
療養費とは、被保険者が保険証を持たずに医療機関で診療を受け、医療費の全額を自己負担した場合に、後日申請により保険者から払い戻しを受ける給付制度です 。
参考)http://mobile.tokyo-ikiiki.net/faq/1000404/1000406/1000625.html
この制度は健康保険法に基づき、保険者が「療養の給付等を行うことが困難であると認めるとき」または「やむを得ないものと認めるとき」に適用されます 。具体的には、急病での旅行先での受診や保険医療機関以外での診療を受けた場合などが該当します 。
参考)療養費とは
療養費の支給額は、実際に支払った金額がそのまま払い戻されるわけではありません。健康保険で認められている治療方法と料金(保険診療)に基づいて計算した額から、自己負担分を除いた額が支給されるため、自由診療として計算された場合は差額が生じる可能性があります 。
参考)急病のため、保険証なしで受診したとき
また、申請期限は治療費を支払った日の翌日から起算して2年以内となっており、この期間を過ぎると時効により受給権が消滅します 。
参考)【国保】医療費を全額自己負担した場合の取り扱い(療養費制度)…
医療費とは、医師や歯科医師による診療・治療の対価として支払われる費用の総称です 。これには診察料、検査費、手術料、薬剤費、入院費など、医療行為に関連するすべての費用が含まれます 。
参考)高額療養費制度の仕組み、知っていますか?|はなさく生命保険
保険診療では、患者の窓口負担は原則として医療費の1~3割となり、残りは公的医療保険から「療養の給付」として支給されます 。75歳未満は3割負担、75歳以上は1割負担(現役並み所得者は3割)が基本となっています 。
参考)https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/dl/info02d-37.pdf
医療費には、保険適用の医療行為以外に自由診療も含まれ、美容整形や一部の歯科治療など保険外の治療費も医療費として分類されます 。ただし、健康診断費用や医師への謝礼金などは原則として医療費控除の対象外となります 。
参考)医療費控除について
高額療養費制度により、月単位で一定額を超えた医療費については超過分の払い戻しを受けることが可能で、年齢や所得に応じて自己負担限度額が設定されています 。
参考)高額な医療費を支払ったとき
療養費の申請には「療養費支給申請書」の提出が必要で、申請先は加入している健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険などの保険者となります 。
参考)健康保険療養費支給申請書(立替払等、治療用装具)
申請時の必要書類は受診内容により異なりますが、共通して以下が求められます:保険証や被保険者番号がわかるもの、世帯主の口座番号、診療報酬明細書(レセプト)および領収書の原本 。
参考)国民健康保険療養費支給申請書 豊中市
10割支払いの場合
治療用装具(コルセットなど)購入時
参考)https://dokenpo.or.jp/kyufu/chiryouyougu_t.html
海外療養費の場合
申請は郵送でも可能な場合が多く、療養費は銀行口座への振込みで支給されます 。支給額は保険診療基準で計算されるため、実際に支払った金額より少なくなる場合があります 。
参考)療養費
医療費控除は、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費が10万円(総所得200万円未満の場合は所得の5%)を超えた場合に、確定申告により所得控除を受けられる制度です 。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-kakuteishinkoku/summary-medical/
療養費として払い戻しを受けた場合、医療費控除の計算では実際に自己負担した金額のみが対象となります。つまり、療養費の支給額は医療費から差し引いて計算する必要があります 。
医療費控除の対象となる費用
申請には「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付し、医療費の領収書は5年間保管する義務があります 。療養費を申請する際は、市区町村の医療費助成制度との重複申請を避けるため、事前に確認することが重要です 。
参考)入院費用で医療費控除になるものは?確定申告のとき気をつけるべ…
金融機関従事者として理解すべき特殊な療養費事例として、受領委任払い制度があります。これは柔道整復師などの施術において、患者が窓口で自己負担分のみを支払い、残りを施術師が健康保険組合に直接請求する仕組みです 。
また、限度額適用認定証の活用により、高額な医療費が予想される場合に事前申請を行うことで、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます 。この制度により、患者は一時的な多額の支払いを避けることが可能となります。
参考)医療費の負担を軽くする公的制度:[国立がん研究センター がん…
海外療養費については、緊急性のない治療や治療目的の渡航は対象外となり、帰国後の申請が必要です 。外国の医療機関での診療内容を日本語に翻訳した書類の提出が義務付けられており、支給額は日本の診療報酬点数に基づいて計算されます。
さらに、多数回該当制度により、直近12ヶ月で3回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目以降の自己負担限度額が軽減される仕組みも存在します 。この制度は保険者が変わっても条件を満たせば継続適用されるため、転職時の保険切り替えでも重要な知識となります。