相続放棄自分でやってみた体験談と手続き流れ費用注意点

相続放棄自分でやってみた体験談と手続き流れ費用注意点

相続放棄を自分でやってみた実践ガイド

相続放棄を自分で行う完全ガイド
📋
手続きの流れ

必要書類の準備から家庭裁判所への申述まで

💰
実際の費用

4,000円程度で手続き完了が可能

⚠️
重要な注意点

3ヶ月期限と照会書への適切な対応

相続放棄自分でやってみた体験談と実際の流れ

相続放棄を自分で行った複数の体験談から、実際の手続きの流れが見えてきます。多くの実践者が共通して感じているのは、「思っていたより自分でもできる手続きだった」という点です。

 

実際の体験者の声を見ると、家庭裁判所の担当者から「専門家に依頼する人もいますが、大半は自分でやられてますよ」との回答を得ており、決して特別な手続きではないことがわかります。

 

具体的な手続きの流れ:

  • 相続発生から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述
  • 必要書類の収集(戸籍謄本住民票等)
  • 相続放棄申述書の作成・提出
  • 家庭裁判所からの照会書への回答
  • 相続放棄申述受理通知書の受領

ある体験者は、父親が8000万円以上の借金を残して亡くなった際、普通郵便で届いた弁護士からの通知を受け取ってから、わずか3ヶ月以内に手続きを完了させています。この事例では、専門家に依頼せず自分で手続きを進めることで、高額な負債を回避できました。

 

また別の体験者は、昭和49年に亡くなった曾祖父の土地相続が巡り巡って自分に回ってきた際、活用困難な辺鄙な土地であることを理由に相続放棄を選択し、自分で手続きを完了しています。

 

相続放棄手続きに必要な書類と費用詳細

相続放棄を自分で行う際の費用は、想像以上に安く済みます。実際の体験者によると、総費用は4,370円(交通費込み)で完了しており、専門家への依頼費用(数万円~十数万円)と比較すると大幅な節約になります。

 

費用の内訳:

  • 収入印紙:800円
  • 郵便切手:84円×5枚=420円
  • 戸籍謄本・住民票等:約1,500円~3,000円
  • 交通費:実費

必要書類一覧:

  • 相続放棄申述書(家庭裁判所で入手またはHPからダウンロード)
  • 被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本
  • 収入印紙800円分
  • 郵便切手(家庭裁判所により異なる)

書類収集のコツとして、東京23区内であれば1日で必要な戸籍謄本を全て取得することも可能です。被相続人の本籍地、申述人の本籍地、被相続人の住所地の3か所を効率的に回ることで、平日1日を使って書類を揃えることができます。

 

相続放棄申述書は裁判所のホームページからダウンロードできるため、事前に内容を確認し記入を進めておくことで、当日の手続きがスムーズになります。

 

相続放棄申述書作成から家庭裁判所提出まで

相続放棄申述書の作成は、雛型通りに進めれば難しくありませんが、いくつかのポイントで迷いやすい箇所があります。特に2ページ目の記載内容については、多くの体験者が戸惑いを感じています。

 

申述書作成のポイント:

  • 捨印を押印して軽微な訂正に備える
  • 身分証明書の持参を忘れずに
  • 記載ミスに備えて印鑑を持参
  • 不明な点は家庭裁判所に電話で確認

家庭裁判所での提出当日の流れは、まず地下の売店で収入印紙と郵便切手を購入し、申立窓口で書類のチェックを受けます。東京家庭裁判所では空港と同様の手荷物検査があるため、時間に余裕を持って訪問することが重要です。

 

申述書の受理後、約1週間で家庭裁判所から照会書が普通郵便で届きます。この照会書には返送期限が短く設定されており(通常1週間程度)、仕事で忙しい方には厳しいスケジュールとなることがあります。

 

家庭裁判所への質問例:

  • 申立費用の詳細
  • 郵送での申立可否
  • 申立から完了までの期間
  • 個別ケースでの必要書類
  • 法律相談(ただし裁判所は法律相談には応じない)

手続きの管轄は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となるため、遠方の場合は郵送での申立も可能ですが、一般の方は直接提出することが推奨されています。

 

相続放棄照会書回答のポイントと注意点

相続放棄申述書を提出後、家庭裁判所から届く照会書への回答は、相続放棄が認められるかどうかの重要な分岐点となります。照会書には通常5つ程度の質問事項があり、相続放棄の理由を具体的に記載する必要があります。

 

照会書でよくある質問内容:

  • 相続放棄をする理由
  • 被相続人の財産状況の把握度
  • 相続財産に手を付けていないかの確認
  • 相続放棄の意思決定時期
  • 他の相続人との関係性

照会書への回答で特に注意すべきは、申述書との整合性です。矛盾した内容を記載すると相続放棄が認められない可能性があります。体験者の中には、この段階で司法書士に相談し、遺産の資料と申述書を確認しながら整合性のある内容で照会書を作成した例もあります。

 

照会書回答の注意点:

  • 申述書との内容に矛盾がないよう確認
  • 具体的かつ簡潔に理由を記載
  • 返送期限を厳守(通常1週間程度)
  • 不安な場合は専門家への相談を検討

照会書の返送後、問題がなければ約1ヶ月で相続放棄申述受理通知書が届きます。この通知書が届けば相続放棄の手続きは完了となり、被相続人の債務を引き継ぐ義務はなくなります。

 

万が一相続放棄が却下された場合に備えて、提出した全ての書類のコピーを保管しておくことも重要です。即時抗告を行う際に、提出書類を一言一句間違いなく再現する必要があるためです。

 

相続放棄を自分でやる場合のリスクと専門家依頼の判断基準

相続放棄を自分で行うことは可能ですが、すべてのケースで推奨されるわけではありません。特に3ヶ月という期限は絶対に延長できないため、手続きに不安がある場合は専門家への依頼を検討すべきです。

 

自分で手続きできるケース:

  • 財産状況が明確で複雑な資産がない
  • 相続人同士の関係が良好
  • 必要書類の取得が容易(近隣の役所等)
  • 時間的余裕がある
  • 基本的な法律知識がある

専門家依頼を検討すべきケース:

  • 被相続人との関係が複雑(離婚、養子縁組等)
  • 大量の戸籍謄本が必要
  • 遠方の市区町村での手続きが必要
  • 相続人間でトラブルの可能性
  • 期限まで時間が少ない

専門家に依頼した場合の費用は、司法書士で3万円~5万円、弁護士で5万円~10万円程度が相場です。自分で行う場合の4,000円程度と比較すると高額ですが、確実性を重視する場合は十分に価値のある投資といえます。

 

リスク回避のための判断基準:

  • 手続き開始から期限までの残り時間
  • 必要書類の収集難易度
  • 相続関係の複雑さ
  • 自身の法的知識のレベル
  • 失敗した場合の影響度

特に注意すべきは、相続放棄は一度認められると撤回ができないという点です。また、相続財産に少しでも手を付けてしまうと「単純承認」とみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。

 

実際の体験者も、照会書の段階で専門家に相談している例があり、「迷ったら専門家に相談」という姿勢が重要です。特に、相続放棄の可否や法的な判断については、家庭裁判所は相談に応じないため、不安な点がある場合は早めに弁護士や司法書士に相談することが賢明です。

 

相続放棄を自分で行うことは十分可能ですが、個々の状況を冷静に判断し、必要に応じて専門家のサポートを受けることで、確実かつ安心な手続きを進めることができます。