通知義務と告知義務の違いを保険契約で正しく理解する

通知義務と告知義務の違いを保険契約で正しく理解する

通知義務と告知義務の違いを保険で正しく知る方法

告知義務違反でも、病名と事故の原因が無関係なら保険金は全額受け取れます。


📋 この記事の3ポイントまとめ
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告知義務は「契約時」の義務

保険会社から質問された事項に対して、契約締結の段階で正確に回答する義務。2010年施行の保険法により「自発的申告」から「質問応答義務」へ変わった。

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通知義務は「契約後」の義務

保険契約が成立した後、告知内容に変更が生じた場合(職業・用途・住所など)に遅滞なく保険会社へ連絡する義務。怠ると契約解除・保険金不払いになる。

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違反しても「因果関係なし」なら支払われる

義務違反があっても、違反した事実と保険事故との間に因果関係が認められない場合は、保険法の規定により保険金が支払われる(保険法第31条)。


告知義務とは何か:保険契約時に求められる「質問応答義務」の正体


保険に加入する際、必ず「健康状態はいかがですか」「職業を教えてください」といった確認を受けます。これが告知義務の実態です。告知義務とは、保険会社が保険料の計算や引受けの可否を判断するために必要な事項について、契約者または被保険者が事実を正確に申告しなければならない義務のことです。


ここで多くの人が誤解しているのが、「自分で重要だと思うことをすべて申告しなければならない」という思い込みです。実は違います。


2010年4月に施行された保険法によって、告知義務は「自発的申告義務」から「質問応答義務」へと大きく変わっています。これが基本です。つまり、保険会社が書面や画面で質問した事項にだけ正確に答えれば十分であり、聞かれていないことをわざわざ申告する必要はありません。


告知の対象となる主な事項は、保険の種類によって異なります。たとえば、生命保険・医療保険では「過去5年以内の入院・手術歴」「現在の健康状態や持病」「他の保険契約の有無」などが該当します。自動車保険では「免許証の色(ゴールド・ブルー・グリーン)」「年間予定走行距離」「使用目的(日常・レジャー用か通勤・通学用か)」「前契約の事故件数や等級」などが中心です。火災保険では「建物の構造・用法」「所在地」「他の保険契約の有無」などが問われます。


告知を受け付けるのは、損害保険では代理店(保険募集人)が契約締結と同時に告知受領権を持っている場合があります。ただし、すべての保険募集人が告知受領権を持つわけではない点には注意が必要です。


知っておくと得する情報として、もし告知漏れに気づいた場合は「追加告知」を速やかに行えば、告知義務違反にはなりません。気づいた時点でためらわず保険会社へ連絡することが重要です。


生命保険文化センター:保険法の概要(告知義務・解除権の詳細)


通知義務とは何か:契約後に変更が生じた場合の「遅滞なき報告」義務

告知義務が「契約前・契約時」の義務であるのに対し、通知義務は「契約締結後から保険期間終了まで」の間に発生する義務です。これが2つの最大の違いです。


保険契約を結んだ後、生活の変化によって告知内容と実態が変わることは珍しくありません。転職、引越し、建物の用途変更、車の使い方の変化など、日常的に起こりうる変化が通知義務の対象になります。


具体的に通知が必要な事例を保険種別で見てみましょう。


| 保険種類 | 通知が必要な主な変更事項 |
|---|---|
| 🚗 自動車保険 | 住所変更・使用目的の変更(日常用→通勤用など)・年間走行距離の大幅変化・車両の登録番号変更 |
| 🏠 火災保険 | 建物の用途変更(住宅→店舗など)・家財の他場所への移転・構造変更やリフォーム |
| 🏃 傷害保険 | 職業や職種の変更(事務職→現場作業員など) |


通知が必要になる理由は、保険料の公平性にあります。建物の用途が「住宅」から「店舗」に変わると火災リスクが上昇し、本来は保険料が高くなるはずです。危険度が変わった場合、保険会社は保険料を見直す必要がありますが、契約者から申出がなければ把握できません。そのため、契約者に通知を義務付けています。


なお、危険度が「増加」した場合は追加保険料が必要になる一方、「減少」した場合は未経過期間に応じて保険料の返還を請求できます。これは意外と知られていません。


通知は「遅滞なく」行うことが原則で、変更が生じた事実を知ったらすぐに保険会社または代理店へ連絡するのが基本です。なお、保険法では以前の旧商法時代の「あらかじめ」通知するという規定が改められ、現在は「遅滞なく」通知すれば足りるとされています。


損害保険協会Q&A:火災保険における告知事項・通知事項の詳細


告知義務違反と通知義務違反の違い:保険金が支払われないケースとは

義務違反が発覚した場合の結果が最も重要です。知らないと大損します。


まず共通の結論として、故意または重大な過失によって告知義務・通知義務に違反した場合、保険会社は契約を解除できます。しかし、違反したら必ずすべての保険金が支払われないわけではありません。これが大きなポイントです。


告知義務違反の場合の保険金支払いルール


告知義務違反があり保険会社が契約を解除した場合、原則として解除後の事故には保険金は支払われません。解除前の事故についても同様です。ただし、重要な例外があります。保険法第31条の規定により、「告知義務違反に係る事実と保険事故との間に因果関係がない場合」は、保険会社は保険金を支払わなければなりません。


具体例を挙げると、過去に腰痛で通院していた事実を告知しなかった(告知義務違反)が、保険事故の原因が交通事故による骨折だった場合、腰痛の告知漏れと骨折事故の間に因果関係はないため、保険金は支払われます。この規定は非常に重要です。


通知義務違反の場合の保険金支払いルール


通知義務違反の場合も、同様の「因果関係不存在」の特則が適用されます。通知義務違反にかかる事実と保険事故との間に因果関係が認められない場合は保険金が支払われますが、因果関係が認められる場合は支払われません。


解除できない期間・条件


告知義務違反でも、保険会社が契約を解除できないケースが存在します。多くの生命保険約款では「責任開始日から2年を超えて継続した契約は、告知義務違反を理由に解除しない」と定めています。保険法上は5年ですが、契約者有利の規定として約款で2年に短縮されているのが一般的です。


ただし例外があります。2年経過後でも支払事由が2年以内に発生していた場合や、告知義務違反の内容が「詐欺」に当たるほど重大な場合は、時効にかかわらず契約取消・保険金不支払いとなる可能性があります。痛いですね。


もう一つの解除不可ケースとして、保険募集人が告知を妨害した場合、または不告知を教唆した場合は、保険会社は契約を解除できません(保険法に明記)。もし加入時に募集人から「それは書かなくていいですよ」と言われて告知を省いた場合は、この抗弁が使える可能性があります。


生命保険文化センターQ&A:病歴があったのに告知するのを忘れていたら?


告知義務違反・通知義務違反を防ぐ実践的チェックポイント

違反は「うっかり」から起きることが多いです。だからこそ、具体的な場面を知っておくことが重要です。


よくある告知義務違反のパターン


生命保険・医療保険での告知義務違反で最も多いのは、「過去の病歴の申告漏れ」です。たとえば「5年以上前のことだからもう関係ない」と判断して書かなかった結果、後に違反と判断されるケースがあります。実際には約款の告知期間(多くは5年以内)をしっかり確認することが必要です。


自動車保険では、「通勤・通学用の車を日常・レジャー用で申告する」ケースが代表的です。月15日以上通勤に使う場合は「通勤・通学用」に変更する必要があります。年間予定走行距離を低めに設定して事故が起きると、保険金が支払われない場合があります。これは注意が必要です。


よくある通知義務違反のパターン


- 📍 転職して職業・職種が変わったのに傷害保険に通知しなかった
- 🏠 住宅の一部を事務所やテナントとして使い始めたのに火災保険に通知しなかった
- 🚗 マイカーを転職後の業務使用(週5日以上)にも使うようになったのに自動車保険を変更しなかった
- 📦 家財を別の場所に一時移転したのに火災保険に通知しなかった


通知義務違反は特に「生活の変化に気づきにくい」という特徴があります。対策として、保険証券を年1回見直す習慣を持つのが有効です。生命保険会社や損害保険会社の多くはマイページや専用アプリを提供しており、契約内容の確認・変更を手軽に行えます。確認するタイミングとしては、「転職・転居・結婚・車の買い替え」などライフイベントのタイミングが最適です。


保険の見直し・比較を検討している場合には、「保険の窓口」や「ほけんの窓口」といった独立系の保険相談サービスを活用すると、複数社の保険を横断的に比較しながら専門家に相談できます。複数社を比べることが条件です。


損害保険協会Q&A:自動車保険における告知事項・通知事項(詳細)


告知義務・通知義務をめぐる独自視点:「違反リスク」を保険選びの基準にする考え方

告知義務や通知義務は「守らなければならないルール」として語られることがほとんどです。しかし、金融リテラシーの高い人はこれを保険商品の「使いやすさの指標」として活用しています。


告知事項の数が少ない保険は「加入しやすい」反面、引受範囲が広いため保険料が割高になる傾向があります。一方、告知事項が詳細なほど、そのぶんリスクが精緻に評価され、健康な人や安全運転の人は割安な保険料になります。どちらが得かは人によって異なります。


同様に、通知事項の範囲が広い保険は「変化に対応しやすい」一方で、通知漏れによる違反リスクも高くなります。保険を選ぶ際には、保険料の安さだけでなく、「自分のライフスタイルの変化に合わせて通知しやすい商品か」という観点を持つことが重要です。


たとえばフリーランス副業をしている人は、職業・職種の変化が多いため、通知義務のある傷害保険を選ぶ際には「何が通知事項か」を最初に確認しておくことが得策です。職業が変わるたびに保険料が変動する可能性があるため、変更手続きのしやすさも選択基準になります。


また、保険会社の中には、通知事項の変更をスマホアプリで完結できるサービスを提供しているところも増えています。契約後の手続き利便性を含めて比較すると、長期的な通知義務違反リスクを大きく下げることができます。これは使えそうです。


さらに、複数の保険に加入している場合は「他の保険契約等の有無」が告知事項になっているケースもあります。たとえば、会社の団体保険・共済に加入しながら個人の医療保険にも加入する際には、既存の保険情報を正確に申告する必要があります。二重加入自体は問題ありませんが、告知漏れは違反になります。二重加入なら問題ありません。


告知義務・通知義務を「リスクの管理指標」として使うことで、保険選びの視点が広がります。保険は「加入して終わり」ではなく、「契約中も正確に管理する金融商品」だという意識を持つことが、長期的な損失回避につながります。


損保ジャパン:保険法の概要(告知義務・通知義務の改正ポイント)




亘のミッション13: 告知義務