建築基準法改正2025で変わる不動産投資と資産価値の影響

建築基準法改正2025で変わる不動産投資と資産価値の影響

建築基準法改正2025が不動産投資と資産価値へ与える影響

省エネ基準に適合しないと、2025年以降は新築住宅を着工すらできなくなります。


📋 この記事の3つのポイント
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4号特例の縮小で審査が厳格化

木造2階建て住宅の多くが「新2号建築物」に再分類され、構造計算書(30〜50万円)の提出が原則必要になりました。確認審査の法定期間も7日から35日へと大幅に延びています。

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全新築住宅に省エネ基準適合が義務化

2025年4月以降、すべての新築住宅・非住宅が省エネ基準に適合しないと着工不可となりました。建築コストは建設費の約1.3〜4.0%増加するとされており、物件価格上昇に直結します。

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再建築不可物件のリスクが急拡大

法改正により再建築不可物件はリフォーム確認申請のハードルが上がり、売却価格が通常の3〜5割程度に下落するリスクがあります。さらに特定空き家に認定されると固定資産税が最大6倍になる危険もあります。


建築基準法改正2025の背景と4号特例縮小の概要


2025年4月1日、建築基準法および建築物省エネ法の改正が施行されました。今回の改正はここ数十年でも最大規模の見直しと言われており、不動産に関わるすべての人が内容を把握しておく必要があります。


改正の最大の柱は、長年にわたって続いてきた「4号特例」の大幅縮小です。4号特例とは、1983年(昭和58年)に高度経済成長期の審査人員不足を解消するために導入された制度で、木造2階建て以下・延べ面積500㎡以下などの小規模建築物について、建築士が設計すれば確認申請時の構造審査を省略できるものでした。


つまり、この制度は40年以上前の「人手が足りない」という事情から生まれた応急措置だったわけです。それが令和の時代まで続いていたという背景があります。


今回の改正でこの4号建築物という分類は廃止され、「新2号建築物」と「新3号建築物」に再編されました。改正後の区分はシンプルに覚えておくと便利です。


- 新2号建築物:木造2階建て以上、または延べ面積200㎡超の木造平屋建て → 全ての地域で建築確認・構造審査が必要
- 新3号建築物:木造平屋建てで延べ面積200㎡以下 → 従来の審査省略制度が一部維持


延べ面積200㎡というのはだいたい60坪程度で、一般的な2LDK〜3LDKの戸建て住宅に相当します。つまり、ごく一般的な一戸建ての新築・大規模リフォームのほぼすべてで、これまでは不要だった構造関係書類の提出と審査が必要になったということです。新2号建築物が原則です。


確認審査の法定期間も大きく変わっています。改正前は「7日以内」で済んでいたものが、改正後は「35日以内」と5倍に延長されました。着工前の準備に要する期間も含めると、実質的な工期はさらに延びる可能性があります。


国土交通省が示した改正の背景には、カーボンニュートラル実現に向けた省エネ化推進と、省エネ化に伴う建物の重量増加への対応という2つの理由があります。断熱材の追加や高性能窓の採用などで建物の重量が増えるため、それに耐えられる構造であることを第三者がきちんと確認する必要が出てきたわけです。


参考:2025年4月改正の公式資料
国土交通省「2025年4月から4号特例が変わります」(PDF)


建築基準法改正2025で義務化された省エネ基準の内容と費用への影響

4号特例の縮小と並んで大きな柱となるのが、省エネ基準への適合義務化です。これが金融・投資目線で見たときに非常に重要なポイントになります。


従来は300㎡以上の中・大規模非住宅建築物にのみ省エネ基準の適合義務がありました。それが2025年4月以降は、規模にかかわらずすべての新築住宅・非住宅建築物に拡大されています。住宅においては外皮性能基準(断熱性能)と一次エネルギー消費量基準の2つをクリアすることが着工の前提条件となりました。


具体的に何をクリアする必要があるかというと、断熱材の仕様、窓のサッシ性能、給湯器や空調設備の省エネ性能などを設計の初期段階から確定させ、省エネ計算書を確認申請に添付しなければなりません。途中で設計変更があれば再計算が必要になるため、スケジュール管理が従来以上に重要です。


コスト面への影響が気になるところですね。国土交通省の試算によると、省エネ基準に適合させるために必要な追加コストは建設費の約1.3〜4.0%とされています。わかりやすく例を挙げると、3,000万円の新築住宅の場合、約39万〜120万円の追加コストが発生する計算です。


さらに、構造計算書の作成費用として別途30〜50万円程度が必要になるケースも多く、合計すると新築一戸建ての総費用は改正前に比べて数十万円単位で上昇しています。不動産投資の観点からは、新築物件の取得コスト増加と利回り圧迫を意識しておく必要があります。


一方で、省エネ性能の高い住宅は光熱費が削減されるというメリットもあります。ただし、追加コストの回収期間は約17〜35年とされており、戸建て住宅の場合は特に回収に時間がかかります。長期保有の投資物件として考える場合は、このランニングコスト削減効果を収支計画に組み込む視点が有効です。


省エネ住宅の取得には補助金や税制優遇も用意されています。たとえば「子育てグリーン住宅支援事業」では省エネ基準を上回るZEH水準の住宅取得に対して補助金が交付されており、資金計画の段階でこれらの活用も検討する価値があります。


参考:省エネ基準と追加コストの公式試算
国土交通省「省エネ基準への適合のための追加コスト等の試算例について(住宅)」(PDF)


建築基準法改正2025が不動産投資家に与える再建築不可物件のリスク

金融・投資に興味がある読者にとって、最も注意が必要なのがこの再建築不可物件に関するリスクです。これは資産価値に直接関わる問題です。


再建築不可物件とは、現行の建築基準法の接道義務(幅4m以上の道路に2m以上接していること)を満たしていないため、建物を取り壊した後に新たな建物を建てられない土地・建物のことです。これまでは4号特例が適用されるものが多く、確認申請なしに大規模なリフォームで建物の価値を維持してきた経緯があります。


しかし法改正後は、こうした物件の多くが「新2号建築物」に分類されるため、大規模なリフォームにも建築確認申請が必要になりました。再建築不可物件は接道義務を満たしていないことから確認申請の許可が下りにくく、実質的に大規模改修ができない状況に追い込まれる可能性があります。


売却価格も厳しい状況です。再建築不可物件の売却価格はもともと通常の物件の3〜5割程度にとどまることが多いのですが、今回の法改正によってさらに買い手がつきにくくなる懸念があります。リフォームができなければ、老朽化した建物をそのまま使い続けるしかなく、物件価値は時間とともに低下していく一方です。


放置するとさらに深刻なリスクがあります。建物が老朽化して誰も住まなくなると、自治体から「管理不全空き家」や「特定空き家」に認定される可能性があります。そうなると住宅用地特例(小規模住宅用地で固定資産税が1/6になる制度)が解除され、固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。たとえば年間10万円の固定資産税が60万円になるイメージです。管理コストだけがかさんでいく状態になります。


こうしたリスクを事前に把握するには、対象物件が再建築不可かどうかを公図や地積測量図で確認し、市区町村窓口に問い合わせる方法が基本です。不動産投資の物件選定においては、検査済証の有無や現行法との適合状況を事前に建築士に確認してもらうことが重要な時代になっています。


建築基準法改正2025による既存住宅の資産価値への影響と売却戦略

法改正は、中古住宅の資産価値の評価軸を変えるという点でも注目されています。これが今後の不動産売買に大きく関係します。


まず、2025年以降に新築された建物は省エネ基準適合が義務化され、構造審査も経ているため、一定の性能水準が保証されています。これに対して、基準が整備される前に建てられた既存住宅は相対的な価値が下がる可能性があります。


特に重要なのが「検査済証」の有無です。検査済証とは建物の完了検査に合格したことを示す書類ですが、国土交通省によると平成10年ごろの取得率はわずか約40%でした。つまり、1990年代以前に建てられた建物の過半数は検査済証がない状態です。検査済証のない建物は、用途変更や構造変更を伴うリノベーションが実質的に困難となるケースが増え、投資物件としての活用範囲が大きく制限されます。


一方で、省エネリフォームを実施して性能表示を取得した既存住宅は、資産価値を高めるチャンスにもなります。耐震改修と断熱改修を組み合わせた「性能向上リフォーム」を行うと、不動産の市場評価が上がりやすくなるほか、住宅ローン控除などの優遇措置も受けやすくなります。


売却を検討している場合の実践的な判断基準として、以下の点を確認するのが有効です。


- 🔍 建物に検査済証があるか
- 🔍 現行の省エネ基準(断熱等性能等級4以上が目安)を満たしているか
- 🔍 耐震基準適合証明書を取得できる状態か(1981年以前の旧耐震基準物件は特に注意)
- 🔍 主要構造部に大規模修繕が必要な場合、確認申請の通過見込みがあるか


省エネ性能の調査・改善については、「住宅省エネルギー性能診断士」に依頼する方法があります。診断費用は数万円程度から対応してくれる業者も多く、売却前に取得価格を把握するための投資として有効です。


参考:不動産市場への影響を解説した専門記事
健美家「【2025年建築基準法改正】不動産投資家にとっての影響とその対策」


建築基準法改正2025後に金融・投資目線で取るべき具体的な行動

ここまでの内容をふまえて、金融・投資の観点から実際に何をすべきかを整理しておきましょう。行動は1つずつでOKです。


新規物件を購入・投資検討している場合


2025年以降に建てられた新築物件は、省エネ基準と構造審査を経ているという意味で「性能の透明性」が保証されています。一方でコストが上昇しているため、価格と利回りのバランスを従来以上に慎重に検討する必要があります。特に、建築確認審査が35日以内に延長された影響で竣工・引き渡しのスケジュールが読みにくくなっているため、資金計画にバッファを設けることが基本です。


既存物件を保有・運用している場合


保有物件の検査済証の有無と、現行法との適合状況を今すぐ確認することをおすすめします。確認は市区町村の窓口または一級建築士への相談で可能です。特に、再建築不可の可能性がある物件や旧耐震基準(1981年以前)の物件は、早期に専門家による適法性チェックを受けておくと安心です。


相続で不動産を取得した・取得予定の場合


相続不動産が再建築不可物件に該当するかどうかの確認が最優先です。再建築不可であれば、改正前の判断基準よりもリスクが高くなっています。相続放棄・売却・活用の3択を専門の不動産業者や税理士に相談しながら、遺産分割協議前に方針を決めておくことが損失回避につながります。


融資・住宅ローンを活用している場合


今後、金融機関の住宅ローン審査においても省エネ性能や耐震性能が物件評価に影響を与えるケースが増えると予想されます。省エネ基準適合住宅・ZEH水準住宅には、フラット35の金利優遇(フラット35S)など有利な条件が適用されるため、融資条件と物件性能のセットで検討することが有効です。


つまり2025年改正以降は、不動産の「価格」だけでなく「性能の根拠・書類の有無」が資産価値の大きな評価軸になるということです。


参考:省エネ住宅に関連する補助金・優遇措置の最新情報
国土交通省「住宅省エネキャンペーン等に関する情報」




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