

複数箇所に施術しても、算定できるのは主たる1か所だけです。
ファセットブロック(椎間関節ブロック)は、脊椎の椎間関節やその支配神経(後枝内側枝)に局所麻酔剤を注入することで、腰痛や頸部痛を軽減する手技です。診療報酬上の位置づけを正確に把握しておくことが、適切なレセプト請求の第一歩になります。
局所麻酔剤を使用してファセットブロックを行った場合は、「L100 神経ブロック(局所麻酔剤又はボツリヌス毒素使用)」の区分7に該当します。 具体的な項目名は「頸・胸・腰椎後枝内側枝神経ブロック」で、点数は90点です。 1点10円換算で900円、3割負担なら患者負担は270円という水準です。 recenavi(https://recenavi.net/shinryohoshu/L/L100.html)
関節腔内に直接注射する「関節内注射」方式でファセットブロックを行った場合は扱いが異なり、別途「関節腔内注射」として算定するケースもあります。これが正解です。 どちらの手技として請求するかを施術内容に合わせて明確にする必要があります。 jspc.gr(https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shi-guide01_07.pdf)
神経破壊剤や高周波凝固法・パルス高周波法(PRF)を用いた場合は、「L101 神経ブロック(神経破壊剤、高周波凝固法又はパルス高周波法使用)」の区分4(340点)として算定します。 L100とL101では点数が大きく異なるため、使用した手技・薬剤を必ず確認してから算定区分を選んでください。 recenavi(https://recenavi.net/shinryohoshu/L/L100.html)
区分の選択ミスはそのままレセプト査定・返戻につながります。これが基本です。
参考リンク:最新の神経ブロック料(L100〜L105)の点数と通知を確認できます。
L100 神経ブロック(局所麻酔剤又はボツリヌス毒素使用)- レセナビ
ファセットブロックを1回のセッションで複数レベル(例:L4/5とL5/Sの両側後枝内側枝)に施行することはよくある臨床場面です。しかしここに、落とし穴があります。
診療報酬の通知では「同一名称の神経ブロックを複数か所に行った場合は、主たるもののみ算定する」と明記されています。 つまり、L4とL5の両レベルに後枝内側枝ブロックを施行しても、算定できる実施料は1回分(90点)のみです。 recenavi(https://recenavi.net/shinryohoshu/L/L100.html)
さらに「2種類以上の神経ブロックを行った場合においても、主たるもののみ算定する」というルールも存在します。 例えばファセットブロック(後枝内側枝ブロック)と硬膜外ブロックを同日に実施した場合、点数の高い方の実施料1つしか算定できないわけです。痛いですね。 recenavi(https://recenavi.net/shinryohoshu/L/L100.html)
見落としがちなのが、同日に行ったトリガーポイント注射の扱いです。ファセットブロックと同日に行ったトリガーポイント注射の実施料(70点)は、部位にかかわらず別途算定できません。 この組み合わせでの誤算定は返戻の典型例の一つです。 recenavi(https://recenavi.net/shinryohoshu/L/L100.html)
ファセットブロックを正確に施行するために透視(X線)やエコーガイドを使うことは安全性の面から推奨されています。しかし算定上は注意が必要です。
「神経ブロックに先立って行われるエックス線透視や造影等に要する費用は、神経ブロックの所定点数に含まれ、別に算定できない」と通知に明記されています。 X線透視を使っても90点という点数は変わりません。これは意外ですね。 recenavi(https://recenavi.net/shinryohoshu/L/L100.html)
超音波ガイドについても同様で、神経ブロック時に超音波エコーを使用しても超音波検査料は別途算定できません。 「エコーを使ったから画像診断料を加算できる」と考えるのは誤りで、査定対象になります。 shirobon(http://shirobon.net/qabbs_detail.php?bbs_id=66889)
ただし、例外があります。全身麻酔中に神経ブロックを「麻酔補助」として併施した場合は、「L008 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔」の注9に基づき「神経ブロック併施加算」として別途算定できる場合があります。 通常のペインクリニック外来でのファセットブロックとは場面が異なります。 jscva(https://www.jscva.org/news/detail/id/165)
場面・手技の組み合わせに応じたルール確認が条件です。
参考リンク:超音波ガイド下神経ブロックの算定可否についてのQ&Aを参照できます。
神経ブロック時の超音波検査について - しろぼんねっと Q&A
「毎週ブロックしているから毎週算定できる」と考えていませんか。実はそれが返戻・査定の原因になるケースがあります。
神経破壊剤・高周波凝固法・パルス高周波法(PRF)によるブロックは、がん性疼痛を除き月1回に限り算定できます。 椎間関節性腰痛に対してパルス高周波術(PRF)を毎週施行した場合、算定できるのは月に1回分だけです。 recenavi(https://recenavi.net/shinryohoshu/L/L100.html)
局所麻酔剤を用いる通常のファセットブロック(L100・90点)については、明確な月〇回という制限は設けられていませんが、病名・症状の医学的必要性が問われます。 外来でのブロックについては「原則として認められる」とされていますが、病名に椎間関節症・椎間関節性疼痛・脊椎症などの適切な傷病名が記載されていることが前提です。 ssk.or(https://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/saikaisyou_torikumi/kashikarepo/kashikarepo_jirei.files/jt035.pdf)
また、「同一神経のブロックにおいて、局所麻酔剤で有効性が確認された後に、神経破壊剤または高周波凝固法を用いる場合に限り、両方を同一月に算定できる」という特例も存在します。 これはファセットブロック→RF(高周波熱凝固)へのステップアップを行った月に有効なルールです。つまり例外的な重複算定が認められるということです。 recenavi(https://recenavi.net/shinryohoshu/L/L100.html)
レセプトに病名が正確に記載されているか確認するだけで、査定リスクを大きく下げられます。これが実務上の最重要ポイントです。
臨床現場では「ファセットブロック」「椎間関節内注射」「後枝内側枝ブロック」という3つの手技がほぼ同じ場面で語られますが、算定上は明確に区別する必要があります。これが混乱の根源です。
椎間関節腔内に直接薬剤を注入する方法(関節腔内注射)は、「J116 関節腔内注射」として算定する場合と、L100の後枝内側枝ブロックとして算定する場合があり、施術した医師の意図と使用薬剤によって正しい区分が決まります。 どちらかに統一して運用している施設も多いですが、レセプト上の整合性(病名・手技名・薬剤)を合わせることが必須です。 jspc.gr(https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shi-guide01_07.pdf)
後枝内側枝ブロックは関節腔外で神経に直接アプローチするため、「神経ブロック」として算定するのが正確です。関節腔内注射と後枝内側枝ブロックを同日に別部位で行い、それぞれ算定しようとすると査定されるリスクが高まります。「主たるもののみ」の原則が適用されるからです。 recenavi(https://recenavi.net/shinryohoshu/L/L100.html)
実務上の対策として、電子カルテやオーダーシステムに「施術した手技・部位・使用薬剤量」を詳細に記録し、レセプトのコメント欄に必要事項を記載する運用が求められます。特に「医学的な必要性がある場合に局所麻酔剤以外の薬剤を混合注射した」場合は、診療報酬明細書への医学的必要性の記載が義務付けられています。 recenavi(https://recenavi.net/shinryohoshu/L/L100.html)
記録と記載の徹底が、査定・返戻を防ぐ最短ルートです。
参考リンク:ペインクリニックの保険診療上の留意事項(椎間関節ブロック等の算定をまとめた表あり)
ペインクリニック 開業医のための基礎知識 - 東京都医師会