

Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)は、日興アセットのインデックス投信シリーズの一つで、日経平均高配当株50指数(トータルリターン)への連動を目指すパッシブファンドです。この指数は、日経平均採用225銘柄のうち予想配当利回りの高い50銘柄を選び、配当利回りと流動性(売買代金)を加味してウエート付けする仕組みで、単純な株価平均や時価総額加重とは異なる「配当利回り重視型」の設計になっています。
Tracersの信託報酬は年0.1075%程度とされ、日本株高配当インデックス投信としてはかなりの低コスト水準である点が目を引きます。同じ指数をベンチマークとするETFの1489の信託報酬0.308%に対し、名目上は約3分の1の水準であり、長期保有時のコスト差がじわじわ効いてくる構造になっている一方で、投信特有の「隠れコスト」(売買コストや保管費用など実質的経費)がどの程度発生するかは運用実績を追う必要があります。
参考)Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配…
もう一つの特徴が「奇数月分配型」で年6回決算という設計であり、1・3・5・7・9・11月に分配金が支払われる形を取ります。高配当ETF・投信は年1~4回の分配が多い中で、「隔月分配」は配当生活を意識したキャッシュフロー設計に向いており、家計の固定費やボーナス以外の“サブ収入”として配当を受け取りたい投資家にとっては、心理的な満足度が高い構造と言えます。
参考)NF・日経高配当50 ETF(1489)で配当金生活!いくら…
Tracers 日経平均高配当株50インデックスは、新NISAの成長投資枠で購入可能な投資信託として設計されており、つみたて投資枠対象ではないものの、高配当戦略を「非課税枠で受け取りたい」ニーズに応える商品です。ETFよりも1円単位で自動積立しやすく、ボーナス時にスポット購入を組み合わせるなど、金額ベースで柔軟にコントロールできる点は、特に小口から配当戦略を組み立てたい個人投資家にとって、見落とせない実務面のメリットとなります。
1489(NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信)は、同じ日経平均高配当株50指数に連動する国内ETFで、純資産総額約3,500億円超(2025年時点)と、日本株高配当ETFの中でも最大級の規模を誇る人気商品です。信託報酬は年0.308%(税込)で、国内高配当ETFとしては標準的なレンジながら、Tracersと比較すると名目上のコストでは見劣りしてしまうため、「コストだけを見れば投信有利」という単純な印象を持ちやすい部分でもあります。
ただし、ETFと投信では「実際に投資家が負担するコストの構造」が異なり、1489は保有中のコストが信託報酬にほぼ集約される一方、売買時には証券会社の売買手数料やスプレッド(気配値の差)など取引コストが発生します。一方Tracersはノーロード販売が一般的で、購入時手数料は無料のケースが多いものの、隠れコストを含めた実質的なトータルコストは、決算後に公表される運用報告書を見て初めて全貌が見えるため、「目論見書上の信託報酬だけで判断しない」視点が重要です。
参考)Tracers日経高配当株50インデックス(奇数月分配型)の…
分配金についても違いがあります。1489は年4回(1・4・7・10月)の決算で分配金を支払っており、2025年初時点の分配金利回りはおおむね3~4%台と、国内ETFの中では高めの水準で推移してきました。これに対してTracersは年6回分配という頻度の高さが特徴で、1回あたりの分配金額は小さくなるものの、奇数月ごとに着実にキャッシュインがある構造になっており、「月次・隔月の生活費に配当を充てたい層」には心理的にわかりやすい設計です。
意外なポイントとして、分配頻度の多さは「税金を払うタイミングが増える」という側面も持ちます。課税口座でTracersを保有している場合、分配金が出るたびに20.315%の税金が差し引かれるため、同じトータルリターンであれば、分配頻度が少なく内部で再投資される方が税効率は高くなりやすいという逆説的な側面もあります。その意味で、新NISAの成長投資枠で非課税保有するのか、一般口座・特定口座で保有するのかによって、「分配頻度の多さがメリットになるか・デメリットになるか」が変わってくる点は、金融リテラシーの高い読者ほど押さえておきたい論点と言えるでしょう。
Tracersと1489のコスト・分配をざっくり整理すると、次のようなイメージになります(数値は代表的な水準のイメージ)。
| 項目 | Tracers 日経平均高配当株50インデックス | 1489(NF日経平均高配当株50) |
|---|---|---|
| 商品形態 | 公募投資信託(インデックス投信) | ETF(上場投資信託) |
| 信託報酬(税抜) | 約0.1075%程度 | 約0.308% |
| 分配頻度 | 年6回(奇数月決算) | 年4回(1・4・7・10月) |
| 新NISA対応 | 成長投資枠対象投信として利用 | 成長投資枠のETFとして利用(証券会社による) |
| 購入単位 | 1円単位(投信のため金額指定買付が容易) | 1口単位(株式と同様に口数・株価で決定) |
Tracers 日経平均高配当株50についての公式情報・目論見書、コスト等の詳細を確認できます(本ファンドスペック全般の一次情報)。
Tracersシリーズ公式サイト(日興アセットマネジメント)
両商品が連動を目指す「日経平均高配当株50指数」は、日経平均株価採用225銘柄のうち、予想配当利回りが高い50銘柄を選定し、配当利回りと流動性に基づいてウエート付けを行う、配当利回りウェート型の株価指数です。構成銘柄は毎年定期的に見直され、配当利回りの低下や業績悪化等により条件を満たさなくなった銘柄は除外され、新たに高配当となった銘柄が組み入れられる“動的な高配当ポートフォリオ”になっています。
構成銘柄の上位には、三菱商事、みずほフィナンシャルグループ、日本郵船、日本たばこ産業(JT)、武田薬品工業など、日本を代表する大型バリュー株・高配当株がズラリと並びます。業種別構成では、銀行・保険などの金融業、商社、海運、鉄鋼、エネルギー(石油・石炭製品)といった景気敏感セクターの比率が高めになりやすく、指数全体としては「ディフェンシブ一辺倒ではない、高配当×景気敏感」の性格を持っていることが特徴です。
参考)日経平均高配当50指数 構成銘柄|新NISA|投資の森
意外に見落とされがちなのが、「配当利回りウェート指数ゆえの偏り」です。配当利回りの高い銘柄ほどウエートが大きくなるため、一時的に株価が大きく売られた銘柄(=投資家からの評価が下がった銘柄)にウエートが偏りやすい構造があります。これは「割安で配当の高い銘柄を厚く買う」という価値投資的な側面と、「業績悪化で売られている“罠銘柄”を掴むリスク」という二面性を併せ持っており、トータルとしては高リターンを狙えるが、株価変動や分配金のブレも大きくなりがちな指標です。
参考)https://www.nikkoam.com/files/lists/news/2024/news0626_01.pdf
JPXや運用会社のデータでは、過去一定期間の年率リターンはTOPIXなどの広範な指数を上回る局面が多く、高配当バリュー戦略が機能した相場環境では優れたパフォーマンスを示してきました。一方で、グロース株主導の相場や景気後退局面では、景気敏感株の比率が高い構成が裏目に出て、指数全体が大きくドローダウンする可能性も指摘されており、「インカム狙いだから値動きは穏やか」というイメージで入るとギャップを感じるかもしれません。
指数入れ替えのタイミングも重要です。日興アセットの資料によれば、日経平均高配当株50指数は毎年一定の見直し時期に構成銘柄やウエートが調整され、その際に入れ替え対象となった銘柄の株価が短期的に大きく動くケースもあります。Tracersと1489はこの指数に機械的に連動するため、「指数の方針が変われば、自分のポートフォリオの性格も変わる」ことを前提に、年1回は指数の構成・業種別比率の変化をチェックする習慣をつけておくと、長期保有中の“いつの間にか別物を持っていた”リスクを抑えやすくなります。
日経平均高配当株50指数の概要と算出ルール、業種別構成などが整理されています(指数そのものの設計・リスク特性を理解するのに有用)。
NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型 上場投信 概要資料(JPX)
Tracersと1489はどちらも高配当株50銘柄への投資ですが、「配当生活」という文脈で見ると、キャッシュフローの出方と再投資のしやすさに微妙な違いが生まれます。奇数月分配のTracersは、年間6回の分配により“配当の谷間”が少ないため、年間の家計キャッシュフローを組み立てる際に、月次予算のサポート役として組み込みやすい商品です。
例えば、偶数月に給与・ボーナスが多い人が、奇数月の生活費の一部をTracersの分配金でカバーする設計を取ると、「給与は貯蓄・投資に回し、配当で生活費の一部をまかなう」というメンタルアカウンティングがしやすくなります。一方、1489の年4回分配は、四半期ごとにまとまった金額が入ってくるため、NISA枠外で保有しつつ、受け取った分配金を別のETFや投信の買付に充てる「配当→再投資」の再循環設計に向いています。
参考)日経高配当株50ETF【1489】のメリット・デメリットと実…
もう一つの独自視点が、「新NISA内とNISA外での役割分担」です。成長投資枠の中では、Tracersのような低コスト投信で高配当株50に投資し、分配金・値上がり益の非課税メリットを最大化する一方、課税口座では1489を用いて短期的な値動きや配当利回りの変化を見ながら、必要なタイミングで売却・買い増しを行う“リズム調整用ツール”として使い分ける戦略が考えられます。
さらに、Tracersの分配金を自動再投資せず、敢えて現金で受け取り、ドル建て高配当ETF(例えば米国の高配当・増配ETF)に振り替えるような「円高配当→ドル高配当」の乗り換えルートを組むと、日本株と海外株のインカム分散を、日々の家計キャッシュフローの中で無理なく進めることができます。この発想は、高配当ETFを単なる“配当受け取りマシン”ではなく、資産全体をならすリバランスの源泉として活用するもので、特に金融リテラシーの高い投資家には面白いテーマになるはずです。
このように、「どちらが有利か?」という二択ではなく、「Tracersで非課税・高頻度キャッシュフローを押さえつつ、1489で市場とコミュニケーションを取りながら配当戦略を微調整する」という役割分担を考えると、同じ日経平均高配当株50指数を使いながらも、より立体的なインカム戦略を描くことができます。あなた自身の生活リズムや海外資産比率へのこだわりを踏まえたとき、Tracersと1489をどう組み合わせると、「数字としての利回り」と「心理的な安心感」のバランスが取れるでしょうか。
東証上場の高配当ETF(1489を含む)の比較や分配金推移を詳しく分析している個人投資ブログです(日本株高配当ETF全体の位置づけを把握するのに有用)。
日経平均高配当株50インデックスと1489の比較を深めると、「そもそも日本株の高配当ETFの中で、どのポジションにあるのか」という疑問も自然に湧いてきます。代表的な日本株高配当ETFとしては、1489のほかに、野村日本株高配当70(1577)、グローバルX MSCIスーパーディビィデンド-日本株式(2564)、上場インデックスファンド日本高配当(1698)、iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り(1478)などが挙げられ、それぞれ銘柄数や指数コンセプトが異なります。
例えば、1698は東証配当フォーカス100指数をベンチマークとし、3月・12月決算企業の比率を均等にするバランス重視の設計であるのに対し、1478はMSCIジャパン高配当利回り指数に連動し、財務の健全性や配当の持続可能性も評価軸に組み込んだファンドです。それに対して日経平均高配当株50指数は、あくまで「日経平均採用銘柄の中から予想配当利回り上位50銘柄」というシンプルなコンセプトで、銘柄数が少ないぶん「濃度が高い」ポートフォリオになっている点が差別化ポイントと言えます。
参考)https://www.jpx.co.jp/equities/products/etfs/issues/files/1489-j.pdf
Tracersと1489を軸に据えつつ、1577や2564、1698、1478など他の高配当ETFを“サテライト”として組み合わせると、日本株高配当セグメントの中でも、業種分散・銘柄分散を一段と深めることができます。特に、日経平均高配当株50指数は海運や商社など景気敏感セクターへの偏りが意識されやすいため、不動産(REIT)や内需ディフェンシブ株を多く含む他ETFと合わせて持つことで、「配当利回りは維持しつつ、景気感応度をならす」ようなポートフォリオ設計も現実的です。
独自の活かし方としては、「日本株の高配当枠を、Tracers+1489+別コンセプトの高配当ETFの“3本柱”で組む」という発想があります。例えば、
といった構成にすることで、一口に“日本株高配当”と言っても、異なる哲学のETFを折り重ねたポートフォリオを作れます。
このように、tracers 日経平均高配当株50インデックス 1489 比較は、「どちらか一つを選ぶ」話に留まらず、日本株高配当セグメント全体を俯瞰し、自分のリスク許容度や新NISA枠の配分を踏まえて、「コア・サテライト構成をどう組むか」を再設計するヒントになっていきます。あなたのポートフォリオでは、Tracersと1489を“主役”に据えるのか、それとも既に保有している高配当ETFとのバランサーとして“脇役”に置くのか、どちらの姿がしっくり来るでしょうか。
日本株高配当ETF全般(1489を含む)の比較やリターン・分配金推移をまとめた分析記事で、他ETFとの住み分けを検討する際に役立ちます。
日経高配当株50ETF【1489】のメリット・デメリットと実際の活用法(投資旅)