椎間関節ブロック算定の基本と注意点を整理

椎間関節ブロック算定の基本と注意点を整理

椎間関節ブロックの算定と正しい請求方法

エコーを使って丁寧に施行しても、超音波ガイド下加算は1円も取れません。


📋 この記事の3ポイント要約
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区分はL100「後枝内側枝神経ブロック」90点

椎間関節ブロックは診療報酬上、L100の「頸・胸・腰椎後枝内側枝神経ブロック」として算定します。独立した「椎間関節ブロック」コードは存在しません。

⚠️
複数箇所施行しても算定は「主たるもの1つ」のみ

同日に2種類以上の神経ブロックを行っても、主たるもののみ算定が原則。複数レセプト請求は査定・返戻の対象になります。

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超音波エコー使用でも超音波加算は算定不可

神経ブロック施行時に超音波エコーを使用しても、超音波検査料はブロック注射料に含まれるため別途算定できません。


椎間関節ブロックの診療報酬上の位置づけと算定コード

椎間関節ブロックは、脊椎の椎間関節(後関節)を支配する後枝内側枝に局所麻酔剤を注入して疼痛を遮断する手技です。診療報酬点数表では「椎間関節ブロック」という独立した区分は存在せず、L100 神経ブロック(局所麻酔剤又はボツリヌス毒素使用)の中の「頸・胸・腰椎後枝内側枝神経ブロック」として算定します。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/2-15.pdf)


算定点数は 90点(900円) です。 これは神経根ブロック(260点)や硬膜外ブロック(400点前後)と比較してかなり低く設定されており、臨床上の手技難度に対して点数が見合わないと感じる医師も少なくありません。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001va4h-att/2r9852000001vajk.pdf)


つまり区分コードの把握が基本です。




椎間関節ブロック算定で見落としやすい「主たるもの」ルール

最もトラブルになりやすいのが、同日に複数の神経ブロックを行った場合の算定ルールです。 clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_11_2%2Fl100.html)


診療報酬の通知(L100の算定要件)では、「同一名称の神経ブロックを複数か所に行った場合は、主たるもののみ算定する。また、2種類以上の神経ブロックを行った場合においても、主たるもののみ算定する」と明確に定められています。 たとえばL4/5とL5/S1の2か所に後枝内側枝ブロックを施行した場合でも、実施料(90点)は1回のみです。 clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_11_2%2Fl100.html)


これは多くのスタッフが「2か所施行→2回算定」と誤解するポイントです。


また「2種類以上のブロック」ルールも要注意です。同日に後枝内側枝ブロックと硬膜外ブロックを施行した場合、点数の高い(主たる)硬膜外ブロックのみを算定することになります。 後枝内側枝ブロックの実施料は算定できませんが、使用した薬剤料は別途算定可能です。薬剤を正確に確認です。 clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_11_2%2Fl100.html)




椎間関節ブロックと超音波ガイド下加算・造影剤の算定可否

これは盲点になりやすいルールですね。


超音波装置の維持コストを考えると、この点は現場として痛いところです。一方、造影剤を用いて透視下で施行した場合には、神経根ブロック(L100の「1」、260点)においては造影剤の算定が別途認められるケースがあります。 後枝内側枝ブロックの場合でも、造影確認を行ったことをレセプトコメントに記載することで審査対応上の補強になります。 ssk.or(https://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/sinsa_jirei/kikin_shinsa_atukai/shinsa_atukai_i/index.files/atukai_jirei_all_ichiran.xlsx)


参考:支払基金における神経根ブロックの造影剤算定に関する取扱い事例


社会保険診療報酬支払基金|審査の一般的な取扱い(神経ブロック関連)




トリガーポイント注射との同日算定と注意点

整形外科やペインクリニック外来でよく起きる算定ミスが、椎間関節ブロックとトリガーポイント注射の同日算定です。


これを知らずに両方の実施料を算定していると、審査で査定されるだけでなく、過誤返還の対象になるリスクがあります。日常的に両手技を施行している施設では、電子カルテや医事システムのマスタに「同日算定不可」のアラートを設定しておくことが現実的な対策です。電子カルテのオーダー設定を今すぐ確認してみてください。


参考:神経ブロックとトリガーポイント注射の算定ルールについて詳しく解説されています




椎間関節ブロックのレセプト記載と審査対策(独自視点)

点数や算定可否だけでなく、レセプト審査を通過するための「記載の充実度」が、実務上ますます重要になっています。これは教科書にあまり載っていない現場目線の視点です。


これがレセプト査定リスクを高める原因です。


また、月1回を超えて繰り返し施行する場合は、病名・症状の推移・他治療との組み合わせ状況をカルテにしっかり記録しておくことが必須です。算定の適正性を示す根拠はカルテと一体で評価されます。カルテ記載が算定の盾になります。


参考:保険診療における神経ブロックの算定・記載の考え方が詳しく解説されています




椎間関節ブロックの神経破壊剤・高周波凝固法使用時の算定(L101)

局所麻酔剤によるL100での算定とは別に、神経破壊剤または高周波凝固法・パルス高周波法を使用した場合は、L101 神経ブロック(神経破壊剤、高周波凝固法又はパルス高周波法使用)として算定します。 tokyo.med.or(https://www.tokyo.med.or.jp/doctor/practicing_docs/practitioner/03-02)


L101における「頸・胸・腰椎後枝内側枝神経ブロック」の点数は 340点 です。 L100の90点と比較すると約3.8倍になります。高周波熱凝固術(RF)による後枝内側枝ブロックは、慢性腰痛・頸部痛に対する長期的な疼痛管理として有効性が示されており、臨床上選択される場面も増えています。 tokyo.med.or(https://www.tokyo.med.or.jp/doctor/practicing_docs/practitioner/03-02)


点数の差は大きいですね。


さらに重要なのが、同一神経に対してL100(局所麻酔剤)による有効性確認後に、L101(神経破壊剤・高周波凝固法)を同一月に施行した場合のみ、両者を同月算定できるという特例ルールです。 通常は同一月に2種類の神経ブロックを算定することはできませんが、この段階的施行に限っては例外として認められています。診断的ブロック→治療的ブロックという流れが条件です。 clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_11_2%2Fl100.html)


この例外ルールは知らないと損します。実際に「局所麻酔で効果確認→同月にRFを施行」というプロトコルを運用している施設では、この規定を把握した上で適正に算定することで、正当な報酬を確保できます。運用プロトコルと算定ルールをセットで確認しておきましょう。


参考:L100・L101の算定要件と点数表の詳細は以下で確認できます


clinicalsup.jp|L100 神経ブロック(局所麻酔剤又はボツリヌス毒素使用)算定要件