
iDeCoの給付金を受け取る際の税金は、選択する受け取り方法によって大きく異なります。主な受け取り方法は以下の3つです。
🔸 一時金として一括受け取り
🔸 年金として分割受け取り
🔸 一時金と年金の併用
受け取り方法の選択により税負担が大幅に変わるため、自身の退職金の有無や金額、他の収入状況を考慮した戦略的な判断が重要です。
一時金として受け取る場合、退職所得控除の恩恵を最大限活用することが節税の鍵となります。
退職所得控除額の計算方法
加入年数 | 控除額の計算式 |
---|---|
20年以下 | 40万円×加入年数(最低80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(加入年数-20年) |
具体的な計算例
退職所得の計算式は以下の通りです。
退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2
この1/2課税という優遇措置により、実質的な税負担が大幅に軽減されます。会社からの退職金がない自営業者や、退職金が少ない方にとって、一時金受け取りは非常に有利な選択肢となります。
ただし、会社の退職金とiDeCoの一時金を同時に受け取る場合は、控除額を合算して計算するため注意が必要です。
年金として受け取る場合は、雑所得として公的年金等控除が適用されます。
公的年金等控除額(2025年現在)
年齢 | 年金収入 | 控除額 |
---|---|---|
65歳未満 | 60万円以下 | 全額控除 |
65歳未満 | 60万円超130万円未満 | 60万円 |
65歳以上 | 110万円以下 | 全額控除 |
65歳以上 | 110万円超330万円未満 | 110万円 |
年金受け取りが有利なケース
注意すべきポイント
年金受け取りを選択する際は、受け取り期間や年額を慎重に検討し、他の収入とのバランスを考慮することが重要です。
2026年1月1日から、iDeCoの受け取りに関する重要な税制改正が実施されます。
改正内容:5年ルール→10年ルールへ変更
🔸 従来の5年ルール
🔸 新しい10年ルール(2026年1月~)
対応策の検討
この改正により、多くの方が受け取り戦略の見直しを迫られることになります。
最適なiDeCo受け取り戦略を決定するには、個人の状況に応じた総合的な判断が必要です。
受け取り戦略の決定要因
🔸 退職金の有無と金額
🔸 その他の収入状況
🔸 健康状態と寿命予測
節税効果のシミュレーション例
以下は年収500万円の会社員が23年間iDeCoに加入した場合の比較です。
受け取り方法 | 税負担 | 手取り額 | 特徴 |
---|---|---|---|
一時金 | 約15万円 | 約585万円 | 退職金次第で変動 |
年金10年 | 約25万円 | 約575万円 | 安定した収入 |
併用 | 約20万円 | 約580万円 | バランス型 |
受け取り前の最終チェックポイント
老後資金の受け取りは一度きりの重要な決断です。十分な情報収集と専門家への相談を通じて、最適な戦略を選択することが大切です。