

画像で脊髄圧迫が確認されていても、症状がまったく出ていない患者が約4割存在します。
頚椎症性脊髄症の初期症状として最も多いのは、手のしびれや上肢の異常感覚です。 発症初期は後頭部・後頚部の痛みで始まることも多く、その後に手足のしびれや麻痺へと移行します。 早期に気づけるかどうかが、その後の経過を大きく左右します。 tdc.ac(https://www.tdc.ac.jp/igh/tabid/892/Default.aspx)
症状は大きく「初期・中期・後期」の3段階で進行します。 tdc.ac(https://www.tdc.ac.jp/igh/tabid/892/Default.aspx)
高齢患者は「足がもつれる」「階段が怖い」といった訴えが最初の受診動機になることが多いです。 若年者では、かけ足やケンケンがしにくいという比較的軽度な症状で気づけますが、高齢者ではその気づきが遅れやすい傾向があります。 これが原則です。 joa.or(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_spondylotic_myelopathy.html)
特に見落としやすいのが「深部感覚障害」です。 「地面に足がついている感覚がわかりにくい」という訴えは患者自身が表現しにくく、問診で掘り起こさないと判明しないことも少なくありません。バランス障害やふらつきの背景に深部感覚障害が潜んでいるケースがあるということですね。 haneda-spine-joint(https://www.haneda-spine-joint.clinic/medical-content/spinal/cervical-spondylotic-myelopathy/)
巧緻運動障害は脊髄症の中期に特徴的な症状です。 箸・ボタン・字を書く行為のしにくさとして現れ、一見すると「老化のせい」と患者自身が片付けてしまうことがあります。これは意外ですね。 tdc.ac(https://www.tdc.ac.jp/igh/tabid/892/Default.aspx)
医療従事者が評価に使えるスクリーニングとして、以下のような方法があります。
これらのスクリーニングは外来でも実施可能で、神経所見と組み合わせて評価することが重要です。 「手先が不器用になった」という曖昧な主訴を聞いたとき、脊髄症を鑑別に上げる視点が欠かせません。脊髄症が疑われる場合は、反射亢進や病的反射(ホフマン反射、バビンスキー反射など)の確認も並行して行います。 superdoctor.or(https://superdoctor.or.jp/spinal/main/symptoms/)
こうした細かい動作変化を拾い上げられるかどうかが、診断の精度を左右します。医療従事者として、患者の「なんとなく不自由」という訴えを深掘りする習慣が求められます。
脊髄症が中期以降に進行すると、下肢にも症状が現れます。 足が「突っ張る」「もつれる」感覚は痙性歩行の典型例で、錐体路障害が背景にあります。これが基本です。 tokyo-spine(https://tokyo-spine.jp/spinal-diseases/cervical-spondylotic-myelopathy/)
痙性歩行の特徴として、以下が挙げられます。
下肢症状の評価では、歩行観察に加えて深部腱反射の亢進(膝蓋腱反射・アキレス腱反射)、クローヌスの有無も確認します。 また、ロンベルグ徴候が陽性になる場合、深部感覚障害の関与が疑われます。 joa.or(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_spondylotic_myelopathy.html)
下肢の感覚障害も複合的です。「しびれ」だけでなく、「足裏に何かが貼りついている感じ」「砂の上を歩いている感覚」といった表現が患者から得られることがあります。つまり、しびれ以外の感覚異常の訴えにも耳を傾けることが条件です。 haneda-spine-joint(https://www.haneda-spine-joint.clinic/medical-content/spinal/cervical-spondylotic-myelopathy/)
| 症状 | 部位 | 特徴 |
|---|---|---|
| 痙性歩行 | 両下肢 | 足が突っ張る、すり足様歩行 |
| 深部感覚障害 | 足底・足趾 | 接地感の消失、暗所でバランス低下 |
| 下肢しびれ | 両下肢・体幹 | 帯状・靴下型に分布することも |
| 下肢腱反射亢進 | 膝・足首 | クローヌス陽性の場合もある |
排尿障害は脊髄症の進行を示す重要なサインであるにもかかわらず、見落とされやすい症状の一つです。 患者自身が「年齢のせい」と思い込みやすく、医師への申告が遅れるケースが少なくありません。痛いですね。 kanariha-hp.kanagawa-rehab.or(https://www.kanariha-hp.kanagawa-rehab.or.jp/diseases/spinal-cord-injury/spinal-cord-injury3/)
脊髄障害では排尿中枢(脊髄の下部)の制御が障害されることで、神経因性膀胱が生じます。 症状としては以下のようなものが見られます。 kanariha-hp.kanagawa-rehab.or(https://www.kanariha-hp.kanagawa-rehab.or.jp/diseases/spinal-cord-injury/spinal-cord-injury3/)
排尿障害が出ている段階は、脊髄症が相当程度進行していることを意味します。 この段階での手術成績は、早期に手術した場合に比べて改善率が低下する傾向があります。 排尿障害の出現は外科的介入を急ぐサインとして捉えるべきということですね。 fuelcells(https://fuelcells.org/topics/65393/)
参考:排尿障害の神経学的評価について詳しい情報が掲載されています。
脊椎損傷が引き起こす神経因性膀胱排尿障害とは? – stroke-sci.com
MRIで脊髄圧迫が明確に確認できても、全く症状が出ていない患者は決して珍しくありません。 症状がない限り、手術や積極的な治療の必要はないというのが現在の標準的な考え方です。 これは重要な前提です。 haneda-spine-joint(https://www.haneda-spine-joint.clinic/medical-content/spinal/cervical-spondylotic-myelopathy/)
頚椎症性脊髄症の診断には、①自覚症状、②神経学的所見(反射亢進・病的反射)、③画像所見の三者が一致することが不可欠です。 画像所見だけを根拠に診断・治療方針を決定することはできません。 joa.or(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_spondylotic_myelopathy.html)
特に中高年以外の若年者に「脊髄症様症状」が出た場合、変性疾患以外(多発性硬化症、脊髄炎、脊髄腫瘍など)を鑑別に加えることが不可欠です。 「加齢変化だろう」という先入観が、重大な疾患の見落としにつながるリスクがあります。 igakukotohajime(http://igakukotohajime.com/2019/12/29/%E8%84%8A%E9%AB%84%E7%96%BE%E6%82%A3%E7%B7%8F%E8%AB%96%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81/)
参考:炎症性・非炎症性脊髄症の鑑別診断について詳しく解説されています(神経内科医向けの専門論文)。
参考:日本整形外科学会による頚椎症性脊髄症の診断基準と治療方針の解説です。