CMBSとはホンダが世界初開発した衝突軽減ブレーキの仕組み

CMBSとはホンダが世界初開発した衝突軽減ブレーキの仕組み

CMBSとはホンダが誇る衝突軽減ブレーキの仕組みと真実

CMBSを過信してアクセルを踏み続けると、逆に追突事故を自分で引き起こすことがあります。


🚗 この記事の3ポイントまとめ
🔍
CMBSとは何か?

CMBSはホンダが2003年に世界で初めて市販車に搭載した「衝突軽減ブレーキシステム(Collision Mitigation Brake System)」。Honda SENSINGの中核機能として、現在は軽自動車から高級車まで幅広く搭載されています。

⚠️
作動の限界と注意点

雨・雪・夜間・逆光などの悪条件ではCMBSが正常に作動しない場合があります。さらに、誤作動による後続車への追突リスクも現実に報告されています。

💡
知ると得する!保険・査定との関係

CMBS搭載車はASV割引(自動ブレーキ割引)で保険料が最大9%割引になる可能性があります。また、Honda SENSINGの有無は中古車市場での需要にも影響します。


CMBSとはホンダが2003年に世界で初めて実現した安全技術

CMBSとは「Collision Mitigation Brake System(コリジョン ミティゲーション ブレーキ システム)」の略称で、日本語では「衝突軽減ブレーキ」と訳されます。本田技研工業(ホンダ)が独自に開発した、衝突被害を軽減するための安全支援システムです。


実はCMBSは、世界で初めて市販車に搭載された衝突軽減ブレーキです。2003年6月に発売されたホンダの4代目「インスパイア」の最上級グレードに初搭載され、自動車メーカーとして歴史的な一歩を踏み出しました。当時すでに業界全体が注目するほどの先進技術であり、その後の自動ブレーキ普及に大きな影響を与えました。


現在ではホンダの安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」の中核機能として位置づけられています。つまり、CMBSはHonda SENSINGの中に含まれる一つの機能という関係です。
































項目 内容
正式名称 Collision Mitigation Brake System
略称 CMBS(シーエムビーエス)
開発メーカー 本田技研工業(ホンダ)
初搭載車・年 4代目ホンダ インスパイア(2003年6月)
現在の位置づけ Honda SENSINGの中核機能
検知センサー ミリ波レーダー+単眼カメラ


当初のCMBSはミリ波レーダーのみを使用し、前方車両への追突を予測して警報・ブレーキ制御を行う仕組みでした。その後、2013年に発売されたアコード ハイブリッド(2代目)から低速域での自動停止が可能になり「進化型CMBS」として一線を画しました。さらに現在のシステムはミリ波レーダーとカメラを組み合わせることで、車両だけでなく歩行者・自転車まで検知できるようになっています。


これが条件です。ミリ波レーダーが距離と速度を精度よく計測し、カメラが対象物の種類と大きさを識別する。この2つのセンサーが連携することで、高い検知精度が実現されています。


参考:ホンダ公式テクノロジーページ「衝突軽減ブレーキ(CMBS)の仕組みと歴史」
Honda テクノロジー|衝突軽減ブレーキ(CMBS)- Honda公式サイト


CMBSとホンダの作動条件:5km/hから始まる4段階の介入プロセス

CMBSの作動条件を正確に理解している人は少ないです。「自動ブレーキだからいざとなれば止まる」と思っていると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。


CMBSが作動を開始するのは、自車が約5km/h以上で走行中に、前方の車両・歩行者・移動する自転車との速度差が約5km/h以上あり、衝突のおそれがあるとシステムが判断したときです。つまり、ほぼ停車状態では作動しません。


作動のプロセスは4段階に分かれています。


| ステップ | 内容 |
|------|------|
| STEP1 | ミリ波レーダー+カメラで前方の障害物を検知 |
| STEP2 | 警告音・ディスプレー表示でドライバーに注意喚起 |
| STEP3 | さらに接近した場合、弱いブレーキングで警告 |
| STEP4 | 衝突のおそれが高まると、強いブレーキングで回避・被害軽減を支援 |


対向車との衝突に対しては、STEP2でステアリングの振動も加わります。また、E-プリテンショナー装備車ではシートベルトの引き込みによる警告も行われます。交差点での右折時は自車速度が約30km/h以下のときに対向車・歩行者・移動する自転車を対象としてCMBSが作動します。


重要なのは、「CMBSはドライバーの操作を優先する」という原則です。CMBSはあくまで支援システムであり、ドライバーによるブレーキ操作やハンドル操作が行われている場合、その操作を優先します。つまりCMBSは「衝突を完全に防ぐ装置」ではなく、「衝突の被害を軽減・回避をサポートする装置」という位置づけです。これが基本です。


参考:国土交通省 自動車安全システム注意事項
国土交通省(独)自動車事故対策機構 CMBS作動条件と注意事項(PDF)


CMBSとホンダの限界:雨・雪・夜間に頼ると損をする理由

「ホンダの自動ブレーキがあるから安心」と思っている人ほど、実は大きなリスクを抱えています。CMBSには明確な「作動しない状況」が存在し、公式サイトでもホンダ自身が認めています。


CMBSが正常に機能しにくい環境は以下の通りです。


- 🌧️ 雨・霧・雪・フロントガラスの霜など悪天候(カメラが視認しにくくなる)
- 🌙 夜間・トンネル内など暗い場所
- ☀️ 逆光など対象物が見えにくい場合
- 📡 周囲に電波を強く反射する物がある場所
- 🚦 道路脇に物がある場所やカーブで対向車がある場合(誤作動の可能性)


歩行者の検知に関しては、さらに細かい条件があります。身長が約1m以下または約2m以上の歩行者は正しく検知できないことがあります。また、荷物等で頭や手足が隠れている場合や、しゃがんでいる・前かがみになっているなど「歩いている姿勢でない」場合も同様です。


つまり、雪の日に夜間走行するケースなど、リスクが高まる状況ほどCMBSが機能しにくい、という矛盾が生じます。厳しいところですね。


さらに問題になっているのが「誤作動」です。アメリカの道路交通安全局(NHTSA)は2024年4月、ホンダ車約300万台(CR-V・アコードなど)を対象に、CMBSの誤作動(不必要な自動ブレーキ)についてエンジニアリング分析調査を開始しました。NHTSAは2,876件の消費者苦情と93件の負傷、47件の衝突事故の報告を受けています。この調査は2025年1月にさらに拡大され、29万5,125台のホンダ車も対象に加えられました。


高速走行中に前方に危険がないのに急ブレーキがかかれば、後続車に追突される可能性があります。CMBSに注意すれば大丈夫、ではなく「CMBSの限界を知った上で運転する」姿勢が求められます。


参考:ロイター通信「米交通安全局、ホンダ車300万台にブレーキ不具合の調査を実施」
Reuters Japan|米交通安全局、ホンダ車300万台にブレーキ不具合の調査(2024年4月)


CMBSとホンダの搭載車種:Honda SENSINGとして全車標準化へ

現在、CMBSはホンダの「Honda SENSING」に内包される形で提供されており、Honda SENSINGが標準装備されている車種には自動的にCMBSも搭載されています。Honda SENSINGは2015年2月に発売された5代目レジェンドで初採用されました。


Honda SENSINGの主な搭載車種は次のとおりです(2025年時点)。


軽自動車:
- N-BOX / N-BOX Custom
- N-WGN
- N-ONE / N-ONE e:
- N-VAN / N-VAN e:


コンパクト・セダン:
- フィット
- シビック(ハッチバック・e:HEV)
- アコード


ミニバン・SUV:
- ステップ ワゴン(e:HEV)
- フリード
- オデッセイ
- ヴェゼル
- ZR-V
- WR-V
- CR-V e:HEV


これはいいことですね。ホンダは「先進国ではHonda SENSINGを全機種に適用する」という方針を掲げており、2023年度のサステナビリティレポートによれば、先進国向け四輪車へのHonda SENSING適用率はすでに99%(日本・米国ともに)に達しています。


なお、CMBSが最初から単体で装着されることはなく、必ずHonda SENSINGの一部として搭載されます。過去には「IHCCやHiDS(ホンダ インテリジェント ドライブ システム)」に内包される形で一部車種に搭載されていた時代もありましたが、現在はHonda SENSINGに統一されています。


参考:Honda公式「安全運転支援システム Honda SENSING 搭載車種一覧」
Honda SENSING 衝突軽減ブレーキ(CMBS)搭載車種 - Honda公式サイト


CMBSとホンダが保険・車選びに与える知られざる金銭的メリット

CMBSを含むHonda SENSINGの搭載は、安全面だけでなく「お金」の面でも無視できないメリットをもたらします。多くのドライバーが見落としがちな点です。


まず知っておきたいのが「ASV割引(自動ブレーキ割引)」です。自動ブレーキ搭載車は、自動車保険(任意保険)の保険料が一律9%割引になる「ASV割引」の対象になります。これは損害保険各社が一律で設定しているもので、普通自動車でも軽自動車でも同じ割引率が適用されます。


ただし、この割引には条件があります。


- ✅ 型式が発売されてから約3〜4年以内の車であること
- ✅ 自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)が正式搭載されている型式であること
- ❌ 発売後4年を超えた型式には適用されない


たとえば年間保険料が8万円の場合、9%割引で7,200円の節約になります。5年間継続すれば3万6,000円以上の差が生まれることになり、これは見逃せない金額です。


次に、中古車市場での評価についてです。Honda SENSINGを標準搭載している車種は、搭載していない旧型と比較して中古市場での需要が高く、リセールバリューに影響する傾向があります。特にN-BOXシリーズはHonda SENSINGの有無がそのまま価格差に反映されるケースも少なくありません。


これは使えそうです。新車購入時にHonda SENSINGの有無を確認しておくと、数年後の売却時に大きな差が生まれる可能性があります。グレード選びの際には「CMBS(Honda SENSING)の有無」を必ずチェックしておくことをおすすめします。


また、CMBSが搭載されているホンダ車は、N-BOXを例にとるとHonda SENSING搭載車の追突事故が非搭載車より56%減少、歩行者事故は82%減少しているというホンダのデータもあります(2023年度サステナビリティレポート)。事故リスクが下がれば長期的な保険等級の維持にもつながります。つまり、CMBSは乗るだけでリスクと出費を下げる可能性がある機能です。


参考:インズウェブ「ASV割引(自動ブレーキ割引)とは?適用条件と割引率の詳細」
SBIの自動車保険比較 インズウェブ|ASV割引(AEB割引)の適用条件と期間