
インパーマネント・ロスの計算は、流動性提供における基本的なリスク評価の第一歩です。
計算式の核心は以下のような仕組みになっています。
基本計算式
変動損失 = (価格変化後の流動性金額 - ガチホ時の金額) ÷ ガチホ時の金額
この式により、流動性を提供した場合と単純保有した場合の損益差を正確に算出できます。計算に必要な要素は次の通りです:
流動性プール内では、仮想通貨の枚数比率が価格を表すため、価格変動に伴ってトークンの保有比率も自動的に調整されます。
実際の計算例
1BTCと10,000USDTで流動性を提供し、BTCが20%上昇した場合。
このように、価格上昇時でも流動性提供者は機会損失を被る可能性があります。
専用の計算サイトを活用することで、複雑な数式を使わずに損失率を簡単に算出できます。
おすすめ計算ツール3選
① Impermanent Loss Calculator
最もシンプルで使いやすい基本的な計算サイトです。
使い方。
このサイトは損失率のみ表示するため、具体的な金額は別途計算が必要です。
② Yield Watch
PancakeSwapなどBSC上のDEXと連携可能な高機能ツールです。
特徴。
③ DeFi Yield
より詳細な分析が可能な上級者向けサイトです。
機能。
これらのツールを使い分けることで、投資戦略に応じた精度の高いリスク評価が実現できます。
価格変動と損失率の関係を視覚的に把握するため、早見表を活用することが重要です。
インパーマネント・ロス早見表
価格変動倍率 | 損失率 |
---|---|
1.25倍 | 0.6% |
1.50倍 | 2.0% |
1.75倍 | 3.8% |
2.00倍 | 5.7% |
3.00倍 | 13.4% |
4.00倍 | 20.0% |
5.00倍 | 25.5% |
この表から分かるように、25%程度の価格変動であれば損失は0.6%に留まります。しかし、価格が2倍以上になると損失率は急激に増加します。
インパーマネント・ロスのメリット
一般的には損失として認識されがちですが、実は以下のようなメリットも存在します。
① 堅実な資産運用効果
価格が急騰した際に自動的に利益確定が行われるため、バブル崩壊時のリスクを軽減できます。これは「堅実な運用」と捉えることも可能です。
② 市場の過度なボラティリティ抑制
流動性提供により価格変動が緩和され、市場全体の安定性向上に貢献します。
③ 継続的な手数料収入
インパーマネント・ロスが発生していても、取引手数料による継続収入で損失をカバーできる場合があります。
ただし、Uniswapの研究では流動性提供者の多くが手数料収入よりも大きなインパーマネント・ロスを被っていたという報告もあり、慎重な判断が必要です。
インパーマネント・ロスは単なる機会損失ではなく、実質的な資産価値の減少をもたらす場合があります。
主要なデメリット
① 大幅価格下落時のリスク拡大
トークンが1/100に暴落した場合、プール内にはほとんど無価値になったトークンが蓄積されます。この状況では:
② 価格急騰時の機会損失
トークンが100倍に上昇した場合。
③ 市場急落時の複合的損失
市場全体が急落すると、保有トークンの価値下落とインパーマネント・ロスが同時に発生します。
実用的な対策法
① ステーブルコインペアの活用
USDTとUSDCのような価格安定通貨同士のペアでは、インパーマネント・ロスのリスクが最小限に抑えられます。
② 相関性の高いトークンペア選択
ETHとWBTCのように価格動向が似ているトークン同士を組み合わせることで、大幅な価格乖離を防げます。
③ リバランシング戦略の実装
定期的にポジションを見直し、損失が拡大する前に流動性を引き上げるタイミングを設定します。
従来の計算手法に加えて、より実践的な運用戦略を組み合わせることで、インパーマネント・ロスのリスクを最小化しつつ収益を最大化できます。
時間軸を考慮した計算アプローチ
多くの投資家が見落とす重要な要素は「時間」です。インパーマネント・ロスは瞬間的な損失率で判断されがちですが、実際は以下の要素を総合的に評価すべきです。
心理的バイアスを考慮したリスク管理
従来の計算では考慮されない人間の心理的要因も重要です。
① FOMO(取り残される恐怖)対策
価格急騰時に慌てて流動性を引き上げることで損失を確定させてしまうケースが多発します。事前に「引き上げルール」を数値で設定しておくことが重要です。
② 損失回避バイアスの克服
小さな損失を恐れて機会を逃すよりも、確率論的にプラスになる戦略を継続する方が長期的には有利です。
独自の複合指標による判断基準
単純な損失率だけでなく、以下の複合指標を用いることで、より精度の高い判断が可能になります。
リスク調整後収益率 = (手数料収入 - インパーマネント・ロス) ÷ 最大ドローダウン
この指標により、リスクに対する適切なリターンが得られているかを客観的に評価できます。
市場環境適応型戦略
これらの独自視点を計算に組み込むことで、従来のインパーマネント・ロス計算では見えてこない投資機会とリスクを明確化できます。重要なのは、数式だけでなく市場の動向と自身の投資スタンスを総合的に判断することです。