褒章と叙勲の違いと勲章と褒章と種類

褒章と叙勲の違いと勲章と褒章と種類

褒章と叙勲の違い

経理が最初に押さえる3点
「目的」と「評価単位」が違う

叙勲は国家・社会への功績を総合評価し、褒章は特定分野の善行・功績を表彰する発想が基本です。

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発令の時期・頻度が違う

春秋の定例(4/29・11/3)に加え、褒章は寄附などで随時(紺綬褒章)もあります。

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社内の確認事項が変わる

誰が何を受けたか(勲章か褒章か、種類は何か)で、祝意の出し方・社内広報・経費処理の論点がズレます。

褒章と叙勲の違いと勲章と褒章の制度

 

経理実務で「叙勲祝い」「褒章祝い」の稟議が上がってきたとき、まず必要なのは“言葉の取り違え”を止めることです。叙勲は「勲章を授与すること」を指し、褒章は「褒章を授与すること」を指します。どちらも国の栄典ですが、扱う“メダルの種類”そのものが違います。

 

内閣府の制度説明では、勲章(春秋叙勲)は毎年2回、春は4月29日付、秋は11月3日付で授与され、候補者は各省各庁から推薦され、内閣府賞勲局の審査を経て閣議で受章者が決定されます。つまり、叙勲は「国家としての表彰を、所定のプロセスで決裁し、勲章を授与する仕組み」と捉えると、経理としての確認点(発令日、受章者名、章名、主務官庁の関与)が整理しやすくなります。

 

一方、褒章も制度としては内閣府賞勲局が所管し、春秋褒章は春秋叙勲と同日付(4/29・11/3)で授与されます。ただし褒章には、寄附を対象とする紺綬褒章のように、事績の都度、推薦・審査をして授与する枠も明確に存在します。ここが、社内での情報確認が甘いと「今年の春秋の発表はまだ?」など、時期の前提が崩れやすい落とし穴です(紺綬褒章は“随時”があり得る)。

 

経理の観点で“違い”を短く言い換えるなら、次の1行が実務向きです。

 

「叙勲=勲章の授与(功績の総合評価の色が強い)、褒章=特定分野の善行・功績を称える表彰(種類ごとの対象が明確)」。

 

ここから先は、誤解が発生しやすいポイントを4つに分け、確認すべき事実を具体化していきます。メールや口頭で「受章したらしい」とだけ来た場合でも、経理は“章の種類”まで確定させる必要があります。なぜなら、祝意の表し方だけでなく、社内規程(慶弔見舞金、交際費、福利厚生費、広告宣伝費など)のどれに寄せるかが変わる可能性があるからです。

 

参考:制度の全体像(春秋叙勲・褒章・紺綬褒章の随時授与の説明)
内閣府「勲章・褒章制度の概要」

褒章と叙勲の違いと春秋叙勲と春秋褒章

春秋叙勲は、内閣府の説明どおり毎年2回(春4/29、秋11/3)に実施されます。候補者推薦→賞勲局の審査→閣議決定という流れが明示されており、「いつ発令されるか」「誰が決めるか」が制度上かなり定型です。社内では、ニュースリリースや官報・主務官庁からの連絡など、外部の確度の高い根拠で確認しやすい部類に入ります。

 

春秋褒章も、紅綬・緑綬・黄綬・紫綬・藍綬といった褒章が、春秋叙勲と同日付で授与されます。ここで経理が注意したいのは、「同日付」という点が、社内イベント(祝賀会、会食、花束、祝電、記念品)の日程に直結することです。日付の認識がズレると、祝意のタイミングが遅れるだけでなく、費用計上月や稟議の事後処理にも波及します。

 

ただ、同じ“褒章”でも、紺綬褒章は別枠の理解が必要です。内閣府の制度説明では、公益のために私財を寄附した者を対象とし、事績の生じた都度、推薦に基づき審査し授与するとされています。つまり、春秋の一斉発表を待たずに動くケースがあり、「発令が月末の閣議→翌日発令」といった運用もあり得るため、年度末や決算期に突然話が来ることも想定したいところです。

 

経理の実務フローとしては、次の順番が事故を減らします。

 

  1. 受章の“種別”確認:叙勲(勲章)か、褒章か。
  2. “章名”確認:旭日章・瑞宝章など/紅綬・藍綬・紺綬など。
  3. “発令日”確認:4/29・11/3か、随時か。
  4. “社内ルール”照合:慶弔規程、交際費規程、広報規程、寄附金規程など。

この順番にすると、上司や監査対応で聞かれがちな「なぜこの月に計上したか」「誰の承認で支出したか」「会社としての関与はどこまでか」を、後から説明しやすくなります。

 

褒章と叙勲の違いと褒章の種類

褒章は種類ごとに“対象となる行為”がはっきり定義されているため、経理の確認作業も「どの褒章か」に寄せるのが合理的です。内閣府は、褒章が紅綬・緑綬・黄綬・紫綬・藍綬・紺綬の6種類に区分されること、また褒章のデザインが「褒章」の二字を桜の花で飾った円形のメダルで、綬の色で区分されることを説明しています。

 

授与対象は次のとおり整理されます(社内で“どの功績か”を説明するときに便利です)。

 

・紅綬褒章:自己の危難を顧みず人命救助に尽力
・緑綬褒章:長年のボランティア活動で顕著な実績
・黄綬褒章:農業・商業・工業などの業務に精励し模範となる技術や事績
・紫綬褒章:科学技術の発明・発見、学術、スポーツ・芸術文化で優れた業績
・藍綬褒章:会社経営や団体活動等で産業振興・社会福祉増進に貢献、または公共の事務に尽力
・紺綬褒章:公益のため私財を寄附
ここで“意外と知られていないが実務で効く”論点が、紺綬褒章と返礼品の関係です。内閣府の説明では、地方公共団体等への寄附について、寄附者が当該寄附に対する返礼品(記念品の類を除く)を受領した場合は、紺綬褒章の対象とならないと明記されています。つまり、制度上「見返り性が強い寄附」は除外され得るということです。

 

この視点は、企業側の寄附(CSR、企業版ふるさと納税、自治体連携)を扱う経理にとって重要です。寄附金処理だけでなく、取引先・役員・従業員が寄附をして受章した場合に「会社としてどこまで関与していたのか」「会社が返礼品を受領していないか」など、コンプライアンス的な確認にもつながります。祝意の支出とは別に、社内の寄附・広告・協賛のルートを棚卸しするきっかけにもなります。

 

参考:褒章の種類・授与対象(返礼品の扱いも含む)
内閣府「褒章の種類及び授与対象」

褒章と叙勲の違いと紺綬褒章と寄附

経理の現場では、紺綬褒章は“寄附の延長線”で理解されがちですが、制度上は「公益のために私財(一定額以上)を寄附した者」を対象とし、推薦・審査を経る栄典です。内閣府の制度概要では、個人は500万円以上、団体は1,000万円以上の寄附が目安として示され、対象となる寄附先として国・地方公共団体・公益団体(賞勲局が認定した団体)を挙げています。単なる寄附実績の自動付与ではなく、枠組みとして“審査がある”点は押さえておくべきです。

 

そして、前述のとおり返礼品を受領した場合は対象外になり得ます。ここは、ふるさと納税型の発想に引っ張られると誤解が起きやすいポイントで、「寄附=すべて対象」ではありません。会社が関与する寄附・協賛では、返礼品が“広告物・記念品・物品提供”の形で紛れ込むことがあるため、受領物の有無を証憑で確認する癖が役に立ちます。

 

また、紺綬褒章は春秋の一斉発表ではなく、事績の都度授与される仕組みです。決算期に発令が来ると、社内の祝意(花・祝電・会食・記念品)と、寄附金の会計処理(当期か翌期か、税務上の扱い、社内規程の上限)を同時に整理する必要が出ます。担当者のタスクが一気に増えるため、あらかじめ“確認テンプレ”を持っておくとミスが減ります。

 

確認テンプレ(最低限)
・寄附の実行者:個人か団体か(会社名義か、役員個人か)
・寄附先:国・自治体・公益団体か(相手先の性格)
・受領物:返礼品・物品・サービスの有無(記念品の範囲か)
・発令日:いつ付けか(支出計上月に直結)
・社内の祝意:会社として出すか、部署として出すか、個人として出すか(混同防止)
このテンプレは、叙勲(勲章)にも流用できますが、寄附が絡む紺綬褒章は特に「取引性・反対給付」のチェックが効きます。経理は“名誉の話”を扱うように見えて、実際は取引の境界線を確認している、と言い換えると社内説明もしやすくなります。

 

褒章と叙勲の違いと経理と社内規程(独自視点)

検索上位の記事は「種類」「対象者」「お祝いマナー」に寄りやすい一方、経理従事者が本当に困るのは“社内規程との接続”です。つまり、祝意の支出を「交際費」にするのか、「福利厚生費」にするのか、「広告宣伝費(広報目的)」にするのか、あるいは「寄附金」や「慶弔見舞金」枠なのか、判断軸が社内で揃っていないことが多いのです。

 

まず、叙勲(勲章)と褒章は、いずれも国の表彰であり、春秋の定例発令があるため、社内の“年間行事”として扱える余地があります。内閣府の制度概要で、春秋叙勲・春秋褒章が定例日付(4/29・11/3)で行われることが示されているため、会社としてはこの時期に合わせて、稟議ルート・承認者・予算枠を事前に決める設計が可能です。経理が仕組み化できる領域なので、担当者依存を減らせます。

 

次に、社内トラブルを生みやすいのが「会社として祝う」のか「部署として祝う」のか「個人として祝う」のかが曖昧なケースです。役員が受章した場合、会社名義で祝電・花・会食を手配すると、“対外的には会社の公式行為”に見えます。そこに広報が絡むと広告宣伝費的な性格も出ますが、同時に、特定個人への利益供与の見え方(社内外のガバナンス)も発生します。経理は金額の妥当性だけでなく、承認プロセス(誰が決めたか)を残すことが重要になります。

 

さらに、紺綬褒章が絡むと、寄附行為と会社の関係が複雑化します。内閣府が「返礼品を受領した場合は対象外になり得る」と示している点からも分かるように、制度自体が“見返り性”を嫌います。会社として祝意を出すこと自体は別問題ですが、寄附の実態に取引性が混ざっていないか(協賛、広告、対価性のある提供)を、経理が一度棚卸しする価値があります。結果として、受章の祝意対応が、寄附・協賛の社内統制を整える“入口”になります。

 

実務で使える運用例(社内合意を取りやすい形)
・事実確認:章名、発令日、受章者名、主務官庁からの連絡の有無
・支出の目的:祝意(慶弔)か、対外的発信(広報)か
・上限設定:祝電、花、記念品、会食の上限を規程化
・証憑整備:領収書、案内状、発令情報、社内承認ログをセット保管
・線引き:寄附が絡む場合は返礼品・物品受領の有無も確認(紺綬褒章の制度趣旨と整合)
この“独自視点”のポイントは、制度の知識を増やすこと自体よりも、制度知識を社内の会計・統制に落とすことです。叙勲と褒章の違いを理解する最終目的は、相手への敬意を損なわず、同時に社内監査・税務調査・コンプラの観点でも説明可能な処理にすることです。経理はその役割を担いやすい部署なので、ここを仕組みにしておくと、次の担当者にも確実に引き継げます。

 

 


新版 勲章と褒章