
従兄弟(いとこ)が亡くなった場合、多くの方が「自分に相続権があるのか」と疑問に思われます。しかし、残念ながら従兄弟は法定相続人ではありません。
民法で定められた法定相続人の順位は以下の通りです。
従兄弟はこの法定相続人の範囲に含まれていないため、血縁関係があっても原則として遺産を相続する権利はありません。
例えば、被相続人に配偶者がいない場合でも、子どもがいれば子どもが全て相続し、子どもがいなければ両親が相続します。両親も既に他界している場合は兄弟姉妹が相続人となりますが、兄弟姉妹もいない場合に初めて「相続人不存在」の状況が生まれます。
この法的な仕組みにより、従兄弟同士には相続権が認められていないのが現実です。
原則として従兄弟に相続権はありませんが、以下の3つの例外的なケースでは遺産を取得できる可能性があります。
📝 1. 遺言書による指定
被相続人が生前に遺言書を作成し、その中で従兄弟に遺産を遺贈する旨を記載していた場合、法定相続人がいても遺産を受け取ることができます。
遺言書には以下の種類があります。
👥 2. 特別縁故者としての認定
被相続人に法定相続人が全くいない場合に限り、家庭裁判所に「特別縁故者」として申し立てを行い、認定されれば遺産の一部または全部を取得できます。
特別縁故者として認められる条件。
ただし、単に親戚というだけでは認定されません。実際に親密な関係を維持し、被相続人の生活に関わっていたことが重要です。
💰 3. 生命保険金の受取人指定
被相続人が生命保険に加入し、従兄弟を受取人に指定していた場合、保険金を受け取ることができます。
ただし、保険会社によって受取人に指定できる親族の範囲が異なるため、事前の確認が必要です。一部の保険会社では従兄弟を受取人に指定できない場合もあります。
特別縁故者として従兄弟の遺産を相続する手続きは複雑で、複数の段階を経る必要があります。
⚖️ 相続財産管理人の選任申立て
まず、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続財産管理人選任申立て」を行います。この際、以下の書類が必要です。
申立てには収入印紙800円と予納金(通常20万円~100万円程度)が必要です。
📋 相続人捜索の公告
家庭裁判所が相続財産管理人を選任すると、6ヶ月間の相続人捜索公告が行われます。この期間中に相続人が現れなければ、相続人不存在が確定します。
🏛️ 特別縁故者の申立て
相続人不存在が確定してから3ヶ月以内に、特別縁故者としての申立てを行います。申立てに必要な書類。
📊 審判と財産分与
家庭裁判所が特別縁故者として認定した場合、財産の全部または一部が分与されます。分与される金額は、被相続人との関係の深さや貢献度によって決定されます。
なお、被相続人に借金などの債務がある場合は、それらを清算した残りの財産が分与の対象となります。
従兄弟が遺産を取得した場合、通常の相続税に加えて2割加算という特別な税負担が発生します。
💸 2割加算の適用対象
相続税法では、被相続人の一親等の血族(父母・子)および配偶者以外の人が財産を取得した場合、相続税額の2割相当額を加算すると定められています。
従兄弟は一親等の血族でも配偶者でもないため、必ず2割加算の対象となります。
📈 具体的な計算例
例:従兄弟が遺言により1,000万円を相続した場合
仮に通常の相続税が100万円だった場合。
100万円 × 1.2 = 120万円(2割加算後)
🔍 2割加算が適用されないケース
以下の場合は2割加算が適用されません。
📋 申告手続きの注意点
従兄弟が遺産を取得した場合でも、相続税の申告期限は被相続人の死亡を知った日から10ヶ月以内です。特別縁故者の場合は、財産分与の審判が確定した日から10ヶ月以内となります。
税理士などの専門家に相談することをお勧めします。特に特別縁故者の場合は、財産分与のタイミングと税務申告のタイミングが複雑になるためです。
従兄弟間の遺産相続では、予期しないトラブルが発生することが多いため、事前の対策が極めて重要です。
✍️ 遺言書の作成推奨
従兄弟に遺産を残したい場合は、必ず遺言書を作成しましょう。特に公正証書遺言が推奨されます。
遺言書には以下の内容を明記することが重要です。
🏠 生前贈与という選択肢
相続ではなく生前贈与という方法もあります。メリットとデメリットを比較検討しましょう。
生前贈与のメリット:
生前贈与のデメリット:
📞 家族間のコミュニケーション
従兄弟への遺贈を検討している場合は、可能な限り家族間で事前に話し合うことが重要です。
🔒 法的手続きの専門家活用
複雑な相続関係の場合は、以下の専門家に相談することをお勧めします。
📝 定期的な見直し
一度作成した遺言書も、以下の場合は見直しが必要です。
特に従兄弟への遺贈を含む遺言書は、家族構成の変化により予期しない結果を招く可能性があるため、定期的な見直しが重要です。
遺産相続に関する法的知識は複雑で、個々のケースにより対応が大きく異なります。従兄弟の遺産相続を検討している方は、早めに専門家に相談し、適切な対策を講じることをお勧めします。