
2024年4月から相続登記が義務化され、相続開始から3年以内に登記を完了させる必要があります。この義務化により、多くの方が相続登記の費用について関心を持つようになりました。
相続登記にかかる費用は、大きく分けて必要書類の取得費用、登録免許税、司法書士への報酬の3つです。自分で手続きを行う場合と司法書士に依頼する場合では、総額が大きく異なります。
例えば、固定資産評価額2,000万円の不動産の場合、登録免許税だけで8万円かかります。これに書類取得費用や司法書士報酬を加えると、総額は10万円から20万円程度になることが一般的です。
相続登記に必要な書類の取得には、様々な手数料がかかります。最も取得が大変なのが被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で、転籍や改製を経ている場合、多くの戸籍謄本が必要となります。
主な必要書類とその手数料は以下の通りです。
被相続人の戸籍については、出生から死亡まで連続したものが必要なため、1通では済まないことがほとんどです。すべてを揃えるには5,000~10,000円程度がかかることが一般的です。
相続人が多数いる場合や、不動産が複数の地域に点在している場合には、それだけ多くの書類が必要となり、総額で1~3万円程度の費用がかかります。
遠方の自治体から書類を取り寄せる場合は、往復の送料も考慮する必要があります。郵送費は84~390円程度ですが、複数の自治体への請求が必要な場合は、この費用も積み重なります。
💡 節約のコツ:マイナンバーカードを利用したコンビニ交付サービスを活用すると、窓口よりも安い手数料で書類を取得できる場合があります。
登録免許税は相続登記費用の中で最も大きな割合を占める項目です。計算方法は**「不動産の固定資産税評価額×0.4%」**となります。
具体的な計算例を見てみましょう。
固定資産評価額 | 登録免許税 |
---|---|
1,000万円 | 4万円 |
2,000万円 | 8万円 |
3,000万円 | 12万円 |
5,000万円 | 20万円 |
ただし、2025年3月31日までは特別な免税措置が設けられています。前の相続人が登記を完了していない場合など、一定の条件を満たせば登録免許税が免除される場合があります。
固定資産税評価額は、固定資産評価証明書で確認できます。この証明書は市区町村役場(東京23区は都税事務所)で発行され、手数料は200~400円程度です。
なお、法定相続人以外の人が相続する場合(例:遺言により第三者に遺贈する場合)は、税率が2%になるため注意が必要です。
登録免許税の納付方法は、現金で納付書を使って納める方法と、収入印紙を申請書に貼付する方法があります。高額になる場合は、現金納付の方が便利です。
司法書士に相続登記を依頼する場合の報酬相場は6~13万円程度です。ただし、相続人の数や不動産の個数、手続きの複雑さによって大きく変動します。
司法書士報酬の内訳は以下のようになります。
相続人が多数いる場合や、不動産が複数ある場合は追加報酬がかかります。また、遺産分割協議書の作成まで依頼する場合は、さらに費用が上乗せされます。
司法書士に依頼するメリットは以下の通りです。
遺産総額が1,000万円未満の場合、司法書士報酬は遺産総額の0.5~1%程度になります。一方で遺産総額が1億円の場合は0.3%程度と、割合としては下がる傾向があります。
相続登記を自分で行う場合と司法書士に依頼する場合の費用を比較してみましょう。
自分で行う場合の費用:
司法書士に依頼する場合の費用:
例えば、固定資産評価額2,000万円の不動産の場合。
項目 | 自分で行う場合 | 司法書士依頼 |
---|---|---|
書類取得費用 | 2万円 | 2万円 |
登録免許税 | 8万円 | 8万円 |
司法書士報酬 | 0円 | 10万円 |
合計 | 10万円 | 20万円 |
自分で行う場合のメリット・デメリット。
メリット 🌟
デメリット ⚠️
相続関係が複雑な場合や、平日に時間を取るのが難しい場合は、司法書士への依頼を検討することをおすすめします。
相続登記の費用を安く抑えるための具体的なコツをご紹介します。これらの方法を活用することで、数万円の節約も可能です。
📋 書類取得費用の節約術
💰 登録免許税の節約対策
2025年3月31日までの特別措置を活用しましょう。
⏰ 時間的な節約術
義務化により3年以内の登記が必要ですが、早期に手続きを行うことで以下のメリットがあります。
🔍 司法書士選びのポイント
司法書士に依頼する場合は、以下の点を比較検討しましょう。
意外と知られていないのが、複数の不動産を同時に登記する場合の割引制度です。多くの司法書士事務所では、複数の不動産をまとめて処理することで、報酬を割引してくれます。
また、相続登記と同時に行う手続きの割引もあります。例えば、相続税申告や預貯金の解約手続きを同じ事務所で依頼することで、総合的な費用を抑えられる場合があります。
義務化に伴い、10万円以下の過料が科される可能性もあるため、費用を抑えつつも確実に期限内に手続きを完了させることが重要です。
相続登記の費用は決して安くありませんが、適切な準備と方法選択により、必要最小限に抑えることが可能です。ご自身の状況に最適な方法を選択し、義務化に適切に対応していきましょう。