NOMURA-BPI総合連動型上場投信で国内債券投資の資産形成を始める方法

NOMURA-BPI総合連動型上場投信で国内債券投資の資産形成を始める方法

NOMURA-BPI総合連動型上場投信の特徴と投資メリット

NOMURA-BPI総合連動型上場投信の基本情報
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銘柄コード

2510(東京証券取引所上場)

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連動指数

NOMURA-BPI総合(国内公募利付債券の市場全体を表す指数)

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信託報酬

年率0.077%(税込)と低コスト

NOMURA-BPI総合連動型上場投信の基本構造と運用方針

NOMURA-BPI総合連動型上場投信(銘柄コード:2510)は、野村アセットマネジメントが運用する国内債券ETF(上場投資信託)です。正式名称は「NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信」で、愛称は「NF・国内債ETF」とも呼ばれています。

 

このETFは、NOMURA-BPI総合という指数に連動する投資成果を目指しています。NOMURA-BPI総合とは、野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング株式会社が公表する指数で、国内で発行された公募利付債券の市場全体の動向を表す投資収益指数です。一定の組み入れ基準に基づいて構成された債券ポートフォリオのパフォーマンスをもとに算出されています。

 

運用方針としては、主に「国内債券NOMURA-BPI総合マザーファンド」を通じて、国内の公社債に投資を行います。また、対象指数の動きに効率的に連動するために、債券先物取引などのデリバティブ取引も活用することがあります。

 

信託報酬率は年率0.077%(税込)と低コストであり、分配金は年2回(3月7日、9月7日)支払われる設計になっています。2017年12月11日に東京証券取引所に上場し、売買単位は10口となっています。

 

NOMURA-BPI総合指数の特性と国内債券市場の代表性

NOMURA-BPI総合は、日本の債券市場を代表する指数として広く認知されています。この指数は国内で発行された公募利付債券の市場全体の動向を表すもので、国債、地方債、政府保証債、金融債、事業債、円建外債などが含まれています。

 

この指数の特徴は、日本の債券市場を幅広くカバーしていることです。単に国債だけでなく、様々な種類の債券を含むことで、日本の債券市場全体の動向を把握することができます。また、一定の組み入れ基準(発行残高、残存期間など)に基づいて構成されているため、流動性の高い債券が中心となっています。

 

NOMURA-BPI総合は、機関投資家にとっては国内債券運用のベンチマークとして広く利用されています。このETFは、個人投資家でもこうした機関投資家と同様の国内債券ポートフォリオを少額から保有できる手段として価値があります。

 

国内債券市場の代表性という点では、日本の金融政策や経済状況を反映した動きをするため、日本経済の先行きを見る指標としても参考になります。特に、日本銀行の金融政策の影響を直接受けるため、政策変更時には注目される指数となっています。

 

NOMURA-BPI総合連動型上場投信の純資産総額急増の背景

NOMURA-BPI総合連動型上場投信は、設定当初の2017年12月から2019年半ばまでは純資産総額が10億円に届かないほど注目度が低い状態が続いていました。その後、少しずつ資金流入が増え始め、2020年中は数十億円程度の規模でした。

 

しかし、2021年に入ると純資産総額が徐々に増加し始め、2022~2023年にかけて500~600億円程度まで拡大しました。さらに注目すべきは、2023年11月1日に基準価額が過去最安値を付けた直後、純資産総額が一気に倍増して1,000億円を突破し、2024年2月にはさらに急増して2,000億円を突破するなど、急速に人気が高まっている点です。

 

この急激な資金流入の背景には、以下の要因があります。

  1. 日本のデフレ脱却への期待: 日本のCPIや賃金上昇率が上昇傾向にあり、長年続いたデフレ経済からの脱却が見込まれるようになりました。

     

  2. 日本銀行の金融政策変更: 2023年10月末に日本銀行が「YCC(イールドカーブ・コントロール)の運用のさらなる柔軟化」を発表し、長期金利の上限を実質的に引き上げました。

     

  3. 国内債券利回りの上昇: 日本10年国債利回りが2022年以降少しずつ上昇し、2023年末には1.0%に肉薄する水準まで上昇したことで、投資妙味が出てきました。

     

  4. 日銀のフォワードガイダンス: 日本銀行が「マイナス金利を解除しても、その後にどんどん利上げを進めることはせず、当面は緩和的な金融政策を継続する」という方針を示したことで、現在の利回り水準でも投資価値があると判断する投資家が増えました。

     

これらの要因が重なり、長年低迷していた国内債券への投資意欲が急速に高まり、NOMURA-BPI総合連動型上場投信への資金流入が加速したと考えられます。

 

NOMURA-BPI総合連動型上場投信のコア・サテライト戦略での活用法

資産形成を考える上で重要な投資戦略の一つに「コア・サテライト戦略」があります。この戦略は、運用資産を大きく2つに分けて管理する方法です。

 

コア(核)部分では安定的な資産の拡大を目指し、サテライト(衛星)部分ではリスクを見極めながら相対的に高いリターンを求めて積極的な資産の拡大を目指します。NOMURA-BPI総合連動型上場投信は、このコア部分を構成する理想的な商品として位置づけられます。

 

コア・サテライト戦略におけるNOMURA-BPI総合連動型上場投信の活用法は以下の通りです。

  1. ポートフォリオの安定性向上: 国内債券は株式と比較して価格変動が小さく、安定したインカムゲイン(利子収入)が期待できます。ポートフォリオ全体のボラティリティ(価格変動リスク)を抑える役割を果たします。

     

  2. 分散投資の実現: 国際分散投資において、国内債券は重要な資産クラスの一つです。株式や外国債券、不動産などと組み合わせることで、リスク分散効果が高まります。

     

  3. リバランスの基準: 市場環境の変化に応じてポートフォリオをリバランスする際、安定的なコア資産として国内債券を基準にすることで、全体のリスク管理がしやすくなります。

     

  4. インフレヘッジとしての機能: 日本経済がデフレから脱却し、緩やかなインフレに移行する局面では、債券利回りの上昇による価格下落リスクはありますが、新発債への再投資によって徐々に利回りが改善していく効果も期待できます。

     

具体的な配分比率としては、投資家の年齢やリスク許容度によって異なりますが、一般的には全体の20~40%程度をコア資産としての国内債券に配分し、残りをサテライト資産(国内株式、外国株式、外国債券、REITオルタナティブ投資など)に振り分けるケースが多いでしょう。

 

NOMURA-BPI総合連動型上場投信と日銀の金融政策転換の関係性

NOMURA-BPI総合連動型上場投信の投資価値を考える上で、日本銀行の金融政策の動向は極めて重要な要素です。2023年から2025年にかけて、日本銀行の金融政策は大きな転換点を迎えています。

 

長年続いた超緩和的な金融政策からの転換として、2023年10月末に日本銀行は「YCCの運用のさらなる柔軟化」を発表しました。これにより、10年国債利回りの上限を実質的に引き上げ、市場金利の上昇を許容する姿勢を示しました。さらに、2024年3月には約8年ぶりにマイナス金利政策を解除し、短期政策金利を0.0~0.1%に引き上げました。

 

こうした金融政策の転換が国内債券市場、特にNOMURA-BPI総合連動型上場投信にどのような影響を与えるのかを理解することが重要です。

 

  1. 短期的な価格変動リスク: 金利上昇局面では、既存の債券価格は下落する傾向があります。そのため、金融政策の正常化過程では、一時的に基準価額が下落するリスクがあります。

     

  2. 中長期的な利回り改善: 一方で、金利上昇は新規発行される債券の利回りを高めるため、ファンド全体の平均利回りは徐々に改善していきます。特に、NOMURA-BPI総合は様々な年限の債券を含むため、ポートフォリオの入れ替えによって徐々に高い利回りの債券比率が高まっていきます。

     

  3. 日銀のフォワードガイダンスの重要性: 植田日銀総裁が重視するフォワードガイダンス(将来の金融政策の方向性を前もって表明すること)によれば、「マイナス金利を解除しても、その後にどんどん利上げを進めることはせず、当面は緩和的な金融政策を継続する」方針が示されています。

     

  4. 緩やかな金利上昇シナリオ: 日本銀行は急激な金利上昇を避けるため、市場の安定を重視した政策運営を行う可能性が高いです。このシナリオでは、債券価格の急落リスクは限定的であり、徐々に利回りが改善していく展開が期待できます。

     

日本銀行の金融政策転換は、短期的には債券価格の下落リスクをもたらしますが、中長期的には国内債券投資の魅力を高める要因となります。NOMURA-BPI総合連動型上場投信への投資を検討する際は、こうした金融政策の動向を注視しながら、投資タイミングや保有期間を検討することが重要です。

 

日本銀行の金融政策の枠組みについての詳細情報
以上の点から、NOMURA-BPI総合連動型上場投信は、日本の金融政策が転換期を迎える中で、国内債券市場への効率的な投資手段として注目を集めています。特に資産形成の「コア」部分として活用することで、ポートフォリオ全体の安定性向上に寄与することが期待できます。

 

投資家は自身のリスク許容度や投資目標に応じて、このETFをポートフォリオにどのように組み入れるかを検討するとよいでしょう。特に長期的な資産形成を目指す投資家にとっては、株式などのリスク資産とのバランスを取るための重要な選択肢となります。

 

日本の金融環境が変化する中で、国内債券市場の動向を注視しながら、適切な投資判断を行うことが重要です。NOMURA-BPI総合連動型上場投信は、そうした国内債券市場への投資機会を効率的に捉えるための有力な選択肢の一つと言えるでしょう。