
毎月分配型投資信託の最大のデメリットは複利効果を得られないことです 。分配金を毎月受け取ってしまうと、単利運用になってしまい、長期投資における資産増加の機会を大幅に減少させます 。
参考)NISAや長期保有の資産形成には向かない!毎月分配型の投資信…
100万円を年利7%で30年間運用した場合のシミュレーションでは、複利運用では761万円に増加するのに対し、単利運用では310万円にしかならず、その差は451万円にも達します 。この結果は、毎月分配型投資信託が長期保有による資産形成に向かない理由を明確に示しています 。
投資信託で運用している資産の一部を現金化して取り崩すことで分配金が支払われるため、その金額分だけ基準価額は下がることになります 。これは預貯金の利息とは根本的に異なり、元本が減少することを意味しています 。
参考)きちんと知りたい投資信託の分配金
毎月分配型投資信託における**特別分配金(元本払戻金)**は、実質的にタコ足配当に該当する深刻な問題です 。高い分配金利回りを実現できるだけの運用成果が得られない場合、運用会社は投資家から預かった資産を取り崩して分配金を支払っています 。
参考)https://kakaku.com/fund/result.asp?si_accountnum=12
金融庁の資料によると、毎月分配型投資信託の分配金は年間で5兆円に及びますが、その9割が特別分配金であるとされています 。これは、分配金の大部分が投資家自身の元本を取り崩した「身食い」状態であることを示しています 。
参考)毎月分配型投資信託が抱える本当の問題とは?
特別分配金は税務上「元本の払い戻し」とみなされるため受取時は非課税ですが、取得価額が下がることで将来の売却時に譲渡所得課税が増える可能性があります 。つまり、課税を先送りしているだけで、長期的には税務上の不利益が生じる可能性があります 。
参考)https://www.invest-concierge.com/terms/local-government-bond
毎月分配型投資信託の信託報酬は年1%台半ばと、インデックスファンドと比較して非常に高い水準に設定されています 。この高い手数料負担は、投資家の実質的なリターンを大幅に削減する要因となっています。
さらに運用の仕組みが複雑で理解が困難な商品が多く、運用会社は高い分配金を維持するためにデリバティブを組み込むことがあります 。「通貨や株式を売買する権利を売って得た収入を分配金にあてる」など、目論見書では理解困難な説明がなされる場合もあります 。
これらの複雑な仕組みにより、投資家は実際のリスクや手数料負担を適切に把握することが困難になっています。特に銘柄名に「プレミアム」の文字が含まれる商品では、このような複雑な戦略が採用されていることが多いため注意が必要です 。
毎月分配型投資信託における分配金課税は複雑な二段階構造を持っています 。分配後の基準価額が個別元本を上回る場合の「普通分配金」は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)で源泉徴収されます 。
参考)分配金にかかる税金を教えてください|税金についてのよくある質…
一方、個別元本を下回る部分の「特別分配金」は元本の払い戻しとして非課税扱いとなりますが、個別元本が減少するため将来の売却益計算に影響します 。この仕組みにより、一見して非課税に見える分配金も、実際には課税の繰り延べに過ぎない場合があります 。
参考)(投資信託)普通分配金と特別分配金の違いは何ですか?|マイゲ…
分配金を毎月受け取る度に20.315%の税金が課されることで、再投資効率が大幅に低下します 。分配金を出さない投資信託であれば運用成果が税金を引かれることなく投資信託の資産としてプールされるため、投資効率の観点から圧倒的に有利です 。
参考)毎月分配型投信のデメリット【意外と悪くない?儲かる?最強!?…
地方銀行における積立投信の販売額調査では、毎月分配型投資信託が50%を超えており、インデックスファンドが主流の現在においてこの状況は明らかに歪んでいると言えます 。販売側が顧客利益よりも販売手数料を優先している実態が浮き彫りになっています 。
現行の投資信託法は1951年に制定された法律が基になっており、毎月分配型投資信託の問題点に対して適切に対応できていない制度的な欠陥があります 。特に未実現利益を原資に分配金を出せる仕組みは、本来利益が確定していない状態での分配を可能にしており、投資家に元本削減のリスクを気づかせないまま運用されています 。
金融庁も複利効果の薄さを指摘しており、投資信託協会の統計では毎月分配型は2017年から5年連続で解約・償還額が購入額を上回る状況が続いています 。この現象は、投資家が実際の運用成果に失望して資金を引き揚げていることを示しています 。
参考)毎月分配型投信に再注目 「取り崩し」機能、誤解は禁物 - 日…