
相続が発生すると、銀行口座は自動的に凍結されるわけではありません。しかし、銀行が口座名義人の死亡を知った時点で、口座は凍結されます。
口座凍結の目的は以下の通りです。
💡 重要ポイント:銀行に連絡せずに預金を引き出してしまうと、相続を単純承認したとみなされることがあります。相続放棄を検討している場合は、特に注意が必要です。
凍結解除のためには、まず銀行に相続発生の連絡を行い、必要書類を準備することから始まります。この際、以下の情報を準備しておくとスムーズです。
銀行口座の相続手続きに必要な書類は、遺言書の有無や相続の方法によって異なります。
🔸 遺言書がある場合の必要書類
🔸 遺産分割協議書がある場合の必要書類
🔸 遺産分割協議書・遺言書がない場合
共通して必要なもの。
💡 意外な事実:地方銀行やネット銀行では独自の手続きがあります。例えば、住信SBIネット銀行では郵送での手続きが基本となり、書類提出から名義変更完了まで約1ヶ月かかることもあります。
銀行口座の相続手続きは、以下の7つのステップで進行します。
Step 1: 相続発生の連絡
銀行に電話または窓口で相続発生を連絡します。この時点で口座は凍結されます。
Step 2: 相続手続き書類の受取
銀行から相続手続きに必要な書類一式を受け取ります。郵送または窓口での受取が可能です。
Step 3: 戸籍等の収集
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本を市区町村役場で取得します。
Step 4: 残高証明書の発行
預金口座の残高や取引履歴を確認するため、残高証明書を発行してもらいます。
Step 5: 遺産分割協議書の作成
相続人全員で遺産の分け方について話し合い、遺産分割協議書を作成します。
Step 6: 必要書類の準備・提出
すべての必要書類を揃えて銀行に提出します。
Step 7: 払戻し・名義変更手続き
書類に不備がなければ、払戻しまたは名義変更が実行されます。
⚠️ 重要な注意点:実際には「名義変更」ではなく、預金を払い戻して新しい口座に預け替えるのが一般的な流れです。親の口座は解約となり、子の口座に資金を移すことになります。
各銀行の特色。
銀行口座の名義変更時期によって、課税される税金の種類が大きく異なります。
🔸 生前に名義変更する場合(贈与税)
生前に親から子へ銀行口座の名義変更を行うと、贈与税が課税されます。
贈与税の基礎控除額。
贈与として認められる条件。
🔸 死後に名義変更する場合(相続税)
相続による名義変更では、相続税が課税されます。
相続税の基礎控除額。
税務上の注意点。
💰 どちらが有利?
一般的に、相続税の基礎控除額の方が大きいため、多額の預金がある場合は相続での名義変更の方が税務上有利になることが多いです。
銀行口座の名義変更手続きでは、知らずに陥りやすいトラブルがいくつかあります。事前に対策を講じることで、スムーズな手続きが可能になります。
❌ よくある失敗例と対策
失敗例1:書類不備による手続き遅延
対策:事前に銀行に電話で必要書類を確認し、チェックリストを作成する
失敗例2:相続人の合意が得られない
対策:早期に家族会議を開き、遺産分割の方針を話し合う
失敗例3:定期預金の取り扱いを見落とす
対策:定期預金は利率が高い場合、名義変更の方が有利な場合があることを確認
失敗例4:複数の銀行口座の存在を見落とす
対策:通帳やキャッシュカードから、他支店の口座も調査する
🛡️ 独自の対策ポイント
対策1:相続時取引停止口座制度の確認
故人が生前に設定していた場合、死亡と同時に完全凍結されるため、葬儀費用の準備に影響することがあります。
対策2:相続手続き代行サービスの活用
三井住友銀行などでは「相続お手続きサポート」という有料サービスを提供しており、複雑な手続きを専門スタッフが代行してくれます。
対策3:法定相続情報一覧図の活用
法務局で取得できる「法定相続情報一覧図」があれば、複数の銀行で戸籍謄本の束を提出する必要がなくなり、手続きが効率化されます。
対策4:銀行ごとの特殊事情への対応
⏰ 手続き期間の目安
この期間を見込んで、余裕を持った計画を立てることが重要です。また、相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)も考慮に入れて手続きを進める必要があります。
銀行での相続詳細ガイド(全国銀行協会)
https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-f/7705/
相続手続きは複雑に感じられがちですが、正しい知識と準備があれば、自分でも十分に対応可能です。不明な点があれば、遠慮なく銀行の窓口に相談し、専門家のアドバイスも活用しながら、確実に手続きを進めていくことが大切です。