景品表示法とは何か消費者を守る規制を簡単に解説

景品表示法とは何か消費者を守る規制を簡単に解説

景品表示法とは何か・消費者を守る規制を簡単に解説

根拠を出せなかっただけで、知らなかった違反でも数千万円の課徴金を取られます。


この記事の3ポイント
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景品表示法の基本

「不当な広告表示の禁止」と「過大な景品提供の禁止」という2本柱で構成。消費者が正しく商品・サービスを選べる環境を守る法律です。

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違反すると課徴金は売上の3%

「知らなかった」では通用せず、故意・過失を問わず適用。過去最高は中国電力への16億5,594万円。中小でも数千万円規模になり得ます。

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2023年からステマも規制対象

SNSのインフルエンサー投稿や口コミへの報酬提供が「ステルスマーケティング」として景品表示法の規制対象に。投資・金融系でも無関係ではありません。


景品表示法とは何か・正式名称と制定の背景

景品表示法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」です。1962年(昭和37年)に制定され、もともとは公正取引委員会が所管していましたが、2009年からは消費者庁が担当しています。


法律の名称が長いため、実務では「景表法(けいひょうほう)」と呼ばれることがほとんどです。読み方に迷う方も多いですが、「けいひんひょうじほう」または「けいひょうほう」どちらも使われます。


この法律が生まれた背景には、高度経済成長期に広告や販促活動が過熱し、根拠のない誇大表示や消費者を誤解させる景品提供が社会問題化したことがあります。消費者が商品・サービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ることが、制定の目的です。










項目 内容
正式名称 不当景品類及び不当表示防止法
略称 景品表示法・景表法
制定年 1962年(昭和37年)
所管省庁 消費者庁(2009年〜)
目的 消費者の自主的・合理的な商品選択の環境確保


金融に関心のある方にとっても、この法律は他人事ではありません。投資商品や金融サービスの広告表現・SNS発信が景表法の対象となるケースが増えており、把握しておくことが重要です。


消費者庁の公式ガイドラインが確認できる参考情報はこちらです。


景品表示法の条文・ガイドラインを一覧で確認できる消費者庁の公式ページです(法律の条文・告示・ガイドライン一覧)。


消費者庁|景品表示法のページ


景品表示法の内容を簡単に理解する・2つの禁止ルール

景品表示法には「禁止されていること」が大きく2つあります。つまり「不当な広告表示の禁止」と「過大な景品提供の禁止」です。


① 不当な表示の禁止とは、商品やサービスの品質・価格・取引条件について、消費者を誤解させるような表示をしてはいけないというルールです。具体的には次の3種類に分類されます。


- 優良誤認表示:品質・内容を実際よりも著しく優れているように見せる表示(例:「天然100%」と書いているのに実際は合成物が含まれている)
- 有利誤認表示:価格・取引条件を実際よりも有利に見せる表示(例:「期間限定セール」と毎月繰り返し同じキャンペーンを行う)
- 指定告示:上記2つに当たらないが、内閣総理大臣が不当と指定したもの(2023年10月からのステルスマーケティングなど)


② 景品類の制限および禁止とは、商品購入に付随して提供する景品(おまけ)の金額に上限を設けるルールです。景品が過大になると、消費者が景品目当てに判断を誤り、本来なら買わなかった商品を買ってしまうことがあるためです。


一般懸賞が原則です。くじや抽選で景品を渡す「一般懸賞」の場合、景品の最高額は取引価格が5,000円未満なら取引価格の20倍まで、5,000円以上なら10万円まで、と定められています。










景品の種類 最高額 総額上限
一般懸賞(取引価格5,000円未満) 取引価格の20倍 売上予定総額の2%
一般懸賞(取引価格5,000円以上) 10万円 売上予定総額の2%
共同懸賞 30万円 売上予定総額の3%
総付景品(1,000円未満) 200円 制限なし
総付景品(1,000円以上) 取引価格の20% 制限なし


これは使えそうです。景品企画を考えるとき、まずこの表で上限を確認するだけで、違反リスクの大半を防げます。


景品表示法の違反事例・優良誤認と有利誤認の具体的なケース

景品表示法の違反は、悪意があるケースだけでなく、担当者の知識不足や確認不足から生じることが多いのが実態です。以下に代表的な違反パターンを整理します。


優良誤認表示の違反例としては、商品パッケージに「虫よけ効果あり」と記載していたが消費者庁への根拠提出ができなかった大日本除蟲菊やアース製薬の事例があります(2015年)。また、ガチャの当選確率を「3%」と表示していたのに実際は「0.33%」だったオンラインゲーム運営会社の事例も有名です。数字の表記が実態と1桁異なるという、シンプルなずれが違反につながりました。


有利誤認表示の違反例としては、「30日間全額返金保証」と大きく謳いながら、実際は会則で「会社の承認が必要」という条件を設けていた事例や、法律事務所が毎月繰り返し行うキャンペーンを「期間限定」と表示し続けた事例(アディーレ法律事務所、2016年)が代表的です。


金融・投資サービスの分野でも同様の問題は起こります。「業界最低水準の手数料」「No.1の運用実績」などの広告表現は、比較方法や根拠資料の整備が不十分なままでは景表法違反になるリスクがあります。


厳しいところですね。意図していなくても、根拠が出せなかった時点で違反と判断されてしまいます。


なお、2020年に東京都が行った調査では、約24,000件のインターネット広告を監視し、329事業者に景表法の改善指導が行われています。ネット広告の監視は強化される一方です。


景品表示法の罰則・課徴金はどのくらいになるのか

景品表示法に違反した場合、「措置命令」「課徴金納付命令」「刑事罰」という3段階のペナルティがあります。


措置命令は、消費者庁が違反事業者に対して違反行為の停止・再発防止を命じる行政処分です。措置命令が出ると、内容がインターネット上で公表されるため、ブランドイメージへのダメージが非常に大きくなります。


課徴金は、違反行為に関係する売上額の3%が課されます。最長3年間の対象期間で計算されるため、人気商品の広告で違反があった場合、金額は一気に膨らみます。過去の事例では、中国電力が有利誤認表示により2024年に16億5,594万円の課徴金納付を命じられました(対象売上高551億円超)。これは課徴金制度が導入されて以来、過去最高額です。2023年には大幸薬品(クレベリン)が6億744万円の課徴金を命じられた事例もあります。


課徴金に上限はありません。売上規模が大きければ大きいほど、課徴金も膨らむ仕組みです。


刑事罰については、措置命令に従わなかった場合に2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されます。また、消費者庁への資料提出を拒否・虚偽申告した場合は1年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。









ペナルティの種類 内容
措置命令 違反行為の停止・再発防止の命令(公表あり)
課徴金 対象売上額の3%(最長3年間・上限なし)
刑事罰(措置命令違反) 2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
刑事罰(資料提出拒否等) 1年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金


課徴金が売上の3%というと小さく聞こえますが、月売上1億円の商品を3年間販売していれば、計算上10億円超の課徴金になり得ます。イメージしておくと怖さが伝わると思います。


景品表示法違反に関する課徴金制度の詳細は消費者庁が解説しています。


課徴金制度の仕組みや計算方法、適用要件を確認できます(課徴金制度の概要)。


消費者庁|課徴金制度について


景品表示法の2023年改正・ステマ規制と金融分野への影響

2023年10月1日、景品表示法のステルスマーケティング(ステマ)規制が施行されました。これは日本で初めてステマを法律で明確に禁止したものです。


ステマとは、事業者が報酬を支払ってインフルエンサーや一般ユーザーに広告投稿をさせながら、それが広告であることを隠す行為のことです。SNSでよく見る「個人の感想です」「友人のすすめで使いました」という投稿であっても、事業者が依頼・指示した内容であれば規制の対象となります。


つまりステマは違反になりません、という時代は終わりました。


金融・投資分野との関係で特に注意が必要なのは次の場面です。


- 📢 投資サービスや資産運用アプリについて、報酬を受け取ったインフルエンサーが「自分で使って良かった」と投稿するケース
- 📢 FX・仮想通貨・保険商品について、依頼を受けた口コミサイト運営者が「中立な立場」で推薦するケース
- 📢 不動産投資セミナーの「満足度No.1」表示が根拠のない比較に基づいているケース


違反した場合は措置命令の対象となり、ブランドへの打撃と課徴金リスクが発生します。これは使えそうです。自社のSNS運用・PR施策を見直す際の判断基準として活用できます。


消費者庁は「広告主が第三者に依頼して投稿させた内容は、その投稿に『PR』『広告』などの表記がなければ原則として違反」という立場を明確にしています。#PRや#広告の表記は最低限必要です。


ステマ規制の運用基準(PDF)は消費者庁の公式ページから確認できます。


ステマ規制の定義・適用範囲・PR表記の方法が詳しく解説されています(告示・運用基準)。


消費者庁|ステルスマーケティング規制について


景品表示法と金融商品広告・投資家が知っておくべき独自視点

金融に関心のある読者にとって、景品表示法は「事業者が守るべきルール」と思いがちです。しかし投資家・消費者の立場から見ても、この法律を知ることには大きなメリットがあります。


景品表示法を知ることで、詐欺まがい広告を見抜ける目が養われます。 「月利30%確実」「元本保証」「業界No.1の実績」といった金融広告の多くは、景表法の観点から見ると優良誤認・有利誤認の典型パターンです。根拠が証明できない数字や比較表現は違法リスクが高く、そのような広告を出しているサービスは法令遵守意識が低い可能性があります。


また、「不実証広告規制」という仕組みを知っておくと役立ちます。消費者庁から根拠資料の提出を求められた事業者が15日以内に合理的な根拠を示せなければ、広告の内容が事実であっても不当表示とみなされます。言い換えれば、投資家・消費者はサービス提供者に「その数字の根拠を出してください」と要求する権利があり、出せない場合は景表法違反の疑いがあると判断してよい、ということです。


結論は「根拠の開示を求めることが自衛策」です。


さらに、景品表示法違反の措置命令はすべて消費者庁のウェブサイトで公開されています。気になる金融サービスや投資商品の運営会社が過去に措置命令を受けていないか、名前で検索する習慣をつけると安心です。










金融広告でよく見る表現 景表法上の注意点
「月利〇%保証」 保証の根拠なし→有利誤認の疑い
「業界No.1の運用実績」 比較根拠が不明→優良誤認の疑い
「今だけの特別キャンペーン」 繰り返し実施なら有利誤認の疑い
「著名人が愛用」(報酬あり・PR表記なし) ステマ規制の違反対象
「元本保証」(金融商品) 金融商品取引法と併せて景表法違反になり得る


消費者庁の措置命令・課徴金命令の一覧はこちらから確認できます。


過去の違反事業者名と処分内容を検索・確認するために活用できます(措置命令等の公表一覧)。


消費者庁|景品表示法に関する措置命令等の公表