後期高齢者医療制度高額療養費の仕組みと計算方法

後期高齢者医療制度高額療養費の仕組みと計算方法

後期高齢者医療制度高額療養費の仕組み

後期高齢者医療制度高額療養費のポイント
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自己負担限度額による保護

月額の医療費が所得に応じた上限額を超えた分を支給

📊
所得区分による段階設定

現役並み所得者から住民税非課税まで細かく区分

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世帯合算制度

同一世帯の被保険者複数人の医療費を合算可能

後期高齢者医療制度高額療養費とは

後期高齢者医療制度における高額療養費は、75歳以上の被保険者が1カ月(同一月内)に支払った医療費の自己負担額が、所得区分に応じて設定された自己負担限度額を超えた場合に、その超過分を支給する制度です 。この制度により、後期高齢者の医療費負担が過度にならないよう調整されています 。
高額療養費の対象となるのは、保険が適用される診療に対して患者が支払った自己負担額のみで、差額ベッド代、食事代の一部負担、先進医療の技術料などは対象外です 。制度の根本的な目的は、家計に対する医療費の負担が過重なものとならないよう、被保険者の所得等に応じた自己負担限度額を設定することにあります 。
参考)高額療養費制度について知りたい|リスクに備えるための生活設計…

 

後期高齢者医療制度高額療養費の所得区分と自己負担限度額

後期高齢者医療制度では、所得区分によって自己負担限度額が詳細に設定されています。現役並み所得者Ⅲ(3割負担)では、外来+入院の限度額が252,600円+(総医療費-842,000円)×1%となっています 。現役並み所得者Ⅱでは167,400円+(総医療費-558,000円)×1%、現役並み所得者Ⅰでは80,100円+(総医療費-267,000円)×1%と段階的に設定されています 。
一般Ⅱ(2割負担)の場合、外来は18,000円または6,000円+(総医療費-30,000円)×10%のいずれか低い額、外来+入院では57,600円(多数回該当44,400円)となっています 。一般Ⅰ(1割負担)では外来18,000円、外来+入院57,600円(多数回該当44,400円)です 。住民税非課税の区分Ⅱでは外来8,000円、外来+入院24,600円、区分Ⅰでは外来8,000円、外来+入院15,000円と低所得者への配慮がなされています 。
参考)高額療養費|神奈川県後期高齢者医療広域連合

 

後期高齢者医療制度高額療養費の計算方法

後期高齢者医療制度の高額療養費計算は、特有の段階的な方法で行われます。まず、現役並み所得者以外の個人ごとの外来のみで計算し、次に世帯での外来(1で支給される額を除く)と入院で計算します 。最後に1と2を合計したものを個人ごとに振り分けて高額療養費を支給します 。
具体例として、負担区分一般Ⅰ(1割負担)の世帯で、歯科外来14,000円、病院外来7,000円、入院50,000円の自己負担があった場合を見てみましょう。外来の自己負担額21,000円のうち、個人の限度額18,000円を超えた3,000円をまず支給します 。次に、この3,000円を差し引いた18,000円と入院の50,000円の合計68,000円について、世帯の限度額57,600円を超えた10,400円を支給します 。結果として、3,000円+10,400円=13,400円が高額療養費として支給されます 。
参考)高額療養費|愛知県後期高齢者医療広域連合公式ウェブサイト

 

後期高齢者医療制度高額療養費の世帯合算制度

後期高齢者医療制度では、同じ世帯に被保険者が複数いる場合、自己負担額を合算できる世帯合算制度があります 。75歳以上の方は金額に関わらず、すべての自己負担分を合算できるのが特徴です 。これは70歳未満の方が21,000円以上の自己負担のみ合算対象となるのとは異なる重要なポイントです 。
世帯合算の計算順序は、まず70歳以上の外来にかかった自己負担を個人単位で合算して個人単位の限度額を適用し、次に世帯内で75歳以上同士、70〜74歳同士でそれぞれ入院と外来の自己負担を合算して世帯単位の限度額を適用します 。ただし、同一世帯であっても異なる医療保険に加入している場合(健保と後期高齢者医療制度など)では合算はできないことに注意が必要です 。
参考)https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/100714a.pdf

 

後期高齢者医療制度高額療養費の申請手続きと注意点

後期高齢者医療制度の高額療養費申請は、広域連合からの通知を待つことが基本です。高額療養費の支給が見込まれる方には、診療月から最短で3カ月後に大阪府後期高齢者医療広域連合から「後期高齢者医療高額療養費支給申請書」が送付されます 。一度申請すると、次回以降は高額療養費に該当するたびに登録口座に自動的に振り込まれるため、申請書の提出が不要となります 。
申請時の必要書類は、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、後期高齢者医療資格確認書など)、高額療養費支給申請書、被保険者の振込先金融機関の口座情報がわかるものです 。重要な注意点として、高額療養費の請求権は受診した月の翌月1日から2年で時効となり、申請できなくなることがあります 。また、原則として窓口でいったん全額を支払う必要があり、支給までに3ヵ月以上かかるため、ある程度の預貯金での備えが必要です 。
参考)高額療養費制度とは?自己負担額や仕組みをわかりやすく解説|ソ…