

税務担当者でも見落としがちなのが、「製造業は許認可不要」という思い込みです。
参考)許認可とは?許可・認可との違いや開業に許認可が必要な業種を解…
許認可は法律上、5つの種類に分類されます。それぞれ手続きの重さが異なり、事業開始のタイミングに直結します。
参考)起業前に必読!許認可が必要な業種一覧と手続きまとめ - ツナ…
届出は最も手続きが軽いものです。美容所や理容所の開設届がこれにあたり、書類に不備がなければ原則として受理されます。事業開始前に提出が必要ですが、審査期間は比較的短期です。
参考)【税理士監修】許認可とは?申請に必要な手続き
登録は公的機関に情報を記録してもらう手続きです。宅地建物取引業者登録や電気工事業登録が該当し、一定の要件を満たせば登録が完了します。登録という名称ですが、実務では審査が入ります。
許可は原則禁止されている行為を例外的に認めるものです。建設業許可や風俗営業許可がこれにあたり、厳格な審査基準をクリアする必要があります。
取得までに数か月かかるケースもあります。
認可は法律行為の効力を発生させるための同意です。学校法人の設立認可や保育所の認可が代表例で、公益性の高い事業に求められます。
審査は最も厳しい部類です。
免許は専門的な知識や技能を持つ者だけに許される資格です。医師免許や弁護士免許のほか、酒類製造業免許や酒類販売業免許も該当します。
個人の資格と事業の免許の両方が存在します。
つまり手続きの重さ順です。
税務担当者が関与する機会の多い業種を中心に、許認可の種類と申請先を整理します。
飲食業・食品関連では、飲食店営業許可が保健所長への申請で必要です。深夜にお酒を提供する場合は、警察署への深夜酒類提供飲食店営業届も追加で求められます。菓子製造業や食肉小売業も保健所長の許可が必要です。
参考)許認可(免許や許可)が必要な業種の一覧 - 東京 会社設立パ…
酒類関連は税務署長の管轄です。酒類製造業免許と酒類販売業免許の両方があり、製造と販売で別々の免許取得が必要になります。
小売業と卸売業でも免許の種類が異なります。
建設業・工事業は、都道府県知事または国土交通大臣への申請です。建設業許可のほか、電気工事業は経済産業大臣または都道府県知事への登録が必要です。解体工事業は都道府県への登録が求められます。
運送業は地方運輸局が窓口です。一般貨物自動車運送事業許可、一般乗用旅客自動車運送事業許可ともに国土交通大臣の許可が必要です。
倉庫業は国土交通省への登録となります。
不動産業は宅地建物取引業免許が必要で、都道府県知事または国土交通大臣への申請です。複数の都道府県に事務所がある場合は国土交通大臣の管轄になります。
人材関連は厚生労働大臣への申請です。有料職業紹介事業許可と労働者派遣事業許可があり、いずれもハローワークが窓口となります。
医療・福祉関連は都道府県知事の管轄が多いです。病院や診療所の開設許可、薬局開設許可、介護サービス事業者指定などが該当します。保育所認可は市区町村が窓口になるケースもあります。
美容・理容業は保健所長への届出です。許可ではなく届出なので、要件を満たせば受理されます。クリーニング業も同様に保健所への届出が必要です。
参考)主な許認可の種類とその届出先の一覧まとめ
廃棄物処理業は、一般廃棄物処理業が市町村長、産業廃棄物処理業が都道府県知事への許可申請です。
収集運搬と処分で別々の許可が求められます。
古物商・警備業は都道府県公安委員会の管轄です。中古品の売買を行う古物商許可と警備業認定は、警察署が窓口となります。リサイクルショップや中古車販売も古物商許可の対象です。
業種によって申請先が異なる点が重要です。
すべての事業に許認可が必要なわけではありません。判断のポイントは、不特定多数の健康や衛生、環境に影響を与えるかどうかです。
消費者が任意で利用するサービスで、利用者の健康や衛生に大きな影響を与えない業種は許認可不要です。たとえば、Webデザイン業やコンサルティング業、一般的な小売業の多くが該当します。
ただし、同じ小売業でも酒類や食品、医薬品を扱う場合は許認可が必要です。また、製造業でも食品製造や化粧品製造は許可が求められます。業種名だけでは判断できないケースがあります。
事業内容が複合的な場合は特に注意が必要です。たとえば、カフェを開業する場合、飲食店営業許可に加えて、深夜営業するなら深夜酒類提供飲食店営業届も必要になります。
許認可が必要かどうか迷った場合は、所管の行政機関に直接確認するのが確実です。事業を始めてから「知らなかった」では済まされません。
判断に迷ったら事前相談です。
無許可営業は重い刑事罰の対象です。業種によって罰則の内容が異なりますが、いずれも厳しい内容となっています。
建設業の無許可営業は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。名義貸しや営業停止処分中の営業も同じ罰則が科されます。懲役刑を含む非常に重い処分で、許可取消しにもつながります。
参考)建設業の届出違反で発生する罰則とは?具体例を解説
飲食店の無許可営業は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金です。悪質な場合は保健所から営業停止命令が出され、刑事告発もあり得ます。食中毒などの事故が起きれば民事責任も発生します。
参考)営業許可を取らずに営業したらどうなる?違反のリスクと知ってお…
旅館業の無許可営業は、6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方です。民泊ブームで無許可営業が問題となり、取り締まりが強化されています。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-license/license_knowledge/
罰則は単なる罰金だけではありません。刑事罰を受けると前科がつき、その後の許認可取得に大きな影響を与えます。また、金融機関からの融資が受けられなくなるリスクもあります。
税務調査の際に無許可営業が発覚するケースもあります。売上が計上されているのに許認可の記録がない場合、調査官から指摘を受ける可能性があります。
罰金だけでは済みません。
許認可申請の流れは業種によって異なりますが、基本的な手順は共通しています。
参考)許認可とは?種類と必要な業種・申請方法もわかりやすく解説
まず申請に必要な書類を揃えます。事業計画書、本人確認書類、資格証明書、事務所の図面などが一般的です。業種によっては現地調査や測量が必要になります。
次に申請先の行政機関を確認します。同じ業種でも事業規模や営業エリアによって申請先が変わるケースがあります。国土交通大臣と都道府県知事のどちらに申請するかなど、事前確認が重要です。
書類を提出した後、書類審査や現地調査が実施されます。
不備があれば補正書の提出を求められます。
この段階で時間がかかるケースが多いです。
審査に通過すると許可証が交付されます。申請手数料や登録免許税の支払いが必要な場合もあります。許可証交付後に説明会への出席が求められる業種もあります。
所要期間は業種によって大きく異なります。届出は数日から1週間程度ですが、許可や認可は数か月かかることもあります。建設業許可は通常2~3か月、飲食店営業許可は2~3週間が目安です。
事業開始の予定日から逆算して、余裕を持って申請する必要があります。許可が下りる前に営業を開始すると無許可営業になってしまいます。
余裕を持った申請が基本です。
税務担当者として許認可を確認する際、見落としがちなポイントがあります。
事業承継時の許認可の引継ぎです。建設業許可や宅建業免許など、多くの許認可は法人に紐づいています。M&Aや事業譲渡の際、許認可が自動的に引き継がれるとは限りません。株式譲渡なら法人格が変わらないため許認可は維持されますが、事業譲渡では新たに申請が必要になるケースがあります。
複数事業を行う場合の許認可の組み合わせも重要です。たとえば、飲食店で食品の製造販売も行う場合、飲食店営業許可だけでなく食品製造業許可も必要になります。一つの事業所で複数の許認可を取得するケースでは、それぞれの要件を満たす必要があります。
許認可の更新時期の管理も見落としやすい点です。多くの許認可には有効期間があり、更新手続きを忘れると無許可状態になります。建設業許可は5年ごと、宅建業免許も5年ごとの更新が必要です。更新時期が近づいたら早めに準備を始めるべきです。
支店や営業所を増やす場合の追加手続きにも注意が必要です。都道府県知事の許可を受けていた事業者が、他の都道府県に進出する場合、大臣許可への切替えが必要になることがあります。事業拡大のタイミングで許認可要件が変わるケースです。
海外展開時の許認可の扱いも独自の視点です。日本国内の許認可は海外では効力を持ちません。海外拠点を設ける場合、現地の法令に基づいた許認可取得が別途必要になります。
更新管理が意外と盲点です。
弥生株式会社の許認可解説ページでは、業種別の詳細な申請要件と必要書類が確認できます。
中小機構のJ-Net21起業マニュアルでは、許認可が必要な業種の詳細な一覧と、各業種の申請時の注意点が掲載されています。
厚生労働省の営業許可業種についての資料では、食品衛生法に基づく34業種の営業許可の詳細が記載されています。