再エネ賦課金とはいつから始まり今後どう増えるか

再エネ賦課金とはいつから始まり今後どう増えるか

再エネ賦課金とはいつから始まりどう変わったか

電気代を毎月払っているのに、再エネ賦課金を「なんとなく払っているだけ」で放置すると、2026年度は年間2万円超の出費が知らないうちに消えていきます。


この記事の3ポイントまとめ
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2012年7月スタート

再エネ賦課金はFIT制度(固定価格買取制度)の開始とともに2012年7月から徴収が始まりました。当初の単価はわずか0.22円/kWhでした。

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14年で約19倍に上昇

2026年度の単価は4.18円/kWhとなり、標準家庭(月400kWh使用)の年間負担額は制度開始以来初めて2万円を突破しました。

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2030年代前半にピークアウト見込み

FIT制度の買取期間(最長20年)が順次満了することで、2030年代前半以降に単価は減少に転じると予測されています。それまでは高水準が続く見通しです。


再エネ賦課金の意味とFIT制度のつながり

再エネ賦課金の正式名称は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」です。太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスといった再生可能エネルギーを普及させるための費用を、電気を使うすべての人が使用量に応じて負担する制度です。


この制度の根幹にあるのが、2012年7月に施行された「FIT制度(固定価格買取制度)」です。FITとは「Feed-in Tariff」の略で、再エネ発電事業者が発電した電気を電力会社が「国の定めた固定価格」で一定期間買い取ることを義務付けた制度です。買取価格はコストを上回る水準に設定されており、再エネ事業者が投資を回収しやすい仕組みになっています。


この買取にかかる費用は電力会社だけでは賄いきれません。そこで不足分を「再エネ賦課金」として電力の消費者全員に薄く広く分担させる仕組みが生まれました。つまり再エネ賦課金は、日本全体で再エネを育てるための共同負担金といえます。


仕組みはシンプルです。


- 再エネ事業者が発電した電気を電力会社が固定価格で買い取る
- 買取費用が市場価格(回避可能費用)を上回った差額を再エネ賦課金として回収する
- 電気の使用者全員が「使用量(kWh)×賦課金単価」を毎月支払う


「再エネ賦課金=使用電力量(kWh)×単価(円/kWh)」が基本です。月400kWh使う家庭で2026年度の単価4.18円を当てはめると、月約1,672円・年約20,064円になります。


電気料金の明細に「再エネ発電賦課金」「再エネ賦課金」と記載されているものがこれにあたります。見逃している方も多い項目ですが、金額は年々拡大しています。


参考:再エネ賦課金の制度概要(資源エネルギー庁)
なっとく!再生可能エネルギー|再エネ賦課金の概要(資源エネルギー庁)


再エネ賦課金がいつから始まり単価はどう推移したか

再エネ賦課金が徴収されるようになったのは2012年8月分の電気料金からです。制度の施行が2012年7月1日のため、翌月8月分から正式に電気料金に上乗せされました。


導入当初の単価は0.22円/kWh。月400kWh使う家庭では月88円、年1,056円という水準でした。スーパーで缶コーヒーを1本買う程度の金額ですから、当時は多くの人が「まあ大した額じゃない」と気にしなかったのも無理はありません。


しかし単価はその後ほぼ一貫して上昇しました。以下が2012年から2026年までの推移です。




















年度 単価(円/kWh) 標準家庭の月負担目安(400kWh)
2012 0.22 約88円
2013 0.35 約140円
2014 0.75 約300円
2015 1.58 約632円
2016 2.25 約900円
2017 2.64 約1,056円
2018 2.90 約1,160円
2019 2.95 約1,180円
2020 2.98 約1,192円
2021 3.36 約1,344円
2022 3.45 約1,380円
2023 1.40 約560円
2024 3.49 約1,396円
2025 3.98 約1,592円
2026 4.18 約1,672円


注目は2023年度の大幅下落です。2022年のロシアのウクライナ侵攻などを背景に、LNG(液化天然ガス)などの化石燃料価格が急騰しました。このとき電力市場の卸値が上がったため、「回避可能費用」(電力会社が再エネを買い取ることで節約できたと見なされるコスト)が大きくなり、賦課金を算定する際に差し引く額が膨らんで単価が一時的に下落しました。2023年度は1.40円/kWhと前年比で約6割減という歴史的な下落でした。


しかし化石燃料価格が落ち着くと、再び2024年度から急上昇しています。この動きは、賦課金単価が「再エネの普及量」だけでなく「化石燃料市場の動向」にも連動する構造をよく示しています。


2026年度の4.18円/kWhは制度開始時比で約19倍という水準です。14年間で缶コーヒー1本分の負担が、スーパーでの少し贅沢な食材費(月1,672円)に化けた計算です。


参考:単価推移の詳細データ
再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移(新電力ネット)


再エネ賦課金の計算方法と2026年度の家庭負担額

計算方法はシンプルです。


$$\text{再エネ賦課金(月額)} = \text{使用電力量(kWh)} \times \text{賦課金単価(円/kWh)}$$


2026年度(2026年5月分〜2027年4月分)の単価は4.18円/kWhです。具体的な負担額のイメージは次の通りです。









世帯タイプ 月間使用量目安 月負担額 年間負担額
一人暮らし 約150kWh 約627円 約7,524円
2人世帯 約250kWh 約1,045円 約12,540円
標準家庭(3〜4人) 約400kWh 約1,672円 約20,064円
電気暖房使用の家庭 約600kWh 約2,508円 約30,096円


2026年度の標準家庭(月400kWh)の年間負担額約20,064円は、2012年の制度開始以来初めて2万円を超えた歴史的水準です。これは国民全体の負担合計では約3兆2,000億円(過去最高)に相当します。


重要なポイントが1つあります。再エネ賦課金の単価は電力会社を変えても一切変わりません。新電力に乗り換えても、大手電力会社と契約していても、全国一律の同じ単価が適用されます。つまり「電力会社を乗り換えれば賦課金が安くなる」という期待は残念ながら裏切られます。単価そのものを変える手段は一般消費者にはなく、負担を減らすには「電力の使用量を減らす」か「自家発電で電力会社からの購入量を減らす」しかありません。


なお、賦課金は消費税課税対象であるため、表示されている単価にはすでに消費税10%分が含まれています。消費税込みの数字として把握しておけば問題ありません。


参考:2026年度の賦課金単価を公表した経済産業省の発表資料
再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等について(経済産業省)


再エネ賦課金に「減免制度」がある事実と対象条件

金融・投資に関心のある方が見落としがちな視点として、再エネ賦課金には一定の事業者向けに最大80%の減免制度があるという事実があります。一般家庭には適用されませんが、法人として電力を大量消費する立場で投資や経営に関わる人には重要な情報です。


減免の対象になりうるのは、製造業などで電気使用の原単位(売上高あたりの電力使用量)が国の基準値を超える事業所です。具体的には、電気使用量(kWh)÷ 売上高(千円)で計算される原単位が一定値以上であると認定された事業者が対象になります。


減免率は事業の種類や電力使用強度に応じて段階的に設定されており、最大で通常の賦課金の20%のみ負担(=80%減免)という措置が受けられます。


申請手続きは毎年11月1日〜11月30日の期間に「減免認定申請システム」を通じて行い、資源エネルギー庁の認定を受けると翌年度から適用されます。申請期限は年1回のみです。これを知らないまま毎年数百万円の賦課金を払い続けている中小企業・製造業は少なくありません。


個人投資家として事業者に投資する際にも、対象企業がこの制度を活用しているかどうかは、電気代コスト管理の観点でチェックする価値があります。事業者側のコスト構造を把握する材料として、有報や開示資料に目を通す際に「電力コスト管理施策」の項目として確認できます。


参考:再エネ賦課金の減免制度の概要(資源エネルギー庁PDF)
賦課金減免制度について(概要資料)|資源エネルギー庁


再エネ賦課金はいつまで続くのか今後の見通し

気になるのは「この負担はいつまで続くのか」という点です。結論から言えば、明確な終了時期は定められていません。ただし、見通しに関してはある程度の予測が成り立っています。


現在の見通しは次の通りです。


- 2030年代前半までは単価がさらに上昇・高止まりする可能性が高い
- 2030年代前半以降は単価が減少に転じる見込み
- FIT制度の買取期間(最長20年)が順次満了するにつれ、買取費用が縮小し賦課金も下がる方向へ


例えば、2012年度に認定された大型の非住宅用太陽光発電(10kW以上)の買取期間は20年なので、2032年頃に順次満了します。買取費用の大きな割合を占めるこれらの設備が次々と期間終了を迎えることで、賦課金の総額も徐々に圧縮される流れです。


政府の試算では、単価のピークは4.5円/kWh前後に達する可能性があるとされています。2026年度の4.18円/kWhはすでにそのピーク水準に近づいてきた段階です。


ただし、FIP制度(Feed-in Premium:プレミアム支払い型)の普及や、電力市場価格の変動によって予測が狂う可能性もあります。2023年度の急落のように、エネルギー市場の外部ショックが単価を乱高下させる要素は残ります。


金融的な視点で整理すると、再エネ賦課金は「あと数年は増加し続けるが、長期的には縮小フェーズに入る」という構造を持った支出です。このまま電力会社から電気を購入し続ける場合、2030年頃にかけては出費が今より確実に増えます。一方で太陽光発電による自家消費や省エネ投資は、賦課金上昇分のヘッジ(リスク回避)として機能する可能性があります。


参考:再エネ賦課金の将来展望(自然エネルギー財団)
再エネ賦課金の疑問に答える(自然エネルギー財団)