債権者代位権というのは、ざっくり言うと「債権者の債権を代わりに、回収できる権利」です。
理屈はわかるんだけど、お金借りてる人が別の人にお金貸すかなぁ?
とは思います。
「返すお金がありませーーん!無いものは払えませーーん」ってことを偽装するために、他人に手元の現金を貸すってことが現実にはあるんでしょうか。
例えば、無保険で自動車を運転していて交通事故を起こした人が、「お金がないので、何も払えませーーん」と開き直ることは、けっこうあるそうです。
債権者代位権は、民法423条にて定められています。
債権者代位権は、債権回収において強い権利ですが、無制限にいつでも使える権利というわけではなく、要件があります。
まず、債権者代位権を使う大前提が「無資力要件」。
債務者に、返すべきお金がなくて、本人からの回収が不可能というケースのみ、債権者代位権が使えます。
また、債務者が債権を持っていた場合でも、一身専属権(いっしんせんぞくけん)の場合は回収ができません。
具体的には、年金受給とか生活保護の受給金など。
債務者の受給予定の年金を先回りして回収、ということはできないんですね。
債務者が、債権者にお金を返すのを回避するために、第三者にお金を貸す、またはクルマなどを買って渡すという行為を「詐害行為」と呼びます。
たしかに、お金を払うのがイヤでそういうトリッキーなことをする人は居そうですよね。
そういった「詐害行為」を債権者は取り消すことができるんですね。
具体的には、債務者が車を買って別の人に渡したとすると…債権者は車をもらった人から、車を返してもらえるんですね。
このようなケースで、債権者代位権の転用が適用されます。
土地がAさんからBさんへ譲渡された。
登記がAさんからBさんに移る前に、BさんはCさんに土地を譲渡した。
困ったのはCさん。
Cさん「おいおい、登記を私に移してくれよ」
Bさん「いやー、登記は今、Aさんになってるから、オレに言われてもムリ」
いや、フツーにBさんがAさんに「登記をオレに移してよ」って言えばいいんですけど、
何故か放置されてる…ってケースがあるみたいなんですね。
こんなとき、
CさんはAさんに「Bさんに登記を移してよ」と請求できます。
これを債権者代位権の転用と言うんですね。
ポイントは、
Cさん「Aさん、私(C)に登記を移してよ」
はNGだということ。
Cさん「Aさん、Bさんに登記を移してよ」
はOK。
その後、
Cさん「Bさん、私(C)に登記を移してよ」
と請求することになるんですね。
面倒クセェ―!
ちなみに、債権者代位権の転用には、無資力要件は不要。