

あなたの預金が利益よりも「リスク」に使われているって知ってましたか?
金融仲介機能プログレスレポートは、2014年から金融庁が毎年公表している評価制度です。銀行や信用金庫の「仲介の質」を定量的に評価する目的があります。指標には、資金供給、リスク管理、顧客サービスの3軸があり、それぞれで100点満点のスコア評価が行われています。2024年時点で評価対象は延べ441機関にのぼりました。つまり業界全体が「見える化」されたということです。
問題は、スコアが低い機関ほど手数料収入に依存しがちという点です。結果として、顧客が負担する隠れコストが増える傾向にあります。つまり、スコアが低い銀行ほど“取引コストが高い”可能性があるということですね。
銀行の本来業務は、預金を集めて企業へ貸し出し、その利息で利益を得ることです。ところが、プログレスレポートの分析では、2023年の平均利ざやは0.27%と過去最低水準でした。つまり、貸してもほとんど儲からないのです。
そのため、銀行は保険商品の販売や投資信託の仲介で手数料を得ています。これは「金融仲介」とは別の収益源です。ですが、金融仲介機能スコアが低下しても、短期的収益が上がるように見える仕組みが生まれているのです。つまり、表面的な黒字の裏に金融仲介の劣化が隠れているということですね。
ESG投資やGX融資の潮流が、金融仲介機能の評価指標に加わりつつあります。特に2024年版レポートでは、「脱炭素関連投融資の比率」が新項目として導入されました。この比率が10%以上の銀行は、全体のわずか14%にすぎません。つまりこの分野はまだ黎明期にあるのです。
一方で、ESG評価の高い銀行ほど金融仲介機能スコアも平均3点高い傾向が示されています。脱炭素化を意識する投融資が長期的安定を呼ぶということですね。経営の長期視点が試される時代に入っています。
プログレスレポートは約100ページにわたる技術文書ですが、読むべき箇所は「貸出の質」「地域貢献度」「顧客満足度指標」の3つ。まず、「貸出の質」では、不良債権比率と利ざや変動を確認します。0.3%を切ると過剰競争のサインです。つまり、安易な貸出合戦が起きているということですね。
次に「地域貢献度」では、地元企業の資金循環率を見ます。70%を超えていれば地域密着型として優秀です。最後に「顧客満足度指標」では相談件数とトラブル件数のバランスを見ることが重要です。件数が多いほど相談体制がある一方で、トラブル比率が高いと信頼性に欠けます。つまり、数を見る目が必要なのです。
AIを活用した融資判断は、省力化とリスク削減に寄与する一方で、「データ偏重の副作用」も指摘されています。実際、AIモデルが算出するスコアのうち5%はデータ偏りによる誤判定とされます。つまり完璧ではありません。
また、AIの判断は画一的になるため、創業間もない企業やベンチャーが評価を受けづらくなる傾向があります。これは本来の金融仲介機能である「将来性を見抜く力」を弱める要因です。つまり、人間の判断力が再び価値を持つ局面が訪れているのです。
リスク回避一辺倒では機会も失われます。これからの金融機関は、AIと人間のバランスをとることが成長の鍵になるでしょう。
金融庁公式サイト(プログレスレポート2024年版の全文PDF)
https://www.fsa.go.jp/intermediary-report/index.html