課税標準課税所得違いと計算方法の基礎知識

課税標準課税所得違いと計算方法の基礎知識

課税標準課税所得違いと計算

課税標準と課税所得の基本概念
📊
課税標準とは

税額計算の基礎となる金額や数値で、税率を乗じる対象となる

💰
課税所得とは

所得税の課税対象となる所得金額で、所得控除後の最終金額

🔍
両者の関係性

税制上の用途と適用場面が異なる重要な税務用語

課税標準の基本概念と税法上の位置づけ

課税標準とは、税額を算出する際に必要な基本的な数値となるものです。課税標準(かぜいひょうじゅん、ドイツ語: Bemessungsgrundlage)は、課税要件の1つであり、課税物件から税額を算出するために、課税物件となる物・行為・事実を金額化・数量化したものです。
参考)https://www.tokaitokyo.co.jp/kantan/term/detail_1508.html

 

税法において課税標準は極めて重要な概念で、租税法においては、課税標準の算定について複雑な規定が多く設けられており、国家(租税債権者)と納税者(租税債務者)との間で紛争が生じやすく、課税標準法の究明は研究上特に重要とされる
参考)課税標準 - Wikipedia

 

具体的には、所得税の場合、居住者に対して課する所得税の課税標準は、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額となります。所得税上よく用いられる課税標準には、総所得金額、合計所得金額、総所得金額等があり、それぞれ異なる計算方法で算出されます。
📚 国税庁資料で詳細な課税標準の定義を確認できます
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6301.htm

課税所得の定義と所得控除との関係

課税所得とは、所得税を計算するもととなる所得のことを指します。1年間の総収入から、必要経費や各種所得控除を差し引いた後の金額であり、納めるべき所得税の金額を決定する基準となります。
参考)課税所得の計算方法とは?個人事業主向けにわかりやすく解説!

 

課税所得の計算式は「課税所得金額 = 合計所得金額 - 所得控除額」となります。たとえば合計所得金額805万円に対して所得控除の合計が105万円の場合、課税所得金額は700万円となります。
参考)課税所得とは?計算式から10種類の所得・節税法までわかりやす…

 

所得税の税額は、「課税所得金額×税率-税額控除額」で算出できます。税率は、課税所得金額によって、5%~45%の7段階に分かれています。所得控除には、扶養控除や社会保険料控除、生命保険料控除、基礎控除48万円、青色申告特別控除(最大65万円)などがあります。
参考)課税所得とは?計算方法や税率、控除についてわかりやすく解説 …

 

💡 弥生会計では課税所得の詳細な計算方法を解説しています
課税所得とは?計算方法や税率、控除についてわかりやすく解説 …

課税標準と課税所得の実務上の違いと使い分け

課税標準と課税所得は、税務実務において異なる場面で使用される重要な用語です。最も大きな違いは、課税標準は税額計算の基礎となる汎用的な概念である一方、課税所得は主に所得税における特定の金額を指すという点です。
住民税においては、「課税標準額」と「課税総所得金額」が同義として使用されており、住民税(市町村民税・県民税)の計算の基礎となる金額となります。ただし、所得税上の課税標準額とはイコールではありません。
参考)https://www.city.kusatsu.shiga.jp/fukushikenko/kaigohoken/kaigohoken/kougakukaigo.files/kazeisyotoku.pdf

 

法人税においては、課税標準は「所得」となり、法人の得た収益(益金)から法人が支出した費用(損金)を差し引いたものとなります。これに対し、固定資産税では課税標準額は「最終的に税額計算の基礎となる数字で、評価額を住宅用地の特例などの制度を利用して減額した後の価格」となります。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/corporate-business-tax/

 

🏢 法人税における課税標準の詳細は以下で確認できます
https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/corporate-business-tax/

課税標準額の計算過程と税額算定方法

課税標準額の計算は、税目によって大きく異なる複雑なプロセスです。所得税における課税標準の算定では、各種所得につき損益通算・1/2課税・損失の繰越控除を適用して課税標準を求めます
総所得金額の計算式は以下のとおりです:

  • a = 損益通算後の(事業所得 + 不動産所得 + 給与所得 + 利子所得 + 配当所得 + 総合短期譲渡所得 + 雑所得)
  • b = 損益通算後の(総合長期譲渡所得 + 一時所得) × 1/2
  • 総所得金額 = (a + b) - 損失の繰越控除

住民税の場合、所得割は「課税総所得金額 × 10%(道府県民税・都民税4% + 区市町村民税6%)」で計算されます。均等割は5,000円(都道府県民税1,000円 + 区市町村民税3,000円 + 森林環境税1,000円)となります。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-payroll/how-to-calculate-inhabitant-tax/

 

固定資産税では、評価額⇒課税標準額×税率=税額という流れで算定され、税率は標準税率1.4%が適用されます。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html

 

📋 住民税の詳細な計算方法は総務省のページで確認できます
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html

課税所得金額の算出と税率適用の実際

課税所得金額の算出は段階的なプロセスを経て行われます。まず所得金額を算出し(収入-収入から差し引かれる金額)、次に課税所得を算出します(所得金額-所得から差し引かれる金額)。
給与所得者の場合、給与所得控除が重要な役割を果たします。令和2年分以降の給与所得控除は以下のとおりです:
参考)課税所得とは?計算方法・所得控除の種類も分かりやすく解説

 

給与収入金額 給与所得控除額
162万5千円まで 55万円
162万5千円超180万円以下 収入金額×40%-10万円
180万円超360万円以下 収入金額×30%+8万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+44万円
660万円超850万円以下 収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円(上限)

課税所得金額の計算例として、年間収入500万円、経費150万円、所得控除5万円、基礎控除48万円、青色申告特別控除65万円の場合:所得金額285万円(500-150-65)、課税所得232万円(285-5-48)となります。
所得税の税率は累進課税制度が採用されており、課税所得が多くなるほど税率が上がる仕組みとなっています。この課税所得金額に対応する税率を適用し、税額控除を差し引いて最終的な納税額が決定されます。
参考)【早見表付き】所得税の計算方法を徹底解説!誰でも簡単に分かる…

 

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