
Makuakeは2013年にサイバーエージェントの新規事業としてスタートし、クラウドファンディング市場において後発ながらも急速に成長を遂げました。2019年11月には上場を果たし、業界を牽引する存在となっています。
Makuakeの最大の特徴は「クラウドファンディング」という言葉を使わず、「応援購入」というコンセプトを前面に打ち出している点です。これは日本において寄付文化が薄いという課題に対応するための戦略的な発想転換でした。「応援購入」という言葉は、単なる資金調達ではなく、新しい購入体験として消費者に受け入れられやすくなっています。
ビジネスモデルとしては、プロジェクト掲載時に手数料20%(決済手数料含む)を徴収しています。この手数料率は他社と比較して高めですが、専任のキュレーターによるサポートや、プロジェクト成功のためのノウハウ提供など、付加価値の高いサービスを提供しているため、多くの事業者から支持を得ています。
また、Makuakeは単なる資金調達の場ではなく、テストマーケティングの場としても機能しています。新製品の市場調査や消費者の反応を見るための手段として、大企業から中小企業まで幅広く活用されています。
クラウドファンディング市場には、Makuake以外にもCAMPFIRE、GREEN FUNDINGSなど複数のプラットフォームが存在します。それぞれに特徴があり、プロジェクトの内容や目的によって最適なプラットフォームは異なります。
【主要クラウドファンディングプラットフォーム比較】
プラットフォーム | 特徴 | 手数料 | 平均達成率 | 得意分野 |
---|---|---|---|---|
Makuake | 「応援購入」というコンセプト、専任キュレーターによるサポート | 20% | 803% | プロダクト系、テストマーケティング |
CAMPFIRE | 日本初のクラウドファンディング、「挑戦」がキーワード | 17% | 99% | 幅広いジャンル、個人プロジェクト |
GREEN FUNDINGS | CCCグループ運営 | 20% | - | ガジェット系に強み |
Makuakeの平均達成率は803%と非常に高く、特にプロダクト系の商品との相性が良いことが特徴です。一方、CAMPFIREは「誰でも挑戦できる」をコンセプトに、学生や個人事業主から中小企業や大学まで幅広い層に利用されています。
プロジェクトの性質によって最適なプラットフォームを選ぶことが成功への第一歩です。製品開発型のプロジェクトであればMakuake、社会貢献性の高いプロジェクトであればCAMPFIREというように、目的に合わせた選択が重要です。
Makuakeでプロジェクトを支援する方法は非常にシンプルです。以下に手順を説明します。
支援後は、プロジェクト実行者からの進捗報告を受け取ることができます。製品開発の過程を見守りながら、完成を待つ楽しみもクラウドファンディングの魅力の一つです。
Makuakeの「応援購入」という考え方は、単なる先行予約ではなく、プロジェクトの実現に向けて一緒に歩む体験を提供しています。これが多くの支援者を惹きつける要因となっています。
Makuakeでは多くの成功事例が生まれています。特に上位の成功プロジェクトを見ると、プロダクト系の商品が圧倒的に多く、達成率が1000%を超えるものも珍しくありません。
成功事例の共通点として以下のポイントが挙げられます。
Makuakeでは専任のキュレーターがこれらのポイントをアドバイスしてくれるため、初めてのプロジェクト実行者でも成功しやすい環境が整っています。また、Makuakeで作成したランディングページは、プロジェクト終了後も自社のLPとして使用できるため、マーケティング資産としても価値があります。
Makuakeは単なるクラウドファンディングプラットフォームから、製品開発から販売までをサポートする総合的なプラットフォームへと進化しています。特に注目すべきは「リピート応援購入」という概念の導入です。
従来のクラウドファンディングでは、プロジェクト終了後の継続的な関係構築が課題でしたが、Makuakeは「Makuakeストア」を設置し、クラウドファンディングで成功した製品の継続販売を可能にしています。これにより、一度支援したユーザーが同じ製品を再購入したり、同じ実行者の新しいプロジェクトを支援したりする循環が生まれています。
実際に、Makuake全体のリピート決済率は70%以上と非常に高い数字を記録しています。これは単発のプロジェクトをフロー型で終わらせるのではなく、ストック型のビジネスモデルへと転換していることを示しています。
また、Makuakeは製品開発の前段階のユーザー調査から、製品完成後のEC運営サポート、流通展開のサポートまで、一気通貫したサービスの提供を目指しています。これにより、「面白いプロジェクトが集まる→出資者が集まる→成功するプロジェクトが増える→口コミが増える→面白いプロジェクトが増える」という好循環が生まれています。
一方で、2022年頃からクラウドファンディング業界全体で支援総額の減少傾向が見られ、Makuakeも収益性の悪化が報告されています。この背景には、コロナ禍での消費行動の変化やプロジェクト数の増加による競争激化などが考えられます。今後は、より付加価値の高いサービス提供や、新たな収益モデルの構築が課題となるでしょう。
NFTなど新たなデジタル資産との連携も今後の展望として考えられます。クラウドファンディングとNFTは集金機能という点で共通点があり、両者の融合による新たなビジネスモデルの創出も期待されています。
Makuakeは2013年の創業から10年以上が経過し、日本のクラウドファンディング市場を牽引する存在となりました。今後も時代のニーズに合わせたサービス進化を続け、新しい価値創造の場として発展していくことが期待されます。