
外税方式とは、消費税のかかる取引において、商品やサービスの本体価格と消費税を分離して表示する会計処理方法です。具体的には「商品価格10,000円+消費税1,000円」のように、本体価格と消費税額を明確に区分して記載します。この方式は「税別」「税抜」とも呼ばれ、消費者が税抜き価格を一目で把握できる透明性の高い表示方法として位置づけられています。
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外税方式の大きな特徴は、取引金額の内訳が明確に分かることです。商品価格という大きな箱の外に、消費税という小さな箱があるイメージで理解することができ、これにより購入者は本体価格と税額を正確に把握できます。
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会計処理においても、外税方式では取引発生時点で本体価格と消費税を分けて仕訳を行います。仕入時には「仮払消費税等」、売上時には「仮受消費税等」の勘定科目を使用し、決算時に相殺処理を行うのが一般的な流れとなります。
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外税方式と内税方式の最も重要な違いは、消費税の表示方法にあります。内税方式では「10,000円(税込)」のように消費税を含めた総額で表示するのに対し、外税方式では「10,000円+税1,000円」のように本体価格と税額を分離して表示します。
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表示義務の観点から見ると、2021年4月以降、消費者向け(BtoC)取引では総額表示(内税)が法的に義務化されています。一方、事業者間(BtoB)取引については外税表示が認められており、実際に多くの企業間取引で外税方式が採用されています。
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会計処理の複雑さも両者で異なります。内税方式では取引時に税込み金額で記帳し、決算時に一括して消費税を計算するため、日々の記帳は比較的シンプルです。しかし、外税方式では取引のたびに本体価格と消費税を分けて記帳する必要があり、より詳細な管理が求められます。
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外税方式における消費税の計算は、本体価格に税率を乗じる単純な計算式で行います。標準税率10%の場合、本体価格×10%=消費税額となり、軽減税率8%の対象商品では本体価格×8%で計算します。
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具体的な計算例として、本体価格27,060円(8%対象)の場合:27,060×8/100=2,164.8円→2,164円(切り捨て)となります。同様に本体価格28,158円(10%対象)の場合:28,158×10/100=2,815.8円→2,815円(切り捨て)で消費税額を算出します。
インボイス制度下での記載方法では、税率ごとに商品の税抜き価格合計を記載し、それぞれの消費税額を併記する形式が求められています。例えば「8%対象計:27,060円 消費税額:2,164円」「10%対象計:28,158円 消費税額:2,815円」のように明記します。
外税方式の会計処理では、税抜経理方式を採用し、取引発生時に本体価格と消費税を分離して記帳します。仕入れの場合、本体価格を「仕入」勘定、消費税部分を「仮払消費税等」勘定で処理します。例えば、税込5,500円(本体5,000円)の商品を仕入れた場合の仕訳は:借方「仕入5,000円、仮払消費税等500円」貸方「買掛金5,500円」となります。
売上の場合も同様に、本体価格を「売上」勘定、消費税部分を「仮受消費税等」勘定で処理します。税込11,000円(本体10,000円)で販売した場合の仕訳は:借方「現金11,000円」貸方「売上10,000円、仮受消費税等1,000円」となります。
決算時には、仮受消費税等から仮払消費税等を相殺し、納付すべき消費税額を「未払消費税等」として計上します。上記の例では:借方「仮受消費税等1,000円」貸方「仮払消費税等500円、未払消費税等500円」の仕訳を行います。
金融業界において外税方式は「外枠方式」として投資信託の販売手数料徴収方法に採用されています。投資家が投資信託を購入する際、申込み金額に販売手数料と消費税が含まれておらず、別途上乗せされる方式を指します。一般的に追加型投資信託で採用されており、投資家にとって手数料の透明性を確保する重要な仕組みとなっています。
参考)外枠方式|証券用語解説集|野村證券
証券業界では、有価証券の取引において消費税の取り扱いが複雑になることがあります。多くの投資商品は非課税取引に該当しますが、ブローキング手数料などは課税対象となるため、外税方式による明確な区分表示が求められます。
また、金融機関における貸付金利子は非課税売上となりますが、受取利子が生産する付加価値より大きいため課税売上割合が低下する問題があります。このような複雑な税務処理において、外税方式による明確な区分管理は極めて重要な意味を持っています。
国税庁の総額表示義務に関する詳細な解説
野村證券による投資信託の外枠方式の説明