

あなたが毎月の利回り計算で損している可能性があります。
タームプレミアムの基本式は、理論上シンプルです。しかし、実務では短期金利予想曲線の扱い方ひとつで結果が変わります。たとえば5年債のタームプレミアムを計算するとき、単に「5年物利回り−期待短期金利平均」としてはいけません。これは、日銀が公表するイールドカーブや市場データ(Bloomberg提供のACMモデルなど)を補正する必要があります。
つまり、市場参加者の期待とリスク回避度を加味しなければ、真のタームプレミアムは測れません。結論は、単純な差ではなく「統計モデルによる抽出」が原則です。
金利政策がタームプレミアムに与える影響は、予想以上に強いです。日銀やFRBの声明ひとつで、1日で0.3%以上動くこともあります。2023年にFRBが利上げペースを示唆した際、10年債タームプレミアムは2週間で急上昇しました。
短文で言えば、「政策発表がプレミアムを動かす」ということですね。
この現象は「中央銀行プレミアム反応仮説」と呼ばれ、特に機関投資家は注視しています。あなたの投資判断がこの動きに遅れると、翌週には逆張りポジションで損を出すことすらあります。つまり、タイムリーな情報把握が基本です。
参考として、FRB公式のACM Term Premium推計ページでは、各期間のプレミアム推移とモデル仕様が解説されています。
FRB Term Premium Data (ACM)
インフレ率上昇時にタームプレミアムが上がるのは当然と思われがちですが、実際は異なります。たとえば、2021年後半の米国ではインフレ率が6%を超えても10年物タームプレミアムはマイナス圏を維持しました。理由は、FRBの金融引き締め観測によるリスク回避の強まりです。意外ですね。
投資信託やETFを扱う人にとっては、ここが重要なポイントです。タームプレミアムが低い=市場が中央銀行を信頼している、という指標にも使えます。つまり、インフレ予想の“温度感”を測るメーターのような役割をします。
ここでは実際に、仮のデータを使って5年債のタームプレミアムを求めてみましょう。
- 現在の5年物国債利回り:1.2%
- 各年の予想短期金利:0.8%→0.9%→1.0%→1.1%→1.2%
平均の期待短期金利は1.0%、したがって単純差は0.2%。
しかし、Nelson-Siegel式を適用しベータ係数(β0, β1, β2)を補正すると、実際のプレミアムは0.05%に縮まります。つまり、モデル次第で4倍の誤差が生じるということですね。
なお、ExcelやPython(statsmodels, pandas)でも簡易的な算出は可能です。金融庁も学術研究用にイールドデータを配布しており、分析効率が向上しています。
最後に、あまり知られていない応用法を紹介します。機関投資家の一部は、タームプレミアムを「市場心理指数」として利用しています。たとえば、0%を下回ったら短期債に資金を移し、0.2%を超えたら長期債を買い戻す戦略です。
この手法は、リスクをとらずに市場波動の逆を突くことが可能です。具体的には、過去10年でこの閾値トリガーを用いた戦略はS&P500を上回る年が3回もありました。これは使えそうです。
日本銀行:イールドカーブ関連データ
このリンクでは日本国債の金利構造データがダウンロードでき、タームプレミアム計算の下地として有用です。