

屋号だけ書いていたあなたは、今すぐ100万円の罰金リスクを抱えています。
特定商取引法(正式名称:特定商取引に関する法律)は、消費者トラブルが発生しやすい取引形態において、事業者が守るべきルールを定めた法律です。一般に「特商法」とも呼ばれます。この法律が対象とする取引は、訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売取引・訪問購入の7種類です。
金融に関心がある方にとってとくに重要なのは、インターネットを使ったサービス販売や情報商材の提供が「通信販売」に分類される点です。投資情報をまとめたコンテンツを販売している個人、FXや株式投資に関するオンライン講座を開設している事業者、副業として電子書籍やセミナー動画を販売している会社員なども、継続的・営利的に行っていれば全員がこの法律の適用対象となります。
特定商取引法の「表示」とは、これらの取引において事業者が消費者に向けて公開する必要がある法定情報のことです。つまり「特定商取引法に基づく表記」として多くのECサイトやランディングページのフッター部分に掲載されているあのページが、法律上の義務を履行するための表示です。
注意が必要なのは、「営利の意思を持って反復継続して販売を行う者」であれば法人・個人を問わず対象になるという点です。副業で情報発信をしている個人や、週末だけ動画教材を販売している方も例外ではありません。つまり特商法の表示は必須です。
また、金融商品取引法に基づき登録を受けた金融商品取引業者が行う販売または役務の提供については、特定商取引法の適用除外となる場合があります(法第26条)。しかしこれは正式に登録された業者に限られる話であり、登録なしに投資情報を販売・提供している事業者には適用されません。独立した副業事業者やSNS発信者は適用除外にはならないと理解しておくべきです。
消費者庁が公開する「特定商取引法ガイド」は、通信販売の規制内容を詳しく解説しており、実務で確認すべき最重要情報がまとまっています。
特定商取引法ガイド「通信販売」(消費者庁)— 通信販売における広告表示義務・行政規制・民事ルールの全体像が確認できます。
通信販売を行う事業者が、特定商取引法に基づいて表示しなければならない項目は法律で細かく定められています。抜け漏れがあると法違反になりますので、一つひとつ確認することが大切です。
まず必須となるのが、事業者の氏名(名称)・住所・電話番号です。ここで大きな誤解が起きやすいポイントがあります。個人事業主が「屋号だけ書けばいい」と思っているケースが非常に多いのですが、これは違反になります。法律上、個人事業主は戸籍上の氏名または商業登記に記載された商号を記載する義務があり、商業登記されていない屋号のみの表示は認められていません。屋号だけ書いているあなたは、実は法律違反の状態です。
次に、商品の販売価格と送料の明記が必要です。税込み金額を明確に示すことが求められ、送料が別途発生する場合はその金額も記載します。仮に「送料無料」なら、その旨を書けばOKです。
代金の支払時期と支払方法についても記載が必要です。クレジットカード、銀行振込、コンビニ払いなど、実際に使用できるすべての支払方法を列挙し、それぞれいつ支払いが発生するのかを明記します。
商品の引渡時期(発送時期)も義務記載事項です。「ご入金確認後5営業日以内に発送」など、消費者が受け取り時期を予測できる表現を使います。
返品・キャンセルに関する条件は、特に念入りに記載すべき項目です。通信販売にはクーリング・オフ制度が適用されません。これは非常に重要な情報です。訪問販売や電話勧誘販売には8日間のクーリング・オフ期間がありますが、ネット通販には法律上のクーリング・オフ制度はないのです。代わりに、商品受け取り後8日以内に消費者側の送料負担で返品できるという規定がありますが、これも事業者が特約(返品不可など)を広告に明記していれば、その特約が優先されます。つまり返品条件の設定は事業者側に大きな裁量があります。
定期購入に関する情報は、2022年の法改正により最終確認画面での明示が義務化されました。定期購入が含まれる商品では、「最初の1回だけの購入に見せかけて実は定期契約」というトラブルが多発していたためです。
以下に、通信販売における必要記載項目を整理します。
| 記載項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 事業者名 | 山田太郎(屋号:〇〇ショップ) |
| 所在地 | 〒123-4567 東京都〇〇区〇〇1-2-3 |
| 電話番号 | 090-1234-5678(平日10〜17時受付) |
| 販売価格 | 各商品ページに税込価格を表示 |
| 商品代金以外の費用 | 送料:全国一律550円(5,000円以上無料) |
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