

利払いが突然ストップしても、あなたは文句を言えません。
永久劣後債とは、償還期限の定めがない社債の一種です。 楽天グループが2025年10月に発行した円建て第1回永久劣後債は、発行額820億円、表面利率4.691%と、今年の日本企業の円建て社債の中で最高水準の利率となりました。 需要はその約6倍超にあたる5,000億円以上が集まるほどの人気でした。 jtg-sec.co(https://www.jtg-sec.co.jp/bond/foreign/subordinated/products.htm?label=rt_8125)
つまり高利回りが注目を集めたということです。
ただし、「永久」という言葉が示す通り、満期(償還日)が存在しません。 初回任意償還日は2030年10月23日と定められており、それ以降の各利払日に楽天グループの判断で全額早期償還することが可能です。 部分的な途中償還は認められていない点も覚えておく必要があります。 corp.rakuten.co(https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2025/1017_11.html)
償還するかどうかは発行体次第です。
また、この永久劣後債は負債でありながら、格付機関(S&P・R&I・JCR)から発行額の50%が資本として認定される商品設計になっています。 楽天グループにとっては、自己資本比率を改善しながら資金を調達できる、一石二鳥の手段といえます。 kore-topi(https://kore-topi.com/rakuten-eikyuuretsugosai/)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発行額 | 820億円 |
| 表面利率 | 年4.691%(税引前) |
| 償還期限 | 定めなし(永久債) |
| 初回任意償還日 | 2030年10月23日 |
| 利払日 | 毎年4月23日・10月23日 |
| 格付け(S&P) | B(投機的等級) |
一般的な社債では「利払いは約定通り実施される」という前提があります。これが読者の常識でしょう。
しかし永久劣後債には「利払い繰延条項」が付いています。 これは楽天グループの裁量により、利息の全部または一部の支払いを繰り延べることができるという条項です。 倒産や業績悪化がなくても、発行体の判断ひとつで利払いが止まる可能性があるわけです。 corp.rakuten.co(https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2025/1017_11.html)
これは意外ですね。
投資家にとって「利払い繰延リスク」が現実的かどうか気になるところです。楽天グループのモバイル事業は巨額の設備投資が続いており、2026年〜2030年に償還を迎える社債残高は現時点で1兆円以上にのぼります。 キャッシュフロー管理が厳しい局面では、繰延条項が発動するリスクがゼロとは言えません。 knowledge-art.co(https://knowledge-art.co.jp/invest/rakuten-bond-risk/)
3ノッチ格下げが条件です。
利払い繰延リスクへの対策としては、投資先を分散させることが基本です。永久劣後債のみに資金を集中させるのではなく、一般社債・国債・株式など異なる資産クラスと組み合わせることで、仮に利払いが止まった場合の収入ショックを最小化できます。
永久劣後債の「劣後性」とは、倒産時に一般債権者より後回しになるという意味です。 楽天の財務を見ると、モバイル事業への大規模投資を背景に有利子負債が高水準で推移しており、海外格付機関からは「投機的等級(ジャンク)」の評価を受けています。 jtg-sec.co(https://www.jtg-sec.co.jp/bond/foreign/subordinated/products.htm?label=rt_8125)
厳しいところですね。
一方で、楽天グループは楽天市場・楽天カード・楽天銀行など複数の収益基盤を持ち、2024年から2025年の社債償還分については資金手当ての目途が立っていると報告されています。 つまり短期的な資金繰り倒産リスクは限定的とされていますが、2026〜2030年の1兆円超の償還をどう乗り越えるかが中期的な焦点です。 knowledge-art.co(https://knowledge-art.co.jp/invest/rakuten-bond-risk/)
>🔴 危険性①:モバイル事業の巨額投資による継続的な赤字
>🔴 危険性②:有利子負債の高水準での積み上がり
>🔴 危険性③:海外格付機関による「投機的等級」評価
>🟡 プラス要素①:楽天市場・楽天カード等の安定収益源
>🟡 プラス要素②:短期の社債償還は資金手当て済み
投資判断の際には、楽天グループの最新の格付け情報を定期的に確認することが重要です。楽天グループ公式の格付・社債情報ページで最新状況を確認できます。
参考:楽天グループの格付・社債情報(公式)
https://corp.rakuten.co.jp/investors/stock/bond.html
楽天の永久劣後債は機関投資家向けが中心ですが、米ドル建ての永久劣後特約付社債については一部の証券会社経由で個人でも購入できます。 ただし最低購入単位が額面200,000米ドル(約3,000万円相当)以上という制限があるため、一般個人投資家には敷居が高い商品です。 jtg-sec.co(https://www.jtg-sec.co.jp/bond/foreign/subordinated/products.htm?label=rt_6250)
これは使えそうな情報です。
一方、円建て永久劣後債については楽天証券やSMBC日興証券、大和証券などを通じた一般公募も行われており、比較的少額から参加できるケースがあります。 ただし販売される時期や証券会社によって条件が異なるため、常に購入できるわけではありません。 kabukiso(https://kabukiso.com/bond/corporate/rakuten/)
>💴 円建て:楽天証券・SMBC日興証券・大和証券などで公募時に購入可能
>💵 米ドル建て:JTG証券などで取り扱いあり、最低200,000米ドル単位
>📅 購入タイミング:新規発行時の公募期間が中心(常時購入できるわけではない)
購入前には目論見書を必ず確認することが原則です。特に「利払い繰延条項の発動条件」「劣後特約の具体的な内容」「任意償還のスケジュール」を自分の言葉で説明できるレベルまで理解してから申し込むことが不可欠です。
参考:S&Pによる楽天グループ永久劣後債の格付けレポート(劣後性・繰延リスクの詳細)
同じ楽天グループへの投資でも、「どの商品を選ぶか」で受けるリスクとリターンは大きく異なります。これが見落とされがちな重要ポイントです。
結論は「商品ごとにリスク構造が全く違う」です。
| 商品 | 利回り目安 | 倒産時弁済順位 | 利払い確実性 |
|---|---|---|---|
| 普通社債(楽天第25回) | 約2.336% | 高い(一般債権) | 高い |
| 永久劣後債(円建て) | 約4.691% | 低い(劣後) | 低い(繰延あり) |
| 米ドル建て永久劣後債 | 約8.125%(スワップ後5.207%) | 低い(劣後) | 低い(繰延あり) |
| 楽天グループ株式 | 配当はほぼなし | 最も低い(株主) | なし(配当は任意) |
永久劣後債は普通社債より利回りが約2%高い一方、弁済順位は普通株式より高く、一般社債より低いという「中間的な位置」に存在します。 この「中間」という性質が、仕組みを誤解させやすい最大の落とし穴です。 jtg-sec.co(https://www.jtg-sec.co.jp/bond/foreign/subordinated/products.htm?label=rt_8125)
普通社債と同じ感覚で保有するのはダメです。
例えば「S&PのBという格付けを見て一瞬だけ驚き、でも楽天というブランドを信じてそのまま購入」という行動パターンは実際の投資家に多く見られます。 格付けBは投機的等級であり、楽天の発行体格付けより3段階低い評価だという事実は、商品の本質的なリスクを示しています。 tateru-funding(https://tateru-funding.jp/rakutenbond-danger/)
永久劣後債への投資を検討する際は、全投資資産に占める比率を一定以内に抑えること、そして楽天グループのモバイル事業の進捗を半年ごとに確認するルールを自分の中で決めておくことをおすすめします。これ一点だけ覚えておけばOKです。
参考:永久劣後債の仕組みをわかりやすく解説(siiibo)
参考:楽天社債の危険性と財務状況の詳細分析
https://knowledge-art.co.jp/invest/rakuten-bond-risk/