
流量計は測定原理によって大きく10種類以上に分類され、それぞれ異なる特徴を持っています 。
参考)【図解付】流量計とは?仕組み・用途・選び方をわかりやすく解説…
差圧式流量計は配管内にオリフィスやノズルなどの絞りを設置し、その前後で発生する圧力差から流量を計測する方式です 。構造がシンプルで堅牢なため、幅広い分野で利用されており、安定した測定が求められる場面で多く採用されています 。
電磁式流量計はファラデーの電磁誘導を利用して流量を検出する方式で、導電性液体が磁場の中を移動すると管内径×磁束密度×平均流速に比例した起電力が発生する特性を活用しています 。流量が変化すると電極で捉える起電力も変化するため、この値から正確な流量測定が可能です 。
参考)電磁式流量計
超音波式流量計は超音波の伝播特性を利用した方式で、上流と下流に送受信器を配置し、超音波の伝播時間の差から流量を求める「伝搬時間差方式」と、液体中の気泡や粒子による反射波の周波数変化を利用する「ドプラー方式」があります 。
流量計は測定方式により容積流量と質量流量に大別され、それぞれ異なる用途に適しています 。
参考)流量計や流量センサなどのセンサ一覧|株式会社クローネ
容積式流量計は内部に設けられた2つの歯車の回転数によって流量を計測するギア式流量計とも呼ばれる方式です 。流体が持つエネルギーのみでギアが回転するため外部電源を必要とせず、構造もシンプルで高い信頼性を持っています 。特に粘度の高い液体の計測に適しており、安定した体積流量の測定が可能です 。
参考)流量計の種類と特徴【方式別のメリット・デメリットを解説】
コリオリ式質量流量計は物理現象であるコリオリの力を利用した流量計で、振動するU字パイプの中を流体が流れると入り口側と出口側で逆方向のコリオリの力が作用し、パイプのねじれ量から質量流量を測定します 。流体の温度・圧力・粘度・密度等の変化に影響を受けない質量計測が可能で、液体の他に食品・薬品・高密度ガス・スラリー等の計測に対応しています 。
参考)【おすすめ流量計】流量計の種類と選び方のポイントをご紹介
熱式質量流量計は加熱されたセンサと温度センサを用いて、流体による熱移動の変化を検出し質量流量を求める方式です 。可動部がなく機械的な故障が少ないという特性を持ち、気体の流量測定において非常に有効です 。
参考)熱式流量計とは?(原理・特徴・用途を徹底解説!) - HOR…
適切な流量計選定には体系的なアプローチが必要で、計測媒体の性質理解から予算まで4つの段階的検討が重要です 。
参考)圧力センサ・流量センサのことならエア・ウォーター・メカトロニ…
計測媒体の性質理解では、媒体の種類(液体・気体)、媒体名、流量範囲、媒体温度、媒体圧力、腐食性などの基本情報に加え、媒体密度、媒体粘度、透明度、許容圧力損失といった詳細情報の把握が求められます 。
動作原理の選定では計測目的を明確にし、必要な計測精度を決定します 。一般的に高精度測定を目指す場合はフルスケールの1%以下が目安となりますが、体積流量の監視、警報、制御といった用途ではそこまでの高精度を必要としないケースも多いです 。
仕様内容の詳細確認では出力信号(電流、電圧、パルス、警報接点等)、電源、流量方向、設置場所の取付姿勢制限、定期校正や保守作業の要否、周辺機器(表示器や専用電源、信号変換器)の必要性を確認します 。
現代の流量計は第4次産業革命の進展に伴い、IoT技術との融合によってスマートファクトリー化に貢献する重要な計測機器として進化を遂げています 。
参考)流量計とは:水と、時と、技術の物語:流量計の歴史をひも解く
無線式流量計の登場により、工場内の巡回監視から自動記録システムへの転換が可能となりました 。従来は監視員が工場内を巡回して水や油、空気の使用量を記録していた作業が、無線化により自動的に定められた間隔で流量を正確に記録できるようになり、人的リソースの削減と記録精度の向上を同時に実現しています 。
参考)http://ice-keiso.co.jp/sumaho/file/gi/2307_oval.html
データ活用の高度化では、瞬時値データの取得により「休み時間で工場が止まっているはずなのに水が流れている」といった異常事象の早期発見が可能になり、省エネや設備の予防保全につながります 。積算値の曜日変動や季節変動の分析により、より高度な省エネ活用も実現されています 。
スマートファクトリー対応として、流量計はプロセス管理システムとの統合により、設備の保全、異常検知や省エネ対策に役立つ重要な役割を果たしています 。流量・流速のモニタリング、データに基づく給排水の利用制限、ポンプの稼働台数制御など、工場全体の最適化に貢献する機能が求められています 。
参考)食品工場のスマートファクトリー化関連ソリューション|食品工場…
流量計選定では従来の技術仕様に加え、将来の技術革新と運用環境の変化を見据えた戦略的な判断が求められます 。
参考)https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je18/pdf/all_03.pdf
Society 5.0時代への対応として、第4次産業革命の進展により「データ」の利活用が付加価値の源泉となる中で、流量計も単なる計測機器から価値創造の基盤インフラへと役割が変化しています 。バーチャルデータとリアルデータの融合により、従来の測定値だけでなく、予測分析や異常検知といった高度な機能が期待されています 。
参考)https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shinsangyo_kozo/pdf/008_05_01.pdf
TCO(Total Cost of Ownership)評価では、流量計本体の価格だけでなく、関連機器の価格、設置費、保守運用費を含めた総合的なコスト比較が重要です 。特にデジタル化に対応した機器では初期コストが高くても、長期的な運用効率の向上により総合的なコストメリットが得られる場合が多いです 。
メンテナンス性とサポート体制の確認も重要で、定期校正が必要な場合はその時期や費用、作業内容を予め確認し、デジタル化対応やアップグレードの可能性についても検討する必要があります 。国際規格への準拠状況(ISO 5167、ISO 6817、ISO 9104等)も、将来の設備更新や海外展開を考慮した選定基準として重要です 。