死亡診断書24時間ルール作成要件解説

死亡診断書24時間ルール作成要件解説

死亡診断書24時間ルールの正確な理解

死亡診断書24時間ルールの基本概要
⚖️
医師法第20条の規定

最終診察から24時間以内なら死後診察なしで作成可能

📋
作成要件と条件

診療継続中の疾患による死亡であることが前提

🔍
検案書との使い分け

生前診療の有無と死因の関連性が判断基準

死亡診断書24時間ルールの法的根拠

医師法第20条ただし書きでは、「診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない」と規定されています。この条文は、医師が自ら診察をしないで診断書を交付することを原則禁止した医師法第20条本文の例外を定めたものです。
参考)医の倫理の基礎知識 2018年版【医師と社会】G−4.死亡診…

 

🏥 実際の運用における重要なポイント
・最終診察から24時間以内であれば、死後の診察なしで死亡診断書を交付可能
・但し、診療中の疾患が原因での死亡であることが前提条件
・医師が死亡に立ち会えなくても、看護師等からの報告でも可能
参考)https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg4/kenko/151126/item2-1.pdf

 

平成24年8月31日の厚生労働省通知では、「診療中の患者が診察後24時間以内に当該診療に関連した傷病で死亡した場合には、改めて診察をすることなく死亡診断書を交付し得る」と明確化されています。
参考)https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=24337

 

死亡診断書作成要件の詳細規定

死亡診断書の作成要件は、医師法第20条の規定により厳格に定められています。診療継続中の患者が死亡した場合、担当医師は死亡後改めて診察を行い、生前に診療していた傷病に関連する死亡であると判定できれば死亡診断書を交付できます。
参考)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000156006.pdf

 

📊 作成が可能な具体的ケース
・末期がん患者の自宅療養中の死亡で、訪問診療医が翌朝診察して確認
・入院中の患者が夜間に死亡し、翌朝担当医が診察
・最終診察から24時間以内で、診療疾患による予想された死亡
重要な点として、最終診察から24時間以上経過していても、死亡後改めて診察を行い、生前の診療疾患に関連する死亡と判定できれば死亡診断書の交付は可能です。「24時間を過ぎたら検案書しか発行できない」という解釈は明確な誤りとされています。

死亡診断書と検案書の使い分け基準

死亡診断書と死体検案書の使い分けは、生前の診療関係の有無が最も重要な判断基準となります。死亡診断書は「医師が自ら診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡した場合」に作成し、それ以外は死体検案書を記載します。
参考)https://www.matsuyama.jrc.or.jp/media/careers/PDF/resident/e/conference/2021/canfr305.pdf

 

⚔️ 具体的な使い分け事例
・病院での治療中死亡:担当医が死亡診断書を作成
・自宅での突然死:医師が初回診察となるため検案書を作成
・診療中患者の事故死:診療疾患と無関係のため検案書を作成
参考)死体検案書とは?死亡診断書との違いや発行までの流れについて詳…

 

新規患者の場合でも、初診から24時間以内の死亡であっても、画像などの検査所見やその他の診療情報から内因性の死因が確定できる例については死亡診断書の発行が可能です。この規定により、救急外来で受け入れた患者についても適切な対応が可能となっています。
参考)https://www.tokyo.med.or.jp/docs/handbook/130-141.pdf

 

死亡診断書24時間ルールの一般的な誤解と実態

24時間ルールについて最も多い誤解は、「最終診察から24時間を過ぎると死亡診断書が発行できない」というものです。実際には、24時間ルールは「死後診察なしで発行できる期限」を示すものであり、24時間経過後でも死後診察を行えば死亡診断書の発行は可能です。
参考)いわゆる24時間ルールの誤解

 

🔍 よくある誤解の例
・自宅死亡では必ず警察届出が必要:診療疾患による死亡なら不要
・24時間経過で自動的に検案書:死後診察により診断書発行可能
・初診患者は必ず検案書:内因性死因確定なら診断書発行可能
参考)初診で死亡を確認、死亡診断書を書くための条件を明記−厚労省「…

 

令和6年度の死亡診断書記入マニュアルでは、初診患者であっても「画像等の検査により内因性の死因が判明した場合」「診療録に十分な記載がある場合」「医師が診療を行っていた疾患による死亡と判断できる場合」の3条件を満たせば死亡診断書の交付が可能と明記されています。

死亡診断書24時間ルール運用における異状死体届出義務

医師法第21条では、「医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」と規定されています。この「異状」とは単なる病理学的異状ではなく、法医学的異状を指します。
参考)医師法21条に基づく異状死体の届出|医療法務相談|弁護士法人…

 

⚠️ 異状死体として届出が必要なケース
・診療中の疾患と関係ない原因による死亡の疑い
・外傷や中毒など外因による死亡またはその疑い
・診療経過から予想されない突然の死亡
金融業従事者にとって重要なのは、保険金請求の際に警察届出の有無を確認する必要があることです。異状死体として届出された場合、検視や解剖が行われる可能性があり、死因確定まで時間を要する場合があります。届出義務違反の場合、医師に50万円以下の罰金が科されるため、適切な届出がなされているかの確認が保険実務上重要となります。
参考)医療法務の知恵袋(21)【異状死体の届出が必要な場合】