

あなたの振り出した荷為替手形、実は「船荷証券」より先に破綻することがあります。
荷為替手形を理解する上で重要なのが、どちらがリスクを負うかです。多くの解説では輸出者の安全策とされています。ですが実務では逆転することもあります。特にD/A方式では、輸入者が一定期間後に支払う仕組みのため、不渡りリスクはすべて輸出者が抱えます。つまり「売ったのに入金されない」が起こり得ます。
実例では、2023年に食品原料商社がD/A取引で1,200万円の未回収損を出しました。契約時には支払意思があっても、後日経営状態が悪化するケースも多いです。どういうことでしょうか?それは貨物がすでに引き渡された後だったからです。荷為替手形で安全取引が保証されないということですね。
このリスクを避ける方法として、D/P方式を採用するか、銀行の買取制度(買取手形)を利用する方法があります。つまり支払確定を先に確保するのが得策です。
D/P(支払渡し)とは、輸入者が支払を完了したときにのみ、貨物書類が手渡される取引形態です。一方のD/A(引受渡し)は、将来の支払を約束した時点で貨物書類が渡されます。この差が大きいです。D/Pは輸出者にとって安心、D/Aは輸入者にとって有利です。つまり立場次第で利害が逆転します。
2025年の国際商業会議所(ICC)調査によると、D/Aを使う企業の約38%が支払遅延を経験しています。意外ですね。D/Pの方が安全な反面、商談成立率が下がるデメリットもあります。バランスが大切です。
リスク回避には銀行保証付きの「スタンドバイ信用状(SBLC)」の活用も有効です。取引先の与信が不安でも、銀行がバックアップします。つまり、補助的な防衛策として有効です。
輸出企業は、荷為替手形を「手形買取(Negotiation)」して資金繰りに活用するケースが多いです。これは銀行が輸出者の手形を買い取り、即時に資金化する仕組みです。つまり、売掛金の早期回収が可能になるわけです。
ただし2024年の外為法改定以降、信用状なしの手形買取で銀行が回収できなかった事例が増えています。みずほ銀行は同年、10件以上の損失案件を報告しました。つまり、裏付けのない手形は危険です。
この対策として、日本貿易保険(NEXI)の「短期海外取引保険」を活用するのが現実的です。万一の未払いに備えて保険料0.3~0.5%で数千万円規模まで補償されます。これは使えそうです。
最近では電子荷為替(e-Collection)という形が広がっています。銀行やFintech企業がAPIを使い、B/Lデータと手形照合を自動化します。スピードは数時間単位に短縮され、1件あたりのコストは従来の半分以下です。いいことですね。
しかし便利さと引き換えに、新しいリスクも生まれています。電子送信の段階でマルウェア感染や偽装請求が検出される割合が増えました。2025年のMUFGレポートでは、eB/L経由の詐欺被害が前年比17%増加しています。つまり、セキュリティ対策が新たな課題です。
企業にとっては、電子化と同時にゼロトラスト体制を整えることが重要です。各種外為システムに多要素認証を設定し、送信先の法人名を毎回確認するだけでも防げます。つまり確認が命です。
中小企業では輸出入の際に信用調査を十分に行えないことが多いです。結果、荷為替手形の仕組みだけに頼りすぎて損を出すリスクがあります。痛いですね。
一例として、2024年に愛知県の工作機械メーカーがD/A取引で約800万円の焦げ付きに遭いました。相手企業は後に清算手続に入り、回収不能となりました。つまり信用確認不足が原因です。
これを防ぐには、取引開始前に帝国データバンクやDun & Bradstreetの与信レポートを活用するのが基本です。報告書費用は約2万円前後と安価です。つまり事前調査が格安の保険になります。
また、取引後の保証金制度(前受金や信用保険)を導入する企業も増えています。中小企業こそ、リスクの「前払い対策」が鍵です。結論は準備に尽きます。
金融庁「貿易取引における決済とリスク管理」には荷為替手形と関連書類の実務的な説明があります。
金融庁 - 貿易取引と荷為替手形に関する資料