
年金だけでは暮らせないのが当たり前となった最大の理由は、年金支給額と実際の生活費との間に大きなギャップが存在することです。
国民年金の支給額は現実的ではない
一方で、高齢者の実際の生活費を見ると。
世帯タイプ | 月平均消費支出 | 年金収入との差額 |
---|---|---|
高齢単身世帯 | 15万7,673円 | 約3万円不足 |
高齢夫婦世帯 | 28万2,497円 | 約3万8,000円不足 |
この数字から分かるように、年金だけでは明らかに生活費を賄うことができません。特に国民年金だけの受給者の場合、月約10万円もの不足が生じており、貯金の取り崩しなしでは生活が成り立たないのが現実です。
年金支給額の減少傾向
さらに深刻なのは、年金支給額が年々減少傾向にあることです。2012年度の国民年金満額支給額は78万6,500円でしたが、2022年度には77万7,800円と、10年間で年額8,700円も減額されています。一方で年金保険料は10%以上上昇しており、実質的な年金価値はさらに目減りしています。
年金だけでは暮らせないという現実を加速させているのが、近年続く物価上昇です。電気代や食費などの生活必需品の価格高騰は、固定収入である年金生活者に直撃しています。
物価上昇と年金のミスマッチ
年金額の増加率と物価上昇率には大きな乖離があります。
実際の年金生活者からは「物価高騰で生活が苦しい。食費を削るだけ削っているが、年金収入だけでは生活できず、貯金を切り崩している」という声が多数寄せられています。
特に影響の大きい費目
これらの費用は生活に必要不可欠であり、削減が困難なため、年金だけでは暮らせない状況がより深刻化しています。
年金だけでは暮らせない理由として、医療費と介護費の増大も重要な要因です。高齢になるほど医療費がかさみ、介護が必要になる可能性も高まります。
高齢者特有の支出増
高齢者世帯の消費支出の内訳を見ると。
予期しない医療費の負担
ある70歳の年金生活者の実例では、「妻も病気がちで医療費が毎月数万円必要。外壁やシンクの修繕もしたいが、お金が回らない」という深刻な状況が報告されています。
介護費用の現実
要介護状態になった場合の自己負担額。
これらの費用は年金だけでは到底賄えず、まとまった貯蓄がなければ対応できません。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、年金だけで生活している世帯の割合は急激に減少しています。
年金だけで生活する世帯の推移
わずか2年間で年金だけで生活する世帯が半分近く減少したことは、年金だけでは暮らせないのが当たり前になったことを如実に示しています。
生活困窮を感じる高齢者の割合
高齢者世帯の生活意識調査では。
貯蓄状況の実態
国民生活基礎調査による1世帯あたりの貯蓄額。
「老後2,000万円問題」で話題になった金額には到達していない世帯が大多数で、60歳で貯蓄なしの人も4人に1人存在します。
年金だけでは暮らせないのが当たり前の時代において、どのような対策を講じるべきでしょうか。現実的で実践可能な方法を紹介します。
現役時代からの準備
年金受給開始後の対策
支出管理の最適化
公的支援制度の活用
資産活用の新しい選択肢
持ち家がある場合は、リースバック制度の活用も検討できます。自宅を売却して現金化しながら、賃貸として住み続けることで、まとまった資金を確保できます。
年金だけでは暮らせないのが当たり前の時代だからこそ、早めの準備と多様な収入源の確保が重要です。公的年金に過度に依存せず、自助努力と公的支援を組み合わせた総合的な老後設計が求められています。