核医学検査一覧|種類・目的・放射性医薬品の使い分け完全ガイド

核医学検査一覧|種類・目的・放射性医薬品の使い分け完全ガイド

核医学検査の一覧と各検査の目的・特徴

核医学検査で副作用が出る確率は10万件あたりわずか0.9〜2.7件ですが、患者から「危険では?」と聞かれると説明に詰まる医療従事者が意外と多いです。 www2.huhp.hokudai.ac(https://www2.huhp.hokudai.ac.jp/~houbu-w/ri.html)


🔬 核医学検査 3つのポイント
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放射性医薬品を使った機能診断

核医学検査は放射性同位元素(RI)で標識した薬剤を体内に投与し、ガンマカメラでその分布を画像化します。CT・MRIが「形」を見るのに対し、核医学検査は臓器の「機能・活動性」を可視化します。

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年間180万件以上実施

日本全国で年間180万件以上の核医学検査が実施されており、放射線障害の事例は報告されていません。被ばく線量は1回あたり0.2〜15 mSv程度で、一般的なCT検査と同程度です。

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主な種類はシンチグラフィとPET/CT

核医学検査は大きく「シンチグラフィ(SPECT)」と「PET/CT」に分類されます。シンチグラフィだけでも30種類以上の検査があり、脳・心臓・骨・腎臓など全身の臓器に対応しています。


核医学検査の基本分類:シンチグラフィとPET/CTの違い

核医学検査には大きく分けて「シンチグラフィ(SPECT)」と「PET/CT」の2種類があります。 シンチグラフィは、γ(ガンマ)線を放出する放射性医薬品を体内に投与し、ガンマカメラで臓器の機能画像を取得する手法です。 PET/CTはポジトロン(陽電子)を放出する薬剤を使い、より高解像度な3D画像が得られます。 tokyo-mc.hosp.go(https://tokyo-mc.hosp.go.jp/section/bumon_radiology/radiation_diagnosis/radiation_diagnosis6.html)


単純X線写真やCTが「体の構造(形)」を調べる形態診断なのに対し、核医学検査は「臓器の働きや病気の活動性」を調べる機能診断・質的診断であるという点が最大の特徴です。 つまり形は正常でも機能が低下していれば核医学検査で異常を検出できる、ということですね。 radiol.med.kyushu-u.ac(https://www.radiol.med.kyushu-u.ac.jp/medicalcare/nuclear-medicine/spect.html)


また、in vivo検査(薬剤を体内に投与して画像化)とin vitro検査(採取した血液や尿を体外で測定)の2種類に大別される点も、医療従事者として押さえておきたい基礎知識です。 med.nagoya-u.ac(https://www.med.nagoya-u.ac.jp/rt/ri.html)


核医学検査一覧:臓器別・検査目的別の主な検査リスト

核医学検査は主なものだけで30種類以上に及びます。 以下に臓器・目的別の代表的な検査をまとめました。 jsnm(https://jsnm.org/wp_jsnm/wp-content/themes/theme_jsnm/doc/kango-qa.pdf)


臓器・部位 検査名 主な目的 主な放射性医薬品
🧠 脳 脳血流シンチ(SPECT) 脳血管障害・認知症・てんかんの評価 ¹²³I-IMP、⁹⁹ᵐTc-HMPAO、⁹⁹ᵐTc-ECD
❤️ 心臓 心筋血流シンチ 虚血性心疾患の診断・治療効果判定 ²⁰¹Tl(タリウム)、⁹⁹ᵐTc製剤
❤️ 心臓 心筋脂肪酸代謝シンチ 心筋虚血・心筋症の代謝評価 ¹²³I-BMIPP
🦴 骨 骨シンチ 骨転移・骨疾患・骨折の診断 ⁹⁹ᵐTc-MDP(メチレンジホスホン酸)
🫁 肺 肺血流シンチ 肺塞栓症・肺血流評価 ⁹⁹ᵐTc-MAA
🫁 肺 肺換気シンチ 換気分布の評価・COPD診断補助 ¹³³Xe(キセノン)、⁹⁹ᵐTc-DTPA
🫘 腎臓 腎シンチ(レノグラム) 腎機能・尿路閉塞の評価 ⁹⁹ᵐTc-DTPA、⁹⁹ᵐTc-MAG3
🦋 甲状腺 甲状腺シンチ 甲状腺機能亢進症・結節の評価 ¹²³I(ヨウ素)、⁹⁹ᵐTc-過テクネチウム酸
🩸 消化管 消化管出血シンチ 消化管出血部位の同定 ⁹⁹ᵐTc-RBC(赤血球標識)
🔬 腫瘍・炎症 ガリウムシンチ 悪性腫瘍・炎症巣の検索 ⁶⁷Ga(ガリウム)クエン酸
🔬 腫瘍 PET/CT(FDG) 全身のがん病巣・転移・再発検索 ¹⁸F-FDG(フルオロデオキシグルコース)
🦷 副甲状腺 副甲状腺シンチ 副甲状腺腺腫・過形成の局在診断 ⁹⁹ᵐTc-MIBI(セスタミビ)
🩸 骨髄 骨髄シンチ 造血組織の分布評価 ¹¹¹In-Chloride、⁹⁹ᵐTcスズコロイド
🔵 リンパ節 センチネルリンパ節シンチ 乳がん・悪性黒色腫の転移リスク評価 ⁹⁹ᵐTcスズコロイド


これが基本の一覧です。 各検査は投与経路(静注・内服・吸入)と撮像タイミングが異なるため、検査担当者は薬剤の半減期と排泄経路を把握しておくことが必要です。 radiological(https://radiological.site/archives/%E6%94%BE%E5%B0%84%E6%80%A7%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81.html)


参考:放射性医薬品の投与量・検査時間・排泄経路の詳細一覧は以下が有用です。


放射性医薬品まとめ|診断機能・投与量・検査時間・排泄経路の一覧表(診療放射線技師向け)


核医学検査の被ばく線量と安全性:医療従事者が患者説明で使える数字

患者から「放射線が出る薬を打つのは怖い」と言われる場面は多いものです。 核医学検査1回あたりの被ばく線量は0.2〜15 mSvで、これはエックス線検査やCT検査と同程度かそれ以下の量です。 web.hosp.kanazawa-u.ac(https://web.hosp.kanazawa-u.ac.jp/housyasen/goraiin/bumon/ri.html)


ここで重要な比較数字があります。


  • 🌍 自然放射線(世界平均):年間約2.4 mSv
  • 🩻 胸部X線1回:約0.06 mSv
  • 🔬 核医学検査1回:約1〜15 mSv
  • 🇧🇷 ブラジル・ガラパリ市の自然放射線:年間約10 mSv
  • ⚠️ 放射線障害が生じるとされる線量:100 mSv以上


oim.or(https://oim.or.jp/treatment/docs/20210610_houshasenkanri_1.pdf)


つまり、核医学検査の被ばく量は「障害しきい値」の1/10以下です。 放射性医薬品の半減期は数時間〜最長8日程度で、主に尿・便から速やかに排泄されます。 患者への説明では「検査後に特別な生活制限はなく、通常通りの活動が可能」と伝えて問題ありません。 www2.huhp.hokudai.ac(https://www2.huhp.hokudai.ac.jp/~houbu-w/ri.html)


副作用については発生率が10万件あたり0.9〜2.7件と極めて低く、内容は発疹・悪心・皮膚発赤など軽度〜中等度のものがほとんどです。 重篤な副作用は事実上ゼロに近い水準です。 www2.huhp.hokudai.ac(https://www2.huhp.hokudai.ac.jp/~houbu-w/ri.html)


参考:核医学検査の安全性に関する患者向け説明資料として権威ある解説は以下で確認できます。


核医学検査について(北海道大学病院)|被ばく量・副作用・妊娠への影響を詳細に解説


核医学検査と他の画像診断との使い分け:CT・MRI・エコーとの違い

核医学検査は「形」ではなく「機能」を見る検査です。 この点が最大の差別化ポイントであり、他の画像診断と組み合わせることで診断精度が大幅に向上します。 radiol.med.kyushu-u.ac(https://www.radiol.med.kyushu-u.ac.jp/medicalcare/nuclear-medicine/spect.html)


検査 主な診断情報 得意な領域 被ばく
単純X線・CT 形態診断(構造) 骨折・腫瘍の大きさ・位置 あり
MRI 形態診断(軟部組織) 脳・脊髄・関節・骨盤 なし
超音波 形態・血流 腹部臓器・甲状腺・心臓 なし
シンチグラフィ(SPECT) 機能診断・質的診断 心臓・脳・骨・腎臓の機能 あり(低線量)
PET/CT 代謝・機能+形態 がん病巣・転移・再発の全身評価 あり(中等度)


kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/medical-device/nuclear-medicine-imaging-nmi/)


例えば骨転移の評価では、CT単体で骨の構造変化を見るよりも骨シンチで全身をスクリーニングする方が早期発見に優れています。 一方、脳の解剖学的変化はMRIが優位ですが、認知症(アルツハイマー病など)の機能的変化は脳血流シンチの方が早期段階から異常を検出できるケースがあります。 nagoya.tokushukai.or(https://www.nagoya.tokushukai.or.jp/wp/comedical/radiation/7376-2/ri)


これは使えそうです。両者を相互補完的に使うことで、診断のタイムラグを減らし、患者への適切な治療開始が早まります。


参考:シンチグラフィとSPECT検査の臨床的役割について、専門的に解説した以下のページが参考になります。


シンチグラフィ・SPECT検査(九州大学放射線科)|形態診断と機能診断の違いをわかりやすく説明


核医学検査における患者対応と現場での注意点:医療従事者が見落としやすいポイント

核医学検査の現場では、検査担当者以外のスタッフが注意点を知らないままでいることが、患者対応のトラブルにつながることがあります。 これが原則です。以下に特に現場で見落とされやすいポイントをまとめます。


  • 🚫 PET/CT(FDG)検査前は絶食が必須:食事を摂るとインスリンが分泌され、FDGの筋肉への取り込みが増加して診断精度が著しく低下します。絶食は検査の4〜6時間前から行います。
  • www2.huhp.hokudai.ac(https://www2.huhp.hokudai.ac.jp/~houbu-w/ri.html)

  • 📵 PET/CT待機中は携帯・読書・会話を控える:FDG投与後の待機中に脳・筋肉を使うと、それらへのFDGの取り込みが増し、病変の検出感度が低下します。
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  • 🏃 検査当日の激しい運動は禁止:骨シンチ・PET/CTいずれも、筋肉への薬剤集積を避けるため、検査当日の運動は控えてもらいます。
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  • 💊 授乳中は薬剤によっては授乳を一時中断:放射性医薬品が母乳中に移行するケースがあるため、使用薬剤の半減期に応じて授乳中断期間を確認する必要があります。
  • web.hosp.kanazawa-u.ac(https://web.hosp.kanazawa-u.ac.jp/housyasen/goraiin/bumon/ri.html)

  • 🔩 金属類は全て除去:時計・ネックレス・ブラジャー・入れ歯・かつらなど、アーチファクトの原因となるものはすべて外します。
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  • 🚽 撮像直前のトイレは必須:膀胱への薬剤集積が骨盤・腹部病変の診断を妨げるため、撮像直前に排尿を促します。
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これらを事前に患者に説明できているかどうかで、再検査のリスクが大きく変わります。再検査になれば患者の被ばく線量が2倍になるだけでなく、医療機関の稼働コストにも直結します。


また、妊娠中の患者への核医学検査については「胎児への影響があるのでは?」と不安を持たれることが多いです。 実際には、核医学検査での胎児の被ばく線量は奇形や大脳発達の遅れが生じるとされる100 mGyを超えることはなく、既に妊娠中に検査を受けた患者が判明した場合でも、胎児への影響を過度に心配させる必要はないことが確認されています。 www2.huhp.hokudai.ac(https://www2.huhp.hokudai.ac.jp/~houbu-w/ri.html)


不妊についても同様で、卵巣・睾丸への影響が出るのは数千 mGy以上の被ばくが必要であり、核医学検査での生殖腺線量は100 mGyを超えないため、不妊の原因になることはありません。 正確な情報です。根拠のある説明ができる医療従事者が患者の信頼を得られます。 www2.huhp.hokudai.ac(https://www2.huhp.hokudai.ac.jp/~houbu-w/ri.html)


参考:核医学検査の看護スタッフ向けQ&Aとして日本核医学会が公開している以下のPDFが実用的です。


看護スタッフのための核医学検査Q&A(日本核医学会)|副作用・被ばく・妊婦対応など現場の疑問を網羅