借金の時効が成立しているかどうかを調べるのは難しい場合があります。
借金の時効が成立しているかどうかは、以下の要素を総合的に判断して決定されます。
これらの要素を正確に把握する必要があります。
民法第147条によると、以下の事由があると時効が中断されます。
時効中断事由
裁判を起こされると、裁判所から訴状が送達されます。訴状には、債権者から債務者に対する請求内容が記載されています。
債務者は、訴状に答弁書を提出する必要があり、答弁書には、債務に対する認否を記載する必要があります。
時効が中断されると、それまでの時効期間はリセットされます。
なお、裁判を起こすためには相手の名前や住所を知る必要があります。
関連)裁判手続 民事事件Q&A | 裁判所
裁判は、訴状を裁判所に提出する必要があり、訴状には名前、住所が必須となっているためです。SNSなどでの誹謗中傷など、名前がわからない場合はまずSNSやインターネットプロバイダに開示請求を行い、名前と住所を知るところからはじめるんですね。
住民票の住所に住んでいない場合、訴状は受け取れません。そのため、裁判を起こされたかどうかわからないです。ただし、裁判所に開示請求して裁判が起こされたかどうかを確認することは可能。
その場合、債権者の名前と、裁判が起こされた裁判所を特定する必要があります。これは素人には難しいので、プロに依頼することになるでしょう。
自分に借金があることを認めることを、債務承認と言います。
時効の援用通知の際、書き方によっては債務承認とみなされるケースがあります。
関連)時効の援用の書き方
なお、実際に借金の時効が成立した後でも、債務承認をしてしまうと、時効援用券が喪失したという判定になるんですね。
これは、昭和41年の最高裁の判例によります。
支払いを約束するような発言をしてしまう
「支払いを待ってください」「少しずつ分割で払います」「元本だけでも払います」などの発言は、その場しのぎでも債務の承認とみなされ、時効援用ができなくなる可能性があります。
利息や元本の一部支払いを約束する
実際に支払わなくても、支払いを約束するだけで債務の承認になりえます。
債務があることを認める発言をする
「借金があります」など債務の存在を認める発言は、債務の承認とみなされます。
支払期限の延長を求める
支払期限の延長を求めることも、債務の承認に当たります。
時効完成後に、時効完成を知らずに債務を承認する
時効完成後でも、それを知らずに上記のような債務承認をしてしまうと、信義則上、時効を主張できなくなります。
以上のように、債権者からの電話で不用意に発言すると、意図せず債務を承認してしまい、せっかく完成した時効を援用できなくなるリスクがあります。
時効援用を検討している場合は、弁護士に相談し慎重に対応することが重要です。