

運動時痛と動作時痛を「同じもの」として評価していると、見逃す組織損傷が実は8割以上になる可能性があります。
医療現場では「運動時痛」と「動作時痛」が混用されることが少なくありません。しかし厳密には、これらは異なる文脈で使われる場合があります。
「運動時痛(うんどうじつう)」は、主にスポーツや身体運動など、比較的大きな活動量を伴う動作中に生じる痛みを指すことが多いです。 一方「動作時痛(どうさじつう)」は日常的な体の動かし方全般—例えば立ち上がり、階段昇降、寝返りといった生活動作中に生じる痛みを広く含みます。 higashiohsawa(https://www.higashiohsawa.jp/archives/6559)
つまり、動作時痛のほうが上位概念です。
運動時痛はその中でも「ある程度の運動強度が伴う場面」に限定した表現として使われる傾向があります。臨床では「運動中の膝痛」と表現するか「階段動作での膝痛」と表現するかで、患者の生活場面の具体性が大きく変わります。 どちらの言葉を使うかで、評価の焦点が変わるということですね。 higashiohsawa(https://www.higashiohsawa.jp/archives/6559)
日本ペインクリニック学会のガイドラインでも、疼痛評価においては痛みの出現タイミング(安静時・動作時・夜間)を明確に区別することが推奨されています。 この区別があいまいなまま記録・申し送りされると、次の担当者が治療方針を誤るリスクが生じます。 jspc.gr(https://www.jspc.gr.jp/igakusei/igakusei_hyouka.html)
参考:日本ペインクリニック学会「痛みの診断と評価」では痛みの出現タイミングによる詳細な分類方法が解説されています。
https://www.jspc.gr.jp/igakusei/igakusei_hyouka.html
医療従事者が運動時痛を評価する際、「自動運動時痛か他動運動時痛か」を区別することが原因組織の特定において非常に重要です。 sakura491(https://sakura491.com/2025/07/08/%E3%81%9D%E3%81%AE%E7%97%9B%E3%81%BF%E3%80%81%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%A7%E5%8B%95%E3%81%8B%E3%81%99%E3%81%A8%E7%97%9B%E3%81%84%EF%BC%9F%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%A8%E3%82%82%E8%AA%B0%E3%81%8B%E3%81%AB/)
自動運動時痛とは、患者自身が筋収縮を使って動かしたときにだけ出る痛みです。この場合、主に筋・腱・滑液包などの収縮組織の問題が疑われます。 他動運動時痛は、術者が患者の力を完全に抜いた状態で他動的に動かしたときに出る痛みです。この場合は関節包・靭帯・骨膜など、収縮とは無関係な組織の問題が示唆されます。 pt-sonobe(https://pt-sonobe.com/archives/4981)
これが評価の基本です。
例えば肩関節の評価場面を考えてみましょう。患者が「腕を自分で上げると痛い」と訴えているとき、他動的に同じ可動域を動かしても痛みが出ないなら、回旋筋腱板などの収縮組織が問題である可能性が高いです。 逆に他動でも同じ位置で痛みが出るなら、関節包や骨性インピンジメントを疑う根拠になります。 pt-sonobe(https://pt-sonobe.com/archives/4981)
意外ですね。
この判別なしに「肩の動作時痛あり」とだけ記録しても、次のセラピストには情報として不十分です。 自動・他動の区別をカルテや申し送りに明記する習慣が、チーム医療の質を大きく左右します。 pt-sonobe(https://pt-sonobe.com/archives/4981)
参考:理学療法士・園部俊晴のブログでは、自動・他動運動での痛みの解釈と整形外科テストの組み合わせ方を詳しく解説しています。
https://pt-sonobe.com/archives/4981
動作時痛の評価で忘れてはならないのが、「安静時痛」や「夜間痛」との組み合わせで炎症の程度を読むことです。 beauty.hotpepper(https://beauty.hotpepper.jp/kr/slnH000692468/blog/bidA082309182.html)
動作時痛のみで安静時痛がない場合は、急性炎症期を過ぎた状態、または機械的なストレスによる局所的な問題が主であることが多いです。 一方、動作時痛に加えて安静時痛・夜間痛が併存しているときは、活動性炎症が進行中であるサインです。この状態での過負荷なリハビリは組織損傷を悪化させるリスクがあります。 beauty.hotpepper(https://beauty.hotpepper.jp/kr/slnH000692468/blog/bidA082309182.html)
これは大切な判断基準です。
表で整理すると、以下のようになります。
| 痛みのタイプ | 炎症の状態 | リハビリの方針 |
|---|---|---|
| 動作時痛のみ | 炎症期後半〜回復期 | 痛みの出ない範囲で積極的に動かす |
| 動作時痛+安静時痛 | 急性炎症期 | 安静・物理療法中心、過負荷を避ける |
| 動作時痛+夜間痛 | 悪性腫瘍・感染を含む鑑別が必要 | 画像検査・専門科への紹介を検討 |
夜間痛が持続する場合は、単純な筋骨格系疾患ではなく、骨肉腫や脊椎転移などの重篤な疾患が隠れている可能性があるため、レッドフラッグとして扱います。 この点は医療従事者として絶対に見逃せない視点です。 lts-seminar(https://lts-seminar.jp/2025/01/28/akabane-27/)
参考:LTS Seminarの記事では、腰痛評価におけるレッドフラッグの見分け方と動作評価の連携について詳述しています。
https://lts-seminar.jp/2025/01/28/akabane-27/
「運動すると痛みが和らぐ」というケースに出会ったことはあるでしょうか。これは「Exercise-Induced Hypoalgesia(EIH:運動誘発性疼痛抑制)」と呼ばれる神経生理学的現象で、軽い運動によって内因性オピオイドやセロトニンが放出されて痛覚が抑制されます。 mikuni-seikei(https://mikuni-seikei.com/blog/%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%A7%E7%97%9B%E3%81%BF%E3%81%8C%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%EF%BC%81%EF%BC%9F%E3%83%A1%E3%82%AB%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%82%92%E8%A7%A3%E8%AA%AC/)
EIHは実在します。
EIHが起こると、運動後に患者が「今日は調子が良かった」と報告しても、実際には関節や組織へのストレスが軽減されたわけではない場合があります。 これを評価者が「改善した」と誤解してしまうと、負荷量を急激に増やして再損傷を招くリスクがあります。 nakao-pain(https://nakao-pain.com/blog/%E7%97%9B%E3%81%84%E3%81%91%E3%81%A9%E5%8B%95%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%A6%E3%82%82%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%AE%EF%BC%9F%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%A7%E7%97%9B%E3%81%BF%E3%81%8C%E3%82%84%E3%82%8F%E3%82%89/)
厳しいところですね。
一方、慢性疼痛では「中枢性感作」によって、本来は無害な動作でも脳が「痛み」として処理してしまうことがあります。この場合の動作時痛は、末梢組織の損傷とは必ずしも比例しません。 痛みの強さだけで組織ダメージの程度を判断することは危険です。 aichi-npopt(http://aichi-npopt.jp/dl/ppr_18_03_koeda.pdf)
医療従事者がこの3つを区別できていると、患者への説明の質と治療計画の精度が根本から変わります。 EIHと中枢性感作の理解は、運動時痛・動作時痛の評価において欠かせない知識です。 aichi-npopt(http://aichi-npopt.jp/dl/ppr_18_03_koeda.pdf)
参考:愛知県理学療法士会の論文「痛みのメカニズムと理学療法」では、DOMSや中枢性感作を含む疼痛分類が詳述されています。
http://aichi-npopt.jp/dl/ppr_18_03_koeda.pdf
一般的な評価では「どの動きで痛みが出るか」を探します。しかし実は「どの動きなら痛みが出ないか」から始めるアプローチが、患者の活動維持と廃用予防において効果的な場面があります。 higashiohsawa(https://www.higashiohsawa.jp/archives/6559)
これは逆転の発想です。
これは使えそうです。
この「痛みの出ない動き」を積極的に処方するためには、動作分析が必要です。どの関節角度・荷重量・速度で痛みが出るかを丁寧に確認し、閾値以下の動作を日常生活に組み込む指導が求められます。 具体的には東大沢整形外科など一部の施設で、理学療法士が動作を細かく観察しながら「その人に合った運動」を処方するアプローチが実践されています。 higashiohsawa(https://www.higashiohsawa.jp/archives/6559)
運動時痛・動作時痛の違いを正確に理解した上で、「痛まない動き」を処方できる医療従事者は患者から信頼されます。 この逆引きアプローチは、単なる痛みの管理を超えて、患者の生活の質(QOL)を守る実践的な視点です。 seitai-yamate(https://www.seitai-yamate.net/post-8730/)
参考:東大沢整形外科内科リハビリテーションのコラムでは、動作時痛の実際の臨床対応と「痛みの出ない動き」を活かしたリハビリ指導の考え方が紹介されています。
https://www.higashiohsawa.jp/archives/6559