調整所得金額の適用判定について徹底解説

調整所得金額の適用判定について徹底解説

調整所得金額の適用判定について

調整所得金額の適用判定のポイント
💰
年収850万円超の給与所得者

特別障害者や23歳未満の扶養親族がいる場合に適用される制度

📊
給与と年金の双方所得者

給与所得控除後の金額と年金雑所得の合計が10万円超で適用

⚖️
自動判定システム

確定申告作成コーナーで入力内容に基づき適用可否を自動判定

調整所得金額の基本概念と制度設計

調整所得金額に関する適用判定は、2020年に新設された所得金額調整控除制度の核心部分です。この制度は、給与所得控除の見直しに伴い、子育て世帯や介護世帯の税負担を軽減する目的で導入されました。
制度の基本構造は2つのケースに分かれています。

  • ケース1: 年収850万円を超える給与所得者で、特定の家族構成要件を満たす場合
  • ケース2: 給与所得と年金所得の両方がある者で、一定の所得要件を満たす場合

💡 重要なポイント: この制度は給与所得者のみが対象であり、個人事業主やフリーランスは適用されません。

調整所得金額の適用要件と判定基準

年収850万円超のケースにおける適用要件
適用判定の第一要件は、その年の給与等の収入金額が850万円を超えることです。さらに、以下のいずれかの要件を満たす必要があります:

  • 本人が特別障害者に該当する場合
  • 23歳未満の扶養親族を有する場合
  • 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する場合

複数勤務先での判定方法
2か所以上から給与等の支払いを受けている場合は、すべての給与等を合計した金額により判定します。これは従来の扶養控除とは異なる特徴的な仕組みです。
給与と年金の双方所得者の場合
給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円を超える場合に適用されます。この判定は年齢制限がなく、幅広い層が対象となります。

調整所得金額の計算方法と控除額算定

年収850万円超ケースの計算式
控除額の計算は以下の式で行います:
所得金額調整控除額 = (給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円)- 850万円)× 10%
具体例。

  • 年収900万円の場合:(900万円 - 850万円)× 10% = 5万円
  • 年収1,200万円の場合:(1,000万円 - 850万円)× 10% = 15万円(上限)

給与・年金双方所得ケースの計算式
控除額 = (給与所得控除後の給与金額(上限10万円)+ 公的年金等雑所得金額(上限10万円))- 10万円
この場合の控除上限額は10万円となります。
📊 計算例: 給与所得控除後の金額が202万円、年金雑所得が40万円の場合でも、上限適用により「10万円 + 10万円 - 10万円 = 10万円」の控除となります。

調整所得金額の確定申告における適用手続き

確定申告書での記載方法
確定申告書第一表の「収入金額等」の「給与」欄「区分」に、適用要件に応じた番号を記入します:

  • 区分「1」:年収850万円超で特別障害者・23歳未満扶養親族要件該当
  • 区分「2」:給与・年金双方所得で合計10万円以上
  • 区分「3」:上記両方に該当

自動判定システムの活用
国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、入力内容に基づいて所得金額調整控除の適用可否判定を自動で行っています。これにより、申告者の手続き負担が大幅に軽減されています。
年末調整での対応
年末調整においても所得金額調整控除は適用可能です。ただし、「所得金額調整控除申告書」の提出が必要となる場合があります。

調整所得金額適用における特殊ケースと注意点

夫婦共働き世帯の特例処理
従来の扶養控除と異なり、所得金額調整控除は夫婦それぞれが年収850万円を超えていれば、両方とも控除を受けることができます。これは子育て世帯への手厚い支援策として設計された特徴です。
他の所得者が控除を受ける扶養親族の扱い
他の者の扶養に入っている扶養親族等がいる場合の特殊な適用ルールが存在します。所得金額が48万円を超えている者については、要件該当者とはなりません。
⚠️ 重要な注意点: 複数の要件に該当する場合、ケース1を適用後の給与所得金額からケース2の控除を行います。
システム上の判定エラー対策
給与計算ソフトや税務ソフトでは、以下の条件が揃った場合に自動計算されます:

  • 年末調整タブの給与収入が850万円超
  • 扶養控除等タブに要件該当者の登録がある

これらの条件を満たしていても「適用要件を満たしていません」というエラーが表示される場合は、入力内容の再確認が必要です。
この制度は税制改正の一環として導入されたものであり、今後の税制動向によっては要件や計算方法の変更も予想されます。最新の情報は国税庁のウェブサイトで確認することをお勧めします。