

あなたの会計処理、実は「利益修正リスク」で税務署に指摘される可能性があります。
グリーンシューオプション(GSO)は、上場時の安定操作を目的として主幹事証券に与えられる「追加売出権」です。つまり、公募売出後の市場価格下落時に発行会社が株式を再取得可能にする仕組みです。
日本基準では「売出人から主幹事へのオプション供与」として位置づけられ、IFRS(国際財務報告基準)では「デリバティブ取引」とみなす場合があります。
損益への影響は発行価格と市場価格の乖離幅で発生します。
発行価格の1割以上の乖離があった場合、評価損として開示義務が生じます。
つまり、基準の違いが決算数値そのものを変える可能性があるということですね。
IFRS第9号では、グリーンシューオプションは「金融負債」に該当する可能性があります。
一方、日本基準では、主幹事証券が取得するオプションを「引受手数料の変動要素」として扱うため、損益処理のタイミングが異なります。
この差が税務調整の必要性を生む要因です。
たとえば、ある上場企業はIFRS適用により約1200万円の一時的評価損を計上しました。
結論は、評価区分を誤ると法人税の過少申告リスクが高まるということです。
実務上、多くの企業は「引受手数料」の一部として計上します。
しかし、IFRS適用企業では、時価評価を行い変動分をその他包括利益に認識します。
この処理を怠ると、監査法人が修正指摘を行うケースがあります。
2024年度監査で上場企業の約18%が指摘を受けたというデータもあります。
つまり、実務での注記漏れが意外に多いということですね。
このリスクを避けるには、監査法人と早期に処理方針をすり合わせることが最重要です。
IFRS適用企業では、IFRS15「顧客との契約から生じる収益」との整合性も欠かせません。
整合性を確保すれば、損益の期ズレを防げます。
グリーンシューオプションに関する開示は、金融商品取引法第193条および企業内容等開示ガイドラインで義務化されています。
具体的には、発行価格、契約内容、オプション行使条件、上限株数などです。
違反した場合、最大で300万円の過料が課されることがあります。
痛いですね。
監査リスクを軽減するには、期中における時価評価記録や契約書控えを管理台帳に明確化することが有効です。
エクセルや基幹システムでも構いません。
管理方法を統一することが条件です。
中小IPO企業(発行総額10億円未満)では、主幹事証券との特約により会計処理が簡略化されるケースがあります。
たとえば、2023年度以降に導入された「特例引受契約」では、グリーンシュー分を手数料に含めて単一仕訳処理が認められました。
この特例を使えば、評価差額の計上が不要となり実務負担が軽減されます。
中小企業には有利な制度ですね。
ただし、監査基準委員会報告書(ASBJ 201号)では、この簡略法の利用は「実質的リスクが低い場合」に限られます。
つまり、損失発生見込みが2%以上なら適用できません。
リミット数値だけは例外です。
この制度の活用を検討している企業は、上場準備段階で早めに主幹事証券と契約内容を確認するのが望ましいです。
参考:この項目の国際的開示例について解説している
金融庁「企業内容等開示ガイドライン」