

エピペン使用後に「症状が改善したから」と経過観察をやめた医療従事者が、数時間後の二相性反応で患者を重篤化させた事例が報告されています。
エピペンの使用手順は「準備・注射・確認・片付け」の4ステップです。この流れを動画で事前に確認しておくことが、緊急時の迷いをなくす最大の対策になります。
まずSTEP1の準備では、青い安全キャップを外します。キャップを外す方向を誤ると薬液が出てしまうため、オレンジ色のニードルカバー側を絶対に外さないことが鉄則です。 動画で手の握り方を確認しておくことが大切です。 khf119-osaka(http://www.khf119-osaka.jp/KOUSYUU/KYUUMEIKOUSYUU/pdf/epipentukaikata.pdf)
STEP2の注射では、エピペンを太ももの前外側に垂直に構え、「カチッ」と音がするまで強く押し付けます。 音がするまで力を入れる感覚は、動画を見るだけでは伝わりにくいため、トレーナー(練習用器具)を使った実技確認も推奨されています。 太もも以外への注射は禁止です。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=r6HvDYsmH2M)
STEP3では、押し付けたまま1・2・3・4・5と5秒数えてから抜き取ります。 抜き取り後は注射部位を数秒間もみます。これは薬液の吸収を促進するためで、必須の操作です。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=xNWoPrHXLvo)
STEP4では、使用済みエピペンをオレンジ色のニードルカバーが伸びた状態のまま保管し、青色の安全キャップとともに医師へ提出します。 使用後のキャップ類は証拠として医師に渡す必要があります。 katsumata-clinic(http://www.katsumata-clinic.jp/allergy/epipen.html)
緊急時は衣服の上からでも注射できます。 これが基本です。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=Nl0N0cM7StU)
エピペンを「いつ使うか」の判断が、命を分ける最重要ポイントです。日本小児アレルギー学会のガイドラインでは「以下の症状が一つでもあれば使用すべき」と明確に定められています。 koizumi-shigeta.or(https://www.koizumi-shigeta.or.jp/epipen.html)
| 系統 | 使用すべき症状の例 | 重症度感 |
|---|---|---|
| 呼吸器 | 呼吸困難、喘鳴、嗄声 | 🔴 最優先 |
| 循環器 | 血圧低下、頻脈、チアノーゼ | 🔴 最優先 |
| 神経 | 意識障害、失神、ぐったり | 🔴 最優先 |
| 消化器 | 繰り返す嘔吐、強い腹痛 | 🟠 要注意 |
「軽いかもしれない」と迷う場面が最も危険です。 実際、食物アレルギー発作でエピペンを発症早期に使用した群の入院率は17%でしたが、未使用群では43%と有意に高くなっています(p<0.001)。 早期使用が条件です。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=Kn5MBqUmpHg)
アドレナリン投与が発症から30分以上遅れると、二相性反応の出現リスクが上昇することも明らかになっています。 迷ったらすぐ打つ、が原則です。 anaphylaxis-guideline(https://anaphylaxis-guideline.jp/wp-content/uploads/2023/03/guideline_slide2022.pdf)
医療従事者として覚えておきたいのは、患者本人が自己注射できない状況では家族・教職員だけでなく、その場にいる医療職が介助注射を行うことが求められる点です。 これは使えそうです。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=Kn5MBqUmpHg)
医療従事者が最も見落としやすいのが、エピペン使用後の「二相性反応」です。成人のアナフィラキシーの最大23%、小児でも最大11%に発生するとされています。 anaphylaxis-guideline(https://anaphylaxis-guideline.jp/wp-content/uploads/2023/03/guideline_slide2022.pdf)
二相性反応とは、最初のアナフィラキシー症状が一時的に改善した後、数時間後に再び症状が悪化する現象です。約半数は初回症状から6〜12時間以内に出現します。 「エピペンを打ったから大丈夫」では危険ということですね。 anaphylaxis-guideline(https://anaphylaxis-guideline.jp/wp-content/uploads/2023/03/guideline_slide2022.pdf)
このリスクを踏まえ、エピペン使用後の経過観察時間は原則4〜6時間以上が推奨されており、重症例では24時間程度の入院観察が求められます。 経過観察の時間が条件です。 showa-kokyuki(https://www.showa-kokyuki.com/medical_treatment/48/)
日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」では、遅延反応でアドレナリン投与を要した症例が9.2%(中央値1.7時間後)あり、うち7.4%は4〜10時間後に重篤な反応を起こしたと報告されています。 厳しいところですね。 anaphylaxis-guideline(https://anaphylaxis-guideline.jp/wp-content/uploads/2023/03/guideline_slide2022.pdf)
二相性反応のリスクが特に高い患者(初回の重症例・アドレナリン投与遅延例など)は、院内での長時間経過観察を検討してください。病棟の観察チェックリストやアラート設定を活用することで、見逃しを防ぐ実践的な対策になります。
参考:アナフィラキシーガイドライン2022(日本アレルギー学会)二相性反応の発生率・時間分布データ
日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン2022(PDF)
エピペンは「持っている」だけでは意味がありません。実際に携行している患者はわずか9〜28%に過ぎないという報告があり、使用の遅れが重症化の一因となっています。 携行率の低さが問題です。 showa-kokyuki(https://www.showa-kokyuki.com/medical_treatment/48/)
保管時の注意点は以下の通りです。
服薬指導の場面では、患者・家族に動画を使って使い方を実演することが適切使用につながります。 口頭説明だけでは不十分な事例も報告されており、「エピペンを交付したが患者が実際の緊急時に適正使用できなかった」というヒヤリ・ハット事例が薬剤師向け情報誌にも掲載されています。 rikunabi-yakuzaishi(https://rikunabi-yakuzaishi.jp/contents/hiyari/093/)
指導の際は、公式のトレーナー(練習用デバイス)を使った実技確認が効果的です。 動画視聴+実技がセットで行うのが基本です。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=r6HvDYsmH2M)
参考:エピペンの適正使用につながらなかった服薬指導の実例
リクナビ薬剤師|エピペン注射液の適正使用に繋がらなかった服薬指導(ヒヤリ・ハット事例)
医療従事者以外による他者へのエピペン注射は、本来「医行為」に該当するため法的問題が生じるのでは、と疑問に思う方もいます。この点は実は明確に整理されています。
2008年の通知(厚生労働省医政局長通知)により、エピペンについては「本人が自己注射できない緊急時」に、本人の処方されたエピペンを家族・教職員・保育士等が代わりに注射することは、違法性が阻却されると解釈されています。 つまり救命優先が原則です。 www10.pref.yamagata(https://www10.pref.yamagata.jp/documents/45390/epipen.pdf)
医療従事者の場合はもちろん医行為として実施可能ですが、注意すべきは「処方された本人以外へのエピペン投与は禁止」という点です。 他の患者への流用や、症状のない人への予防的投与は絶対にできません。 youtube(https://www.youtube.com/watch?v=Kn5MBqUmpHg)
消防署の救急隊員に関しても、2011年より「アドレナリン自己注射薬(エピペン)使用補助」が認められており、患者が自己注射できない場合の投与補助が法的に可能です。 医療連携の観点から、救急隊との引き継ぎ時に使用の有無・時刻を必ず伝えることが求められます。 fdma.go(https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/syouboukikan_houkoku.pdf)
参考:消防機関におけるエピペン使用補助の法的整理
総務省消防庁|自己注射が可能なアドレナリン製剤に関する報告書(PDF)
参考:山形県医療機関向けエピペン使用マニュアル
山形県|アナフィラキシーに対するエピネフリン製剤使用マニュアル(PDF)