
ETF(上場投資信託)の配当金は、投資信託の分配金と似ているようで異なる特徴を持っています。ETFの分配金は、ファンドが保有する株式などから得られる配当金や利子(インカムゲイン)から信託報酬などの費用を差し引いた全額が分配されます。
投資信託との大きな違いは以下の点です。
例えば、高配当株で構成されるETFは分配金が多くなる傾向がありますが、金価格ETFや原油先物ETFなど配当や利息を生まない資産に投資するETFでは分配金がゼロになることもあります。
ETFには投資信託のような分配金の自動再投資機能がありません。そのため、ETFの配当金を再投資したい場合は、投資家自身が手動で同じETFを買い付ける必要があります。
しかし、一部の証券会社では「配当金再投資サービス」を提供しています。例えば、マネックス証券では米国株ETFを対象に「米国株定期買付サービス」を提供しており、配当金が支払われた際に同じ銘柄を自動的に買い付けることができます。
このサービスの特徴は。
ただし、このようなサービスを提供している証券会社は限られており、SBI証券の場合は「外国株式・海外ETFへの投資から得られる配当金・分配金を利用した、同一銘柄への自動再投資は取扱っておりません」とされています。
ETFで高配当株に投資する際、分配金利回りを最大化するためのポイントがいくつかあります。
高配当株ETFを選ぶ際のチェックポイント。
高配当株ETFの例として、「iFreeETF TOPIX高配当40指数」は2.04%、「iFreeETF 東証REIT指数」は4.20%の分配金利回り(年率)を提供しています。
高配当株ETFへの投資は、以下のメリットがあります。
ただし、高配当株ETFは比較的成熟した大企業で構成されていることが多く、急成長を期待できる企業は少ない点や、金融など特定の業種への偏りがある場合もある点には注意が必要です。
ETFの配当金に対する税金対策は投資戦略において重要なポイントです。ETFの分配金には20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税金がかかります。
税金対策として効果的なのがNISA(少額投資非課税制度)の活用です。
マネックス証券などでは、NISA口座でもETFの配当金再投資サービスを利用できます。ただし、投資信託の分配金再投資と異なり、ETFの配当金再投資ではNISA投資枠を使用するため、年間投資枠の管理に注意が必要です。
また、米国ETFへの投資では、米国と日本の租税条約により、本来30%の米国源泉税が10%に軽減されます。ただし、NISA口座で保有していても米国源泉税は課税されるため、完全な非課税にはならない点に注意が必要です。
ETFの配当金再投資には、投資信託と比較していくつかのデメリットがあります。これらを理解した上で、自分の投資スタイルに合った選択をすることが重要です。
ETF配当金再投資のデメリット。
投資信託との比較。
項目 | ETF | 投資信託 |
---|---|---|
分配金再投資 | 手動(一部証券会社でサービスあり) | 自動再投資可能 |
分配金の性質 | 収益のみが分配(特別分配金なし) | 普通分配金と特別分配金(元本払戻)がある |
取引時間 | 取引所の営業時間内ならいつでも | 申込時間内のみ(翌営業日扱いの場合も) |
価格形成 | リアルタイムで変動 | 1日1回の基準価額で決定 |
手数料 | 売買手数料(無料の場合も増加) | 購入時手数料、信託報酬 |
投資信託が適している投資家。
ETFが適している投資家。
投資信託とETFは、それぞれ異なる特徴を持っているため、投資目的や投資スタイルに応じて選択することが大切です。分配金の再投資を重視するなら投資信託、取引の自由度を重視するならETFが向いていると言えるでしょう。
ETFの配当金再投資を効率的に行うためには、配当金が支払われるタイミングを把握し、計画的に再投資することが重要です。多くのETFは年に1〜4回の頻度で分配金を支払います。決算日の2営業日前までに購入すれば、その決算期の分配金を受け取ることができます。
ETFの分配金と利回りについての詳細情報(大和アセットマネジメント)
また、配当金再投資の効果を最大化するためには、複利効果を意識した長期投資が重要です。例えば、NF・日経高配当50 ETFのデータによると、設定来のトータルリターンのうち、約3分の1が分配金の再投資効果によるものだったという分析結果もあります。
高配当株ETFの分配金再投資効果についての分析(Next Funds)
配当金再投資を行う際は、税金面も考慮して、NISA口座などの非課税制度を活用することで、より効率的な資産形成が可能になります。ただし、ETFの配当金再投資にはNISA投資枠を使用するため、年間投資枠の管理には注意が必要です。
最終的には、自分の投資目的や投資スタイル、手間をかけられる程度に応じて、ETFと投資信託を使い分けることが、効率的な資産形成につながるでしょう。配当金の自動再投資機能を重視するなら投資信託、ETFの他のメリット(リアルタイム取引、低コストなど)を活かしたいなら、多少の手間をかけてでもETFの配当金再投資を行う価値があると言えます。