
相続放棄の確認が必要となる場面は、主に以下のような状況で発生します。
次順位相続人の立場から確認が必要な場合
債権者の立場から確認が必要な場合
債権者等が相続放棄を確認する理由は、手続きを進めたいからという意味があります。相続人が全員相続放棄をしているなら、債権が回収不能になるので次の手続きに進みたいからです。
音信不通の相続人がいる場合
故人が生前に配偶者と離婚し、子供と音信不通となっている場合など、連絡が取れない先順位相続人がいるケースでは特に重要になります。こうした状況では、葬儀を行った親兄弟姉妹にとって、第1順位の子供が相続放棄を行っているかどうかが深刻な問題となります。
相続放棄が受理されると、家庭裁判所から申述人に「相続放棄申述受理通知書」が送られてきます。
相続放棄申述受理通知書の記載内容
通知書による確認の具体的な方法
一般的には、相続放棄申述受理通知書のコピーを送ってもらうことで、相続放棄の確認を取ることが多いです。ただし、相続人から聞いただけでは判断できないので、相続放棄申述受理通知書のコピーを送ってもらう必要があります。
通知書確認の限界と注意点
この方法は連絡が取れることが前提条件になります。連絡を取ることができなければ、この方法は選択できません。また、通知書は再発行ができないため、紛失した場合は相続放棄申述受理証明書を取得する必要があります。
連絡が取れない場合でも、家庭裁判所に相続放棄申述の有無照会をすることで、相続放棄をしているか確認することができます。
照会申請の基本情報
必要書類一覧
照会申請には以下の書類が必要です。
利害関係を証する書面の詳細
親族の場合で直系尊属である父母や祖父母などの第2順位相続人、傍系血族である兄弟姉妹甥姪などの第3順位相続人である場合は、以下の書類が必要です。
照会結果の内容
申請書に相続人の氏名を記載して提出すると、相続放棄しているか返答があります。相続放棄していると事件番号も記載されるので、相続放棄申述受理証明書を取得することもできます。
相続放棄の確認には、いくつかの重要な注意点があります。
照会申請のタイミングに関する注意
照会申請書は基本的には照会請求の申請日までの間に相続放棄がなされているか否かの家庭裁判所からの回答となります。したがって、被相続人が亡くなった後すぐに照会請求した場合には、申請日以降で対象者が相続放棄を行っている可能性もあります。
相続放棄期限の考慮
相続放棄の3か月の期限とは相続開始を知った時からとなっていますが、債権者などから督促が来て債務の存在を初めて知った時にはその時から3か月以内の申請も認められるため、タイムラグが生じることになります。
形式的な審査の限界
家庭裁判所は、相続人から相続放棄の申述書の提出があれば、それを受理して良いかを形式的に判断します。形式的というのは、法律で定められた期間内に申立てが行われているか、相続財産の処分など法律で禁止された行為を行っていないかということを、あくまで提出された資料に基づいて判断することです。
実態が伴わない相続放棄のリスク
実態が伴わない相続放棄は、後日債権者から効力を覆されるおそれがあります。資料に出てこない部分でウソをつくと、相続放棄をする前に禁止されている行為を行っていた場合などに問題となる可能性があります。
照会可能期間の制限
照会できる期間は、被相続人の死亡日が平成12年以降の場合は、現在まで可能です。これより古い記録については確認できない場合があります。
相続放棄の確認が取れた後の具体的な対応について説明します。これは他の記事では詳しく触れられていない重要なポイントです。
確認結果に基づく具体的な対応
先順位相続人が相続放棄していた場合
先順位相続人が相続放棄していなかった場合
相続放棄申述受理証明書の活用
相続放棄を確認した後、第三者への証明が必要な場合は、相続放棄申述受理証明書を取得します。
債権者対応のポイント
相続放棄の確認後、債権者から連絡があった場合の対応も重要です。
複数相続人がいる場合の調整
同順位の相続人が複数いる場合は、全員で連携して対応することが重要です。
静岡家庭裁判所の相続放棄照会に関する詳細な手続き案内
https://www.courts.go.jp/shizuoka/saiban/tetuzuki/souzoku_houki/index.html
継続的な状況確認の重要性
相続放棄の確認は一度行えば終わりではありません。特に複雑な家族関係の場合は、継続的な状況確認が必要になることもあります。
このように、相続放棄の確認は単なる事実確認にとどまらず、その後の適切な対応までを含めて考える必要があります。不明な点がある場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。