2022年11月、当時大学生の私は、アルバイト代だけでは生活が苦しく、消費者金融から30万円の借金をしていました。当初は返済計画も立てていたのですが、思いがけない出費が重なり、徐々に返済が滞り始めました。
ある日、アルバイトを終えて、夜10時頃に帰宅。見知らぬ男が玄関先に立っていました。男はスーツを着て、いかつい顔つきをしています。「○○さんですね?○○消費者金融から派遣された○○と申します。返済が滞っておりますので、至急ご対応をお願いします。」
恐怖と絶望感で体が震えました。男は、返済期日を過ぎていること、利息が加算されていること、このまま支払わない場合は法的措置を取る可能性があることなどをまくし立てました。
私は、何とかその場を逃れるために、アルバイトの給料が入ったらすぐに返済すると約束しました。しかし、男は納得せず、「それでは今日中に10万円を支払ってください。」と要求してきました。
10万円など、その場ですぐに用意できるわけがありません。私は必死に、親に借りる、友達に借りると、ありとあらゆる手段を考えましたが、どうにも工面できませんでした。
男は、私の言葉を信じようとせず、さらに高圧的な態度で迫ってきました。「支払わないなら、今すぐ家の中に上がり、家財道具を差し押さえます。」
私は、恐怖で声も出ませんでした。その瞬間、私は人生のどん底に突き落とされたような気がしました。
絶望的な状況の中、私はふと、大学の教授の言葉を思い出しました。「困ったことがあれば、いつでも相談しなさい。」
藁にもすがる思いで、教授に電話をかけ、事情を説明しました。教授は、私の話を静かに聞いてくれ、「すぐに大学に来なさい。」と言ってくれました。
大学に到着すると、教授はすぐに弁護士に連絡を取ってくれました。弁護士は、男に法的措置を取ることを警告し、すぐに立ち去るように指示しました。
男は、弁護士の言葉に逆らえず、渋々立ち去りました。私は、教授と弁護士に感謝の言葉を述べ、ようやく安堵することができました。
この事件の後、教授は私にこう言ったのです。「君は、よく頑張った。今回の経験を糧にして、これからの人生を歩んでいきなさい。」
そして、教授は私に、奨学金の申し込みを紹介してくれたのです。奨学金のおかげで、私は大学を卒業することができました。
あの日、教授に助けを求めなければ、私は人生を大きく狂わせていたかもしれません。私は、教授の恩義を決して忘れません。
実は、借金の取り立てについては法律で細かくルールが決められています。
お金を借りて返せないんだから、何をされても仕方ないんだ…と考えなくて良いんですね。
借金の取り立て時間は、貸金業法で定められています。
法律なので、言い回しが独特ですが、取り立ては「内閣府令で定める不適当な時間帯に取り立てしてはいけない」&「内閣府で定める不適当な時間帯は、午後九時から午前八時までの間とする」という2つの文言で、借金の取り立ては、午前八時~午後九時までということですね。
具体的に時刻が記述されているのは、貸金業法施行規則(昭和五十八年大蔵省令第四十号)の第十九条です。
第十九条 法第二十一条第一項第一号(法第二十四条第二項、第二十四条の二第二項、第二十四条の三第二項、第二十四条の四第二項、第二十四条の五第二項及び第二十四条の六において準用する場合を含む。)に規定する内閣府令で定める時間帯は、午後九時から午前八時までの間とする。
引用:貸金業法 | e-Gov法令検索
取り立て可能な時間以外は、自宅への訪問はもちろん、電話での取り立ても禁止です。
貸金業法では督促の連絡を一日に4回以上行うことは違法とされています。鬼電も違法ということですね。
大手銀行や消費者金融は一日3回までの連絡を行うことが多いようです。
可能な時間帯以外に取り立てをおこなうほか、以下のような取り立ては違法になります。
子の借金を親や兄弟に代わりに返済するよう督促するのは違法。でも、闇金業者は知らんぷりしてやってくる可能性もあるんですね。
返済できる目処があればそれを金融機関に伝えることで督促の連絡が止まる可能性があります。しかし、借金の時効を待っている場合は電話で返済する意思を伝えると時効がリセットされるので注意が必要です。
関連)時効の援用の書き方
「借金の取り立ては、午前八時~午後九時まで」ということなら、
家には午後八時まで帰宅せず、朝は八時前に家を出れば借金の取り立てに合わないのでは?
かかってきた電話は、無視しちゃえばいいのでは?手紙なんかは無視で!
と考えるのは間違いです。
もし、取り立てのための連絡がつかない場合は、職場に電話がかかってくる可能性があります。
職場で返済を迫るなどして仕事のじゃまをすると、威力業務妨害罪に問われますが、「連絡がつかないから」という合理的な理由があれば、職場に電話するのは合法なんですね。
大手の消費者金融やクレジットカード会社、銀行などの金融機関が合法な取り立てを行う場合は、以下の流れになります。
電話や書面で督促
↓
無視していると、裁判を起こされる
↓
裁判に負けると、差し押さえなどの強制執行
ただ、徹底的に無視をしなければ、分割払いでの和解となるケースも少なくありません。
貸金業法では、取り立てをおこなう曜日は規定されていません。
法律上では、土日の午後9時から午前8時以外は、取り立てを行って構わないことになっています。実際にこの時間帯に取り立てをおこなう業者もいます。
しかし、土日祝日は貸金業者自体が休みのところが多いんですね。また、土日に取り立てをおこなうとクレームが来ることがあります。
実は取り立てのルールに「債務者以外に借金があることを明かすのは違法」というものがあります。
そのため、休日に家族と過ごしているところに取り立てをおこなうと、借金に関するプライバシーを守れない事が多いんですね。
そこで「法律違反じゃないか」というクレームに発展するというわけです。
貸金業法の21条1項によると、「正当な理由なく、勤務先など、居宅以外の場所に電話やFAX、訪問などをする行為」が禁止されています。
連絡が取れない場合に、借金の取り立て目的であることを明かさずに電話することは合法とされています。
しかし、電話口で「おたくの社員の○○さんの借金のことでー」などと切り出すのはNG。電話以外にFAXや訪問などもNGです。
業務妨害に該当することもあり、悪質な取り立て行為とされています。
相手が知人など、個人だった場合は貸金業法の取り立て規制は適用されません。
業者なら法律違反になるような厳しい取り立ても、グレーゾーンの扱いになっていて、処罰の対象にならないケースがあります。
このような場合、「借金の取り立て」に関する法律を適用するのではなく、(家族に返済を迫る)脅迫罪や(サラ金から借りてでも返せと脅す)強要罪、殴る蹴る(暴行罪)、(物を壊す、「金返せ」とドアに落書き(器物損壊罪)などで警察に訴えるのが良いでしょう。
「おたくのお兄さん、借金を返してくれないんですよ」など家族親戚に言いふらすような行為も、場合によっては「名誉毀損」にあたることがあります。