
友人の借金を踏み倒したら、法律的にどうなる?
友達からの借金を放置していたら、強制執行で差し押さえになる可能性があります。
友達からの借金をして、何度か督促の連絡を無視していた。そのうち、簡易裁判所の支払督促が自宅に郵送されてきて、返済しないと強制執行になることがわかった。
母が私の代わりに借金を立て替え払いしてくれた。
友達からは縁を切られ、彼女にも借金の話がバレてわかれることになった。
元は彼女とのデート代を友だちに借りたのが始まりだったそう。
上記のケースでは、強制執行前に親が払ってくれたものの、そもそもの借金の目的だった彼女とも別れることになってしまった…という話です。
友達からの借金を踏み倒しても、刑事罰を課せられることはありません。
しかし、お金を返さなかった場合には民事で訴えられる(返済請求される)可能性はあります。
そして、何より、その後の人間関係が悪くなるんですね。
過去、友人たちに総額1,880万円を貸した人の話。貸したうち、戻ってきたお金は1080万円、回収率は57.4%。
無事にお金が返ってきた相手とは現在も関係良好なケースが多いとのことですが、最終的な教訓は「借金を頼まれたら、そいつとは縁を切れ」だそう。
友人からの借金をする場合、借用書や返済期限など明確に決めないことも多いですよね。
しかし、口約束であっても、友人との貸付契約は成立することになっています。
友達からの借金に利息につい決めなかった場合にも、「特に利息を決めなかった場合は、民法第404条により年5%の利息がつく」ということになっています。
借金の時効の規定もあります。
友達など、個人の借金の時効は10年でしたが、2020年4月の改定で5年に短縮されています。
関連)時効の援用の書き方
借金の金額が大きいなら、認定司法書士や弁護士を使って、法的手段に出ることも考えられます。
関連)債権回収を弁護士に 得意&強い 個人の法律相談
時効をリセットする行動が「債務承認」です。
借金の一部だけでも返そう、と返済を1円でもおこなうと、「借金があるということを認めた」ということになり、債務承認扱いになります。
もし、時効を既に迎えていたとしても、リセットされて時効が中断(つまり、借金を返済しなければいけない)ということになるんですね。
一部の返済以外にも「支払いを月末まで待って!」と口頭で伝えることも、債務承認にあたります。
ただ、貸した側は相当用心深くないと、会話の録音などはしていないでしょう。そもそも借金に時効があることさえ知らない人の方が多いです。
A君がB君に10万円貸しました。
あなたは「B君の借金の保証人になって」とA君に言われ、「いいよ」と答えました。
この場合、あなたに友人の借金の返済義務はある?
口約束だけの場合は、「返済義務はない」、正式な契約書ではない「覚書」であっても、書面で「保証人になる」と書いてしまった場合は返済義務が生じてしまいます。ただ、「覚書」がどの程度のものかによって、過去の裁判の判決も違ってくるんですね。
しっかりした書類があって、捺印までした「覚書」なら、法律的な効力も十分にあると言えるでしょう。
民法446条2項には、「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」という項目があります。書類があるかどうかが、返済義務が生じるかどうかのポイントになっています。
借金を返さないと、相手から法律的に根拠のある支払督促が送られてくることがあります。
「仮執行宣言付支払督促」や「確定勝訴判決」などの書類が送られてきた場合、給与や預金、不動産などを差し押さえされてしまうこともあります。
140万円以下の借金の場合、認定司法書士に債権回収や簡易裁判所での代理人を依頼できます。
「アイツはまさか、この金額で法律的手段に訴えたりしないだろう」と思っていても、弁護士を頼まずにプロに債権回収することもできるんですね。
といっても、いきなり訴訟されることはまずありません。
督促の第一段階としては、内容証明の送付になります。
貸付の事実、金額、期日を過ぎても返済がないこと、このまま返済がなければ法的手段に訴えるということを通知するんですね。内容証明なので「見ていない」「知らない」は通用しません。
裁判所からの期日呼出を無視し続け、答弁書も出さずにいて債権者が勝訴判決となった場合、不動産や預貯金、給与の差し押さえを強制執行できます。
借金の額が大きい場合は、弁護士に依頼して法律の強制執行(差し押さえ)でお金を回収するケースもあります。
また、お金ではなく債権を持っている場合にも回収可能なケースがあります。
関連)債権者代位権とは
お金を貸した友人が、精神的苦痛を理由に慰謝料請求をおこなうことはできません。
「お金を返さない」ということは、金銭債務の不履行になります。
金銭債務の不履行の際、利息の取り決めをしていなくても、法定利率年5%で、遅延損害金を請求することはできます。しかし、これ以上の請求は精神的被害があっても、弁護士費用がかかっても賠償請求することはできないんですね。
「無いものは払えない」と開き直ることで、ガッチリ法律に守られてしまう状態になっています。
裁判を起こして勝訴しても、公的機関が代わりにお金を回収するわけではありませんし、差し押さえ財産がなければ強制執行はできません。財産がない人から、お金を取ることはできません。
「訴えることはできるけど、勝ってもお金は戻ってこない」という状況。
倫理的にはどうかと思いますが、「どんな手段を使っても、返さないで逃げたものが勝ち」というのが現実のようです。