
相続手続きにおいて戸籍謄本は法定相続人を確定するための重要な証明書類です。相続では以下の戸籍謄本が必要となります。
被相続人に関する戸籍謄本
相続人に関する戸籍謄本
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要な理由は、婚姻、離婚、養子縁組などの身分変動を全て把握し、隠れた相続人の存在を確認するためです。例えば、前妻との間の子どもや認知した子ども、養子などが戸籍に記載されている可能性があります。
戸籍は過去に何度も法改正が行われており、最新の戸籍謄本だけでは過去の身分事項が省略されていることがあります。そのため、改製原戸籍謄本や除籍謄本まで遡って取得する必要があります。
戸籍謄本の取得は本籍地の市区町村役場が原則でしたが、令和6年3月1日から戸籍証明書等の広域交付制度が開始され、最寄りの市区町村役場でも取得可能になりました。
取得可能な場所
取得方法
ただし、広域交付制度には制限があります。コンピューター化されていない古い戸籍謄本や兄弟姉妹等の戸籍謄本は対象外で、郵送や代理人による請求もできません。このような場合は従来通り本籍地の市区町村役場への請求が必要です。
効率的な取得手順
本籍地が不明な場合は、住民票(被相続人の場合は住民票の除票)に本籍地を記載してもらうことで確認できます。
戸籍謄本そのものに有効期限はありませんが、提出先によって独自の有効期限が設定されている場合があります。
主な有効期限の設定
特に注意が必要なのは相続税の申告です。相続税申告では「相続開始日から10日を経過した日以降に取得した戸籍謄本」の提出が必要です。つまり、被相続人が亡くなってすぐに取得した戸籍謄本は相続税申告には使用できません。
その他の重要な注意点
相続放棄は3か月、相続税申告は10か月、不動産の相続登記は3年という期限があるため、戸籍謄本の取得は早めに着手することが重要です。
相続税申告において戸籍謄本には他の相続手続きとは異なる特別な要件があります。
相続税申告での特別要件
この10日間の制限は、相続開始直後の混乱期を避け、相続人の確定作業を適切に行うための制度です。相続開始後すぐに戸籍謄本を取得した場合は、10日経過後に改めて取得し直す必要があります。
相続税申告で提出が必要な主な書類
相続税の申告期限は相続開始から10か月以内のため、戸籍謄本の取得遅延が申告期限に影響しないよう、早期の準備が不可欠です。
戸籍謄本の取得に関する国税庁の詳細情報
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
相続手続きでは複数の機関に戸籍謄本を提出する必要があるため、効率的な取得順序と実務上のコツを知っておくことが重要です。
効率的な取得順序
実務上の効率化のコツ
特殊なケースでの対応方法
費用対効果の考慮
戸籍謄本の取得には1通あたり450円〜750円の手数料がかかります。複数の手続きで同じ戸籍謄本が必要な場合は、必要な合計部数を最初に取得しておくことで、後日の追加取得による時間ロスを避けることができます。
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法定相続情報証明制度による戸籍謄本の効率的活用方法について、法務局では無料相談も実施しており、相続手続きの簡素化に大いに役立ちます。