
貸金業法は貸金業を営む事業者を対象とした法律で、登録を受けた正規の貸金業者に適用されます。この法律の特徴は、利息制限法の上限金利(元本10万円未満で年20%、10万円以上100万円未満で年18%、100万円以上で年15%)を採用し、これを超える貸付に対して行政処分を科すことです。
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貸金業法違反の主な制裁内容。
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また、貸金業法は2010年6月の改正により総量規制が導入され、貸金業者は個人の借入総額を年収の3分の1以内に制限することが義務付けられました。
参考)貸金業法について【貸金業界の状況】
出資法は個人を含む全ての貸付者に適用される刑罰法規で、貸付者の属性により異なる上限金利を設定しています。個人間貸付では年109.5%(うるう年は109.8%)、業として貸付を行う場合は年20%が上限となります。
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出資法の刑事罰体系。
参考)利息制限法とは?弁護士がわかりやすく解説 - 債務整理に強い…
出資法は元本額による金利区分がなく、一律の基準で刑罰を科すことが特徴です。また、出資法には行政処分の規定は存在しません。
2006年の貸金業法大幅改正により、従来のグレーゾーン金利問題が解決されました。改正前は利息制限法の上限(年15-20%)と出資法の上限(年29.2%)の間に「グレーゾーン金利」と呼ばれる法的曖昧な領域が存在していました。
参考)https://www.cr.mufg.jp/corporate/info/kashikin/100510_01.html
改正の主要内容。
2010年6月18日の完全施行により、利息制限法と出資法の上限金利が実質的に一致し、法的矛盾が解消されました。
両法律に違反した場合の実務的な取り扱いには重要な相違点があります。出資法違反は刑事事件として警察が捜査し、検察が起訴判断を行います。一方、貸金業法違反は金融庁や都道府県による行政処分が先行し、悪質な場合に刑事告発される構造になっています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/929d7ceb59acf1ca7604cfee088a9b2c4014bcc1
違反時の対応順序。
参考)https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/738814_62236125_misc.pdf
また、貸金業者が利息制限法の上限を超えた場合、貸金業法上の行政処分対象となり、さらに出資法の上限も超えると刑事罰の対象となる二重の制裁を受ける可能性があります。
参考)貸金業法とは?総量規制・上限金利や違反となるケースをわかりや…
近年、SNSを通じた個人間融資が社会問題となっており、出資法の個人向け上限金利(年109.5%)の高さが悪用されるケースが増加しています。個人が年109.5%以下の金利で貸付を行う場合、出資法上は合法でも、利息制限法上は年20%を超える部分が無効となります。
参考)個人間融資の金利の上限は年利109.5%!借金の利息の上限を…
個人間融資の法的リスク。
参考)https://www.mobit.ne.jp/media/1046/index.html
また、質屋営業法との関係も複雑で、質屋業の外観を装った高金利貸付が貸金業法・出資法違反として摘発される事例も報告されています。これらの実例は、両法律の適用関係を正しく理解することの重要性を示しています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/8357c9350b21684a466a270315eec43c7dc5fad8