補正します。



財務総合政策研究所(服部孝洋, 2020)による解説は、日本語で最も詳細かつ権威ある公的資料のひとつです。40年国債のデュレーションが35である場合、金利1%上昇でデュレーション近似では35%の価格低下となりますが、コンベクシティを加味すると実際の下落幅はそれより小さくなります。


超長期債を持つ生命保険会社にとって、コンベクシティは特に重要です。


参考:財務総合政策研究所「コンベクシティ入門―日本国債における価格と金利の非線形性―」(服部孝洋)


コンベクシティの計算手順をアナリスト試験の形式で確認する

証券アナリスト(CMA)試験では、コンベクシティの計算問題が頻出です。TACの公式資料でも「債券のデュレーションとコンベクシティ」は必ずチェックすべき公式として明記されています。手順を3ステップに整理します。



【コンベクシティの計算3ステップ】


ステップ 内容
① PV計算 各年度のCF(クーポン+最終年の元本)を最終利回りrで割り引いて現在価値(PVt)を求める
② t(t+1)の計算 各年度のPVtにt×(t+1)をかけて合計する
③ 割り算 ② の合計を「債券価格P × (1+r)²」で割る



試験に頻出の社債2(残存2年・クーポン5%・最終利回り3.5%)で実際に計算してみます。


- 1年目PV:5 ÷ 1.035 ≒ 4.83
- 2年目PV:105 ÷ 1.035² ≒ 98.02
- 債券価格P:4.83 + 98.02 = 102.85


次に、PV × t(t+1) の合計を計算します。


- 1年目:4.83 × 1×2 = 9.66
- 2年目:98.02 × 2×3 = 588.12
- 合計:9.66 + 588.12 = 597.78


最後に割り算です。


597.78 ÷ (102.85 × 1.035²) ≒ 5.43


これが原則です。



計算のポイントは「t(t+1)」の形にすることです。デュレーションでは「t × PVt」を使いますが、コンベクシティでは「t(t+1) × PVt」になります。この違いを見落とすと試験では失点につながります。痛いですね。


計算に慣れたら、Excelで各行にCF・PV・t(t+1)×PVの列を作り、最後にSUM関数で合計する形が実務・試験の両方で役立ちます。分析スキルを深めたい方は、シグマベイスキャピタルが提供するモンテカルロシミュレーション解説など、Excelを使った債券リスク計算の教材を参照すると理解が速まります。


参考:証券アナリスト試験の頻出公式として「デュレーションとコンベクシティ」を掲載している資料
TAC公式|証券アナリスト合格に必要な勉強時間・科目別対策


コンベクシティの計算でわかるデュレーション誤差の正体

デュレーションだけでリスク管理を行うと、金利変化が大きいほど「予測価格」と「実際の価格」のズレが広がります。これは構造的な問題です。


デュレーションは「金利と価格の関係を直線で近似」しています。しかし実際の価格・利回り曲線は直線ではなく、下に凸のカーブを描いています。金利が小さく動く分には直線近似で問題ありませんが、1%以上の大きな動きでは誤差が無視できなくなります。


具体的な数字を見てみましょう。


シグマベイスキャピタルの解説によると、10年の割引債(デュレーション−722、コンベクシティ7715)において、利回りが0.1%変化したとき、デュレーションのみの近似は−0.722円、コンベクシティを加えた近似では−0.718円、実際の値は−0.719円です。この場合は誤差が小さく実務上問題ありません。


ところが、利回り変化が1%を超える水準や残存期間が20年・40年超の超長期債では、デュレーション近似との乖離がパーセント単位で生じます。バーゼル規制では、金利1%(100bps)上昇シナリオでのリスク量算出が義務付けられており、その際にコンベクシティを考慮しないと、銀行・保険会社のリスク量を過大または過小評価する恐れがあります。


これは有料の情報です。



さらに意外な事実として、実務のリスク管理では、デュレーション近似(第1項のみ)の方を使うケースが少なくありません。その理由は、コンベクシティを加えた近似式では「ΔP(価格変化)が正規分布にならない」ためです。リスク量の集計や統計処理の整合性を保つために、あえてシンプルなデュレーション近似を使う場面があります。つまりコンベクシティの知識は、「いつ使わないか」を判断するためにも必要です。


参考:デュレーションとコンベクシティの近似精度の違いを具体的な数値で示した解説
シグマベイスキャピタル|債券の価格変化とデュレーション・コンベクシティ(その3)


コンベクシティの計算から読み解くポートフォリオ戦略の独自視点

コンベクシティを「より大きい方が常に有利」と理解するのは、半分正解で半分間違いです。ここが多くの初学者が見落とすポイントです。


コンベクシティが大きい債券(または債券ポートフォリオ)は、市場において「コンベクシティ・コスト」分だけ割高に評価されます。つまり、コンベクシティに対してプレミアムを支払う構造があります。金利ボラティリティが高い局面では、コンベクシティを保有していることの価値が大きくなる一方、金利が安定した局面では、そのコストが収益を圧迫します。


コンベクシティが条件です。



この性質を応用したのが「ダンベル戦略(バーベル戦略)」です。これは短期債と長期債を組み合わせてポートフォリオを構成し、中期債中心の「ブレット戦略」と同じデュレーションを保ちつつ、コンベクシティを高める手法です。


戦略 構成 コンベクシティ 有利な場面
ダンベル(バーベル)型 短期債+長期債 大きい ⬆ 金利変動が大きい局面
ブレット型 中期債集中 小さい ⬇ 金利変動が小さい安定局面



ニッセイ基礎研究所の分析によると、金利変動幅が上昇方向に0.17%以内・低下方向に0.16%以内であればブレット型が有利で、それを超えるとダンベル型が有利になるという試算があります。金利変動が年0.2%程度のレンジにとどまるなら、コンベクシティが高いポートフォリオへの乗り換えは逆効果になりうるのです。


これは使えそうです。



また、特殊な例としてMBS(住宅ローン担保証券)のような「負のコンベクシティ(ネガティブ・コンベクシティ)」を持つ債券があります。住宅ローンの借り換えにより、金利低下時に元本が早期返済されて年限が短くなるため、デュレーションが低下します。これは通常の債券と逆の動きで、投資家にとって不利な性質です。そのため、MBSは同等の格付けを持つ国債より利回りが高く設定されています。


負のコンベクシティだけは例外です。



このようにコンベクシティの計算は、「自分が保有するポートフォリオのリスク構造がどうなっているか」を正確に把握するために不可欠な視点を提供してくれます。


参考:ダンベル型・ブレット型ポートフォリオのコンベクシティ比較と運用戦略


コンベクシティの計算を証券アナリスト試験で得点するための攻略法

証券アナリスト(CMA)1次試験において、コンベクシティはデュレーションとセットで出題されます。TAC公式資料では「必ずチェックすべき公式」として明示されており、1次試験・2次試験の両方で問われる重要論点です。合格率は科目によっておおよそ43〜50%前後で推移しており、計算問題での失点が合否を分けることが多い試験です。


試験攻略のポイントを整理します。




🔑 よくある失点パターンと対策


| 失点パターン | 対策 |
|---|---|
| t×PV(デュレーション式)とt(t+1)×PV(コンベクシティ式)を混同する | 「デュレーションはtひとつ、コンベクシティはt×(t+1)」で覚える |
| (1+r)² で割り忘れる | 最後のステップとして必ず確認する習慣を持つ |
| 近似式の第2項の係数「1/2」を忘れる | 価格変化式 ΔP/P に代入する際に 1/2 × C × (Δr)² を確認 |
| コンベクシティの値そのものを「答え」と思い込む | 問題文で「コンベクシティを求めよ」か「価格変化を求めよ」かを確認する |



試験の計算では、関数電卓が使用可能です。関数電卓でPVを小数点第2位まで計算し、手順どおりに進めれば正答できます。「t(t+1)」の列を頭の中で構造化できれば、時間短縮にも直結します。


一問一答の反復練習が基本です。



また、試験直前期にはコンベクシティと修正デュレーションの関係式(テイラー展開)を丸暗記するよりも、「なぜ第2項が加わるのか」を一度理解しておくと、応用問題にも対処しやすくなります。問題の形式を変えて問われても、原理から考えれば答えられる状態が理想です。


理解が合格の条件です。



計算演習に取り組む際は、過去問の「証券分析」科目の債券分野を中心に、デュレーション→修正デュレーション→コンベクシティの順で段階的に習得するのが効率的です。試験対策として信頼性の高い資料を選ぶなら、日本証券アナリスト協会(SAA)が公表している「CMA資格の取得に求められる主要学習事項」が、公式学習範囲の確認として役立ちます。


参考:日本証券アナリスト協会が公表する公式学習範囲(コンベクシティ・デュレーションを含む)
日本証券アナリスト協会(SAA)|CMA資格の取得に求められる主要学習事項(PDF)




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