

CVP分析の公式を全部丸暗記しようとすると、試験本番で8割以上の受験者が頭の中で公式が混乱してしまうというデータがあります。
CVP分析とは、「費用(Cost)・販売量(Volume)・利益(Profit)」の3つの頭文字を取った分析手法です。
簡単に言えば、「何個売れば利益が出るか」「あと何円売上を伸ばせば目標を達成できるか」を計算するための道具です。おにぎり屋を例にすると、固定費(家賃・人件費)が月27万円かかっているとき、1個あたり150円の貢献利益があれば、1,800個売れてようやく損益分岐点に到達する、という計算がCVP分析そのものです。
つまり、利益計画のベースです。
簿記2級の試験では、全5問のうち第4問・第5問が工業簿記で配点は合計40点。第5問にCVP分析が出題される頻度は60%を超えており、もう一つの本命テーマである標準原価計算と並んで最頻出の論点です。
この1テーマを得点源にできるかどうかで、合格ラインの70点に届くかどうかが大きく変わります。
CVP分析は必ず「直接原価計算」の形式の損益計算書と一緒に出題されます。
これが基本です。
全部原価計算では費用を製品原価と期間費用に分けますが、直接原価計算では費用を「変動費」と「固定費」に分けます。
| 区分 | 全部原価計算 | 直接原価計算 |
|---|---|---|
| 費用の分け方 | 製品原価 / 期間費用 | 変動費 / 固定費 |
| CVP分析との相性 | ❌ 難しい | ✅ 相性抜群 |
| 損益計算書の利益名 | 売上総利益 → 営業利益 | 貢献利益 → 営業利益 |
変動費とは売上に比例して増える費用(材料費・運送費など)で、固定費とは売上に関係なく一定にかかる費用(家賃・人件費など)です。
直接原価計算の損益計算書を見たらCVP分析の準備ができている、と考えて問題ありません。
CVP分析の解法の核となるのが「貢献利益」と「貢献利益率」です。
貢献利益とは、売上高から変動費だけを差し引いた利益のことです。
例えば、売上高100万円・変動費60万円のとき、貢献利益は40万円で、貢献利益率は0.4(40%)です。これは「売上高の40%が貢献利益として固定費の回収と利益の創出に貢献している」という意味です。
貢献利益率が高いほどいいということです。
貢献利益率と変動費率は必ず足して1になります。変動費率0.6なら貢献利益率は1−0.6=0.4と一瞬で出せるので、これは覚えておきましょう。
なお、「貢献利益」は「限界利益」とも呼ばれます。簿記2級の出題では「貢献利益」という用語が主流ですが、経営学や中小企業診断士の学習では「限界利益」という呼び方が多く出てきます。
意味は同じです。
参考:貢献利益(限界利益)の考え方とCVP分析の関係が図解でわかりやすく解説されています。
CVP分析とは?短期利益計画を立案するための知識を図解で解説|Funda簿記
CVP分析の最も基本的な問題が「損益分岐点売上高を求めなさい」という形式です。
損益分岐点とは、利益がゼロになる売上高のことです。貢献利益がちょうど固定費と等しくなる点と言い換えてもOKです。
損益分岐点売上高の公式はこうなります。
具体的な数値で確認しましょう。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上高 | 1,000,000円 |
| 変動費 | 600,000円 |
| 固定費 | 300,000円 |
| 営業利益 | 100,000円 |
まず貢献利益率を計算します。貢献利益 = 1,000,000 − 600,000 = 400,000円、貢献利益率 = 400,000 ÷ 1,000,000 = 0.4。
次に損益分岐点売上高を計算します。300,000 ÷ 0.4 = 750,000円。
検算してみましょう。売上高750,000円のとき変動費は750,000×0.6=450,000円、貢献利益は300,000円、固定費も300,000円なので営業利益はゼロ。
正確に一致します。
販売数量を求める場合は、損益分岐点売上高750,000円 ÷ 販売単価@1,000円 = 750個と計算します。
次に頻出なのが「目標利益200,000円を達成するためには売上高がいくら必要か」という問題です。
公式は損益分岐点の式を少し変えるだけです。
先ほどと同じデータで計算します。(300,000 + 200,000)÷ 0.4 = 1,250,000円。
考え方はシンプルです。貢献利益から固定費300,000円を引いたうえで、さらに200,000円の利益を出すためには、貢献利益が500,000円必要です。貢献利益率0.4で500,000円の貢献利益を得るには、500,000 ÷ 0.4 = 1,250,000円の売上が必要、ということです。
これは使えそうです。
やや応用的な問題として「目標売上利益率20%を達成する販売数量を求めなさい」という出題もあります。
売上利益率とは「営業利益 ÷ 売上高」です。つまり「売上高の20%が利益になる」ということが条件です。
売上高をSとおいて方程式を立てます。
整理すると「貢献利益率 ー 目標売上利益率」で割ることになります。
公式に変換すると「固定費 ÷(貢献利益率 ー 目標売上利益率)」です。
300,000 ÷(0.4 − 0.2)= 300,000 ÷ 0.2 = 1,500,000円と速算できます。
販売数量は1,500,000 ÷ 1,000 = 1,500個となります。
「安全余裕率」は試験で必ず問われる指標の一つです。
安全余裕率とは、現在の売上高が損益分岐点売上高をどれだけ上回っているかを示す割合です。「売上高が何%落ちても赤字にならないか」を表す経営安全の指標と言えます。
先ほどの例で計算してみます。実際の売上高1,000,000円、損益分岐点売上高750,000円のとき。
安全余裕率 =(1,000,000 − 750,000)÷ 1,000,000 × 100 = 25%。
これは「売上が25%(=25万円)落ちても赤字にならない」ということです。大雑把に言うと「4分の1減っても耐えられる体力がある」状態です。
安全余裕率が高いほど不況に強いと判断できます。日本の中小企業の平均的な安全余裕率は10%前後とされており、大手製造業では20〜30%程度が健全水準の目安です。試験の指標としてだけでなく、実際の企業分析でも使える知識です。
参考:安全余裕率の企業事例や計算の詳細が図解でわかりやすく説明されています。
【図解】安全余裕率とは?企業事例を使ってわかりやすく解説|Funda簿記
経営レバレッジ係数は、簿記2級の中では比較的上位の応用論点ですが、近年の試験で出題が増えています。
「レバレッジ(てこ)」という言葉が示すように、小さな売上増加が利益に大きく影響する仕組みを数値化したものです。
先ほどのデータで計算します。貢献利益400,000円 ÷ 営業利益100,000円 = 4.0。
これが意味するのは「売上高が1%増えると、営業利益が4%増える」ということです。係数が大きいほど利益の振れ幅が大きい構造と言えます。
重要な関係が一つあります。
安全余裕率25%(= 0.25)の逆数は1 ÷ 0.25 = 4.0。これは先ほどの経営レバレッジ係数と一致します。
つまり、安全余裕率が小さい(経営が綱渡り状態の)企業ほど、経営レバレッジ係数は大きくなります。固定費の割合が高い製造業や航空会社がその典型です。売上が少し下がるだけで大きな赤字になるリスクがある一方、売上が伸びれば利益が一気に増えるという二面性があります。
逆数の関係は必須です。
参考:CVP分析の解き方と経営レバレッジ係数の詳細が例題とともに丁寧に解説されています。
簿記2級のCVP分析問題では、変動費と固定費が最初から与えられないケースも多いです。その際に使うのが「高低点法(固変分解)」です。
高低点法とは、過去の実績データのうち、操業度が最も高い月と最も低い月の2点を使って、変動費率と固定費を割り出す手法です。
手順は3ステップです。
例えば、正常操業圏が200〜800個のとき、下記のデータがあったとします。
| 月 | 生産量(個) | 製造間接費(円) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2月 | 300 | 160,000 | 低点 ✅ |
| 3月 | 100 | 40,000 | 範囲外 ❌ |
| 5月 | 700 | 232,000 | 高点 ✅ |
| 6月 | 900 | 420,000 | 範囲外 ❌ |
変動費率 =(232,000 − 160,000)÷(700 − 300)= 72,000 ÷ 400 = @180円/個。
固定費 = 160,000 − 180 × 300 = 160,000 − 54,000 = 106,000円。
注意点が一つあります。高点・低点の判断は「製造間接費の金額」ではなく「操業度(生産量)」の大小で行います。ここを間違えると全ての計算が崩れるので注意が必要です。
また正常な操業度の範囲外のデータは異常値として除外します。
これも見落としがちな落とし穴です。
参考:高低点法の計算手順と正常操業圏の考え方が例題つきで詳しく説明されています。
高低点法による固変分解~問題を解きながら理解しよう~|いぬぼき
実際の試験では、高低点法で固変分解を行い、その結果を使ってCVP分析を行う「一気通貫型」の問題が頻出です。固変分解とCVP分析がセットで出題されます。
このタイプの問題のステップは次のとおりです。
一見複雑に見えますが、ステップを順番に踏めば問題はありません。
実戦的なアドバイスとして、試験では最初に貢献利益率と固定費を必ずメモ書きで確認してから計算を始めることをおすすめします。この2つの数値さえ正確に出せれば、その後の問いはほぼすべて「公式に当てはめるだけ」で解けます。
焦らず順番が基本です。
簿記2級のCVP分析問題で得点を落とすパターンは、大きく3つに集約されます。
失点パターン①:変動費と固定費の分類ミス
変動製造原価・変動販売費は「変動費」に、固定製造原価・固定販売費・一般管理費は「固定費」にまとめる必要があります。見落として営業利益を計算すると、全ての数値がずれてしまいます。問題の資料を見たら、まず変動費合計・固定費合計を書き出す作業を必ずやりましょう。
失点パターン②:高低点法で範囲外のデータを使ってしまう
正常操業圏の条件を見落として異常値を高点・低点として使ってしまうと、変動費率が全く異なる数値になります。問題文に「正常な操業度の範囲は〇〇個から〇〇個」という記載があった場合、範囲外のデータを最初に「×」で消す習慣をつけましょう。
失点パターン③:目標売上利益率の計算式ミス
「目標売上利益率〇%を達成する売上高」は「固定費 ÷(貢献利益率 ー 目標売上利益率)」です。分母を「貢献利益率」だけで割ってしまう単純ミスが多発します。売上利益率の問題は方程式をゼロから立てて確認する方が、ミスを防ぎやすいです。
対策としては、問題を解いた後に必ず検算する習慣が有効です。計算した売上高を損益計算書に当てはめて、本当に営業利益がゼロ(または目標値)になっているかを確認するだけで、ケアレスミスの大半は防げます。
これは他のサイトではほとんど触れられていない視点ですが、CVP分析は簿記の試験勉強にとどまらず、株式投資や企業分析の実務で極めて使えるフレームワークです。
金融に興味があるなら、企業の損益計算書(P/L)を見る際にCVP的な視点を加えると、競合他社との比較が格段に深まります。
具体的には次のような使い方があります。
例えばソフトウェアビジネスは、変動費がほぼゼロに近い(ユーザーが増えても原材料費が増えない)ため、貢献利益率が80〜90%を超えるケースもあります。これは損益分岐点を超えた瞬間から利益が一気に積み上がる構造を意味します。
一方、製造業は変動費の割合が高く、貢献利益率は20〜40%程度であることが多いです。
CVP分析を学ぶことで、こうした業種特性の違いが数字で理解できるようになります。簿記2級の知識が株式投資や企業財務の分析スキルに直結する、というのが実際のところです。
CVP分析を試験で確実に得点に変えるための学習順序は次のとおりです。
フェーズ1(基礎固め)
まず直接原価計算の損益計算書の仕組みを理解します。変動費・固定費・貢献利益・営業利益の関係を図示できる状態にすることが目標です。全部原価計算との違いも同時に押さえましょう。
フェーズ2(CVP分析の基本公式)
損益分岐点売上高・目標利益達成売上高・目標売上利益率の3パターンを、方程式を立てる形で練習します。公式の丸暗記より「なぜその式になるのか」を理解することが先です。
フェーズ3(高低点法の組み合わせ)
固変分解(高低点法)→CVP分析という一気通貫の問題を繰り返し練習します。過去問では第141回(CVP分析が第5問)などが良い練習材料になります。
フェーズ4(安全余裕率・経営レバレッジ係数)
最後に応用指標を加えます。安全余裕率と経営レバレッジ係数が逆数の関係にあることを体感できれば、どちらかが出ても対応できます。
学習ツールとして、パブロフ簿記やいぬぼきのような無料Webサイトは問題と解説が充実していて、手を動かしながら確認できます。また、日商簿記2級の試験はネット試験と統一試験の両方で受験可能で、苦手論点を重点的につぶしてから受験日を選べる柔軟性があるのも大きなメリットです。
参考:CVP分析の実戦形式の問題と解説が段階的に学べる構成になっています。
CVP分析は強力な分析ツールですが、いくつかの前提条件の上に成り立っています。この限界を知っておくことが、実務での応用においても重要です。
例えば「固定費は一定」という前提は現実には維持しにくい場合があります。生産量が大幅に増えれば新たな設備投資が必要になり固定費が跳ね上がりますし、人件費も段階的に増えます。
試験上では「固定費一定」として計算するのが原則ですが、実際の経営でCVP分析を使う際は「この計算は短期の利益計画を立てるための近似値」として活用することが正しい姿勢です。
短期の利益計画が原則です。
この前提の限界を理解した上でCVP分析を使えると、試験の記述問題(CVP分析の問題点を答えなさい)にも対応しやすくなります。実際に日商簿記1級や中小企業診断士の試験ではこうした「限界・前提条件」を問う出題もあるため、2級の段階から意識しておく価値があります。
参考:CVP分析の注意点と前提条件が実務の観点からも整理されています。
CVP分析(損益分岐点分析)とは?分析の目的と計算方法、注意点を解説|SINTO
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