時効の援用を自分でする方法とコツ

時効の援用を自分でする方法とコツ

時効の援用を自分で行う手順

時効の援用を自分で行う3つのステップ
📅
時効期間の確認

借金の種類に応じた時効期間を確認し、経過しているか調べる

📝
時効援用通知書の作成

必要事項を記載した時効援用通知書を作成する

✉️
内容証明郵便の送付

作成した通知書を内容証明郵便で債権者に送付する

 

借金の時効援用を自分で行うには、まず時効期間が経過しているかを確認し、時効援用通知書を作成して、内容証明郵便で債権者に送付する必要があります。これらの手順を正しく踏むことで、専門家に依頼せずに時効の援用を行うことができます。

時効の援用に必要な時効期間の確認方法

時効の援用を行うには、まず借金の種類に応じた時効期間が経過しているかを確認する必要があります。一般的な借金の時効期間は以下の通りです:

  • 消費者金融やクレジットカードの借金:5年
  • 個人間の貸し借り:10年

 

時効期間の起算点は、最後に返済した日や督促を受けた日などから計算します。ただし、2020年4月1日以降に発生した債務については、債権者が権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年のいずれか早い方が時効期間となります。

 

時効期間を確認するには、以下の方法があります:

  1. 債権者からの最新の督促状を確認する
  2. 個人信用情報機関に信用情報の開示請求を行う
  3. 弁護士に依頼して確認する

 

特に個人信用情報機関への開示請求は、自分で行うことができる有効な方法です。CIC、JICC、KSCの3つの機関があり、それぞれに開示請求を行うことで、借金の詳細な情報を確認できます。

時効援用通知書の作成と記載すべき内容

時効期間が経過していることを確認したら、次は時効援用通知書を作成します。通知書には以下の内容を記載する必要があります:

  1. 通知書作成日
  2. 債権者の住所と名称(法人の場合は会社名)
  3. 債務者(自分)の住所と氏名
  4. 時効を援用する旨の意思表示
  5. 借金を特定できる情報(契約日、借入額、契約番号など)
  6. 個人信用情報機関に登録されている事故情報の削除依頼

 

時効援用通知書の書き方例:

令和〇年〇月〇日

 

〒〇〇〇-〇〇〇〇
東京都〇〇区〇〇 〇-〇-〇
〇〇株式会社 御中

 

〒〇〇〇-〇〇〇〇
〇〇県〇〇市〇〇町〇-〇-〇
債務者 〇〇 〇〇

 

時効援用通知書

 

私こと〇〇〇〇の貴社に対する以下の債務については、最終弁済日である平成〇年〇月〇日より既に5年以上経過しており、時効が成立していますので、本書をもって時効を援用いたします。

 

 

1. 契約日:平成〇年〇月〇日
2. 借入額:〇〇〇,〇〇〇円
3. 契約番号:〇〇〇〇〇〇〇〇

 

なお、本書面は債務の存在を承認するものではありませんので、お含みください。
また、貴社が保有する私の個人信用情報につきましては、すみやかに削除していただきますようお願いいたします。

 

以上

 

この例を参考に、自分の状況に合わせて内容を調整してください。

内容証明郵便の送付手順と注意点

時効援用通知書を作成したら、内容証明郵便で債権者に送付します。内容証明郵便は、郵便局が文書の内容を証明してくれる特殊な郵便サービスです。送付の手順は以下の通りです:

  1. 時効援用通知書を3通作成する(原本、債権者用、控え用)
  2. 最寄りの郵便局に行き、内容証明郵便の申込書を記入する
  3. 作成した3通の文書と申込書を窓口に提出する
  4. 郵便局員が内容を確認し、受理される
  5. 料金を支払い、控えを受け取る

 

内容証明郵便を送付する際の注意点:

  • 文書は必ず3通用意する(原本、相手方用、自分の控え用)
  • 文書はワープロソフトで作成するか、黒のボールペンで記入する
  • 文書の余白は上下左右それぞれ2cm以上空ける
  • 配達証明サービスを併用すると、相手方が受け取ったことを証明できる

 

内容証明郵便の料金は、文書の枚数や文字数によって異なりますが、基本的に1,500円程度です。配達証明サービスを利用する場合は、追加で数百円かかります。

 

内容証明郵便の詳細な手続き方法や料金について(日本郵便公式サイト)

時効の援用を自分で行うメリットとデメリット

時効の援用を自分で行うことには、以下のようなメリットとデメリットがあります:

 

メリット:

  1. 費用を抑えられる(弁護士費用が不要)
  2. 自分のペースで手続きを進められる
  3. 債務に関する理解が深まる

 

デメリット:

  1. 法的知識が必要で、手続きを間違える可能性がある
  2. 債権者とのやり取りに精神的負担がかかる
  3. 時効が成立していない場合、対応が難しくなる可能性がある

 

自分で行うか専門家に依頼するかは、借金の金額や複雑さ、自分の状況などを考慮して判断しましょう。

時効の援用と個人信用情報の関係性

時効の援用を行うと、個人信用情報にも影響があります。通常、借金の滞納情報は個人信用情報機関に登録され、一定期間(5年間)保存されます。この情報は、新たにローンを組む際やクレジットカードを作る際の審査に影響を与えます。

 

時効の援用が認められた場合、以下のような流れで個人信用情報が更新されます:

  1. 時効援用通知書に個人信用情報の削除依頼を記載する
  2. 債権者が個人信用情報機関に対して、該当する借金情報の削除を依頼する
  3. 個人信用情報機関が情報を削除する

 

ただし、時効の援用が認められても、すぐに個人信用情報が削除されるわけではありません。債権者の対応や個人信用情報機関の処理に時間がかかる場合があります。

 

また、時効の援用によって借金が消滅しても、過去の返済遅延の事実自体は消えません。そのため、新たな与信審査の際には、時効援用の事実が考慮される可能性があります。

 

全国銀行個人信用情報センターの情報開示請求について

 

個人信用情報の開示請求を行い、自分の信用情報を確認することで、時効援用後の情報更新状況を把握することができます。

 

以上が、借金の時効援用を自分で行う方法とそのポイントです。時効の援用は法的な手続きであり、誤った対応をすると時効の利益を失う可能性もあります。自信がない場合や複雑な事情がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、より確実に時効の援用を行うことができ、将来的なトラブルを防ぐことができます。