

あなたの預金が無駄にリスクを背負っているかもしれません。
一般に「預貸率は80%が健全」と言われますが、実はこれが当てはまらない銀行が増えています。最近では、金利差や日本銀行のマイナス金利解除後の影響で、100%を超える預貸率の金融機関も出ています。預金より貸出金が多い状態ということですね。
この状況は一見高収益に思えますが、実は深刻な資金流動性リスクを招きます。特に信用金庫では、地元中小企業への融資が多く、回収不能債権が増えると一気に経営を圧迫します。
つまり「預貸率が高い=良い銀行」ではありません。
金融庁『主要行の資金繰り状況レポート(2025年版)』には、平均預貸率が83%を上回る銀行のうち、実質自己資本比率が7%を下回る割合が4行に1行に達すると記されています。
つまり、預貸率と健全性は比例しないということですね。
地方銀行に目を向けると、預貸率の低下が経営のボトルネックになっています。地域経済の縮小と人口減によって融資先が減少、結果として預貸率が60%台の地方銀行も。
低すぎる預貸率は、資金を遊ばせてしまい、収益力の低下を招きます。
実際に、A地方銀行では2024年度の預貸率が63%まで低下し、前年より純利益が12億円減少しました。預金は集まっているのに貸出先がない、典型的な「資金滞留型経営」です。
つまり、低い預貸率も「リスク」なんですね。
このような課題に対して、一部の銀行はAIベースの融資審査システムを導入し、中小企業や個人事業向けの柔軟な貸出を再開しています。
Fintechによる資金循環の再構築が焦点です。
信用金庫では平均預貸率が95%を超えるところも珍しくありません。地域密着型の経営モデル上、預金と貸出の比率が高くなりがちです。
ただしこれは「攻めの姿勢」に見えて、預金流出時のリスクが高まる状態でもあります。
例えば、2023年に東海地方の某信金では、地元企業倒産による貸倒引当金増加で預貸率97%から87%へ急落しました。
わずか半年で資金の安定性が崩れる結果となり、格付会社から「ネガティブ見通し」評価を受けました。
つまり信用金庫では「高預貸率=安定」ではないのです。
そのため、預貸率85%前後を維持しながら、余剰資金を「短期運用債」へ分散させる戦略が主流になっています。
効率と安全のバランスが肝心ですね。
マクロ環境の変化も無視できません。2025年のマイナス金利解除以降、貸出金利が上昇し、銀行は貸出を増やす動きに。しかし、同時に企業側の慎重姿勢が強まり、貸出金総額は前年比+1.2%に留まりました。
結果、預貸率の急上昇は避けられたものの、総資金効率の改善も鈍化。
ここで重要なのは、「金利上昇=預貸率上昇」ではない点です。貸出が増える一方、預金も利回りを求めて動くため、バランスが複雑になります。
つまり、マクロの動きは個別銀行の預貸率に直結するのです。
投資家向けには、「預貸率変動リスク」を測定するツールも登場しています。証券系フィンテック企業の提供するLoanRatio Watcherなどは、各行の預貸率推移を可視化し、投資判断の材料になります。
個人投資家が銀行株や社債を分析する際、預貸率の“高さ”だけで評価するのは危険です。高すぎれば貸出リスク、低すぎれば収益リスクがある。均衡が重要です。
また、預貸率が「前年より上がった銀行」であっても、その背景が不良債権の積み上げならむしろ要警戒です。
つまり「数値の上下」ではなく、「構造の変化」を見ることが投資判断のカギです。
個人でも各行の有価証券報告書や日銀統計を確認できます。
金融庁の「EDINET」では、預貸率推移が年度別に公開されています。
以上のように、預貸率の目安は単なる数字ではなく、その裏にある構造・地域・政策の文脈を読む必要があるのです。
預貸率の本質を知れば、銀行経営も投資判断もまったく違った見方ができますね。