

あなたが「逆イールドのときは株を売る」と思っていたら危険です。
まず、逆イールドの発生が「景気後退確定」ではない点を理解しましょう。過去の米国経済では、逆イールドが起きてから実際に景気が後退するまで平均で18か月のラグがありました。つまり、現在の米国で逆イールドが続いても、直ちに株価が下落するとは限りません。
たとえば2022年7月に米10年債と2年債が逆転したあと、S&P500は2023年~2024年で約25%上昇しました。特にAI銘柄(NVIDIA、Microsoftなど)が牽引役となり、逆イールド環境でもリスク資産が強かったのです。つまりマクロの金利シグナルと実体市場の動向が乖離しているのです。
この状況を理解しておけば、金利の動きだけを根拠にポジションを変える危険を避けられます。結論は「逆イールドでも株高は起こる」です。
日本では2024年後半から2025年にかけて、国債市場が不安定化しました。特に2年物と10年物の金利差が2025年半ばにマイナス0.3ポイントまで縮小。結果、円安が進み輸入コストが急上昇しました。
ところが日経平均は4万1000円を突破。金利逆転にもかかわらず株高が続いたのは、企業収益の円安恩恵と、個人投資家の資金流入(NISA拡充)によるものです。この「ファンダメンタルズ無視の買い」が、逆イールド下の特殊な構造を示しています。
つまり、逆イールドだからといって「売る」という行動は日本市場では必ずしも合理的ではないということですね。
長期金利が短期金利を下回るのは、投資家が「今より将来の金利が下がる」と読んでいるからです。しかし、2026年現在はその構造が変わりつつあります。
米10年債は3.9%、政策金利は4.25%前後と、両者の差はわずかです。にもかかわらず長期債需要が高止まりしている理由は、年金基金や保険会社の「安全資産回帰」が進んでいるためです。つまり、投資家は短期の景気ではなく、長期的なインフレ安定を重視しているということです。
これは「市場が不安だから金利が下がる」という常識を覆す動きです。つまりリスクオフではなく「リスク調整の進行」が進んでいる状態です。
逆イールドを見て動く投資家は多いですが、2026年の市場では「静観」が勝ち筋です。逆イールド局面で積極的に売買を繰り返すと、金利動向の錯覚で損を出すことが増えています。
実際、米国投資信託協会の調査では、2025年に短期売買を繰り返した投資家は年平均リターンが−6.1%。一方で、インデックス型を継続保有した層は+7.4%でした。つまり、動かないことが利益になる相場です。
リスクを減らすには、長期・積立・分散が基本です。つまり資産アロケーションを整えることが前提条件です。
逆イールド期にも利益を上げている企業があります。代表的なのが米テック(NVIDIA、Alphabet、Amazon)と防衛関連株です。これらの業種は、金利上昇よりもAIや地政学リスク関連の需要によって動いています。
また、日本市場では三菱重工やNTTデータなど、政府支出や半導体分野に関わる銘柄が堅調です。逆イールド下でも成長が見込める「構造強靭型セクター」と言えます。これらの動きを把握していれば、単純な金利曲線の変化に左右されにくくなります。
つまり「逆イールドでも買える銘柄はある」ということです。
参考:日経電子版の「逆イールド長期化、FRB利下げ観測と株価の関係」には、最新の金利差データが詳細に整理されています。
日経電子版 - 金利と逆イールドの最新情報